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ヒート未経験
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◆◆◆◆◆
「うーむ。でも、アンリの年齢なら発情期はきてるはずだよね?でも、一度も発情した匂いがしない。もしかして、アンリはヒート『未経験』なの?」
僕が「ヒート未経験」と口にした途端、Aクラスのアルファ性たちがざわついた。
アルファ性は本能的に、「ヒート未経験」のオメガ性が初めてヒートして発するフェロモンに、異常に惹き付けられ興奮するらしい。
僕は攻略対象者の反応を観察した。ふふ、計算通りだ!攻略対象者のアンリを見つめる瞳に、興味と情欲が入り交じりギラギラしている。
そして、アルフレート兄上の瞳もギラギラしていた!うっ、やっぱり、嫌だな。アルファ性の本能とわかっていても、兄上がアンリをそんな目で見るのは辛いな。
「ルチア。アンリはもう暴れないみたいだから、解放していいか?」
「いいよ、ラケール」
んっ、ラケール?お前はなぜ死んだ魚の目をしている!?アルファ性なら、もっと本能からギラギラしなさい!それとも、やはり、ラケールは「ベータ専」なのか?疑いが深まった。ラケールと番になっても、オメガ性の僕は愛されない可能性が大だ。ち、役立たずラケールめ。
ラケールから解放されたアンリは、僕を睨み付けてきた。主人公は、打たれ強いな。
「抑制剤を飲んでるから、ヒートが来ないだけだ。だから、別におかしくないだろ!」
だけど、矛盾した発言には主人公相手でも容赦なしだ。悪役オメガは食いつくよ!
「アンリの発言は矛盾しているよ。だって、抑制剤を飲んでいても、ヒートは来るよね?抑制剤には、休薬期間があるでしょ?三ヶ月に一度はヒートが来るように、医者は調整して薬を処方しているはずだから。ああっ、もしかして抑制剤をずっと飲み続けているの、アンリ?休薬期間なしで?それじゃ、体を壊すよ。もしかして、太ったのはそれが原因?」
アンリはついに陥落した。
「確かにそうだよ!休薬せずに抑制剤を飲み続けていたら、こんなに太っちゃったの!そしたら『双子として恥ずかしい』って言われて、ジャクソンにもっと嫌われたの!もう、僕の人生は終わりだ!僕の人生は悲劇だ!」
「えーと、つまり、アンリの弟は『運命の番』であることを否定しているわけだね?」
「・・確かに、弟のジャクソンには『双子で運命の番なんてあり得ない』って言われた。弟は僕のことを拒絶してる。ジャクソンは僕から離れるために、王立学園に入学したんだ。ここは全寮制だから。僕も王立学園の試験を受けたけど、落ちてしまった。だから、しばらくはオメガ専門の学園に入ってた。でも、寂しくて」
アンリが俯き言葉を詰まらせた。主人公を攻め落とすのは、流石に罪悪感がある。
「アンリ、大丈夫?」
「お前は馬鹿なのか!大丈夫じゃないに決まってるだろ!寂しくて心が凍えたよ!だから、王立学園に編入出来るように、養父に頼んだの!ジャクソンと一緒じゃないと、死んじゃうって、養父を脅したらチョロかった。養父は僕の願いを聞いてくれた。理事会に金をばら蒔いてくれて、試験もなく編入できた。やっぱり、世の中は金次第だよね!」
「・・ア、アンリ」
アンリよ、内情を暴露しすぎです。折角、クラスメイトの好感度が上がったのに、理事会に金ばら蒔いて、試験も受けてないって話す必要なかったよね?
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「うーむ。でも、アンリの年齢なら発情期はきてるはずだよね?でも、一度も発情した匂いがしない。もしかして、アンリはヒート『未経験』なの?」
僕が「ヒート未経験」と口にした途端、Aクラスのアルファ性たちがざわついた。
アルファ性は本能的に、「ヒート未経験」のオメガ性が初めてヒートして発するフェロモンに、異常に惹き付けられ興奮するらしい。
僕は攻略対象者の反応を観察した。ふふ、計算通りだ!攻略対象者のアンリを見つめる瞳に、興味と情欲が入り交じりギラギラしている。
そして、アルフレート兄上の瞳もギラギラしていた!うっ、やっぱり、嫌だな。アルファ性の本能とわかっていても、兄上がアンリをそんな目で見るのは辛いな。
「ルチア。アンリはもう暴れないみたいだから、解放していいか?」
「いいよ、ラケール」
んっ、ラケール?お前はなぜ死んだ魚の目をしている!?アルファ性なら、もっと本能からギラギラしなさい!それとも、やはり、ラケールは「ベータ専」なのか?疑いが深まった。ラケールと番になっても、オメガ性の僕は愛されない可能性が大だ。ち、役立たずラケールめ。
ラケールから解放されたアンリは、僕を睨み付けてきた。主人公は、打たれ強いな。
「抑制剤を飲んでるから、ヒートが来ないだけだ。だから、別におかしくないだろ!」
だけど、矛盾した発言には主人公相手でも容赦なしだ。悪役オメガは食いつくよ!
「アンリの発言は矛盾しているよ。だって、抑制剤を飲んでいても、ヒートは来るよね?抑制剤には、休薬期間があるでしょ?三ヶ月に一度はヒートが来るように、医者は調整して薬を処方しているはずだから。ああっ、もしかして抑制剤をずっと飲み続けているの、アンリ?休薬期間なしで?それじゃ、体を壊すよ。もしかして、太ったのはそれが原因?」
アンリはついに陥落した。
「確かにそうだよ!休薬せずに抑制剤を飲み続けていたら、こんなに太っちゃったの!そしたら『双子として恥ずかしい』って言われて、ジャクソンにもっと嫌われたの!もう、僕の人生は終わりだ!僕の人生は悲劇だ!」
「えーと、つまり、アンリの弟は『運命の番』であることを否定しているわけだね?」
「・・確かに、弟のジャクソンには『双子で運命の番なんてあり得ない』って言われた。弟は僕のことを拒絶してる。ジャクソンは僕から離れるために、王立学園に入学したんだ。ここは全寮制だから。僕も王立学園の試験を受けたけど、落ちてしまった。だから、しばらくはオメガ専門の学園に入ってた。でも、寂しくて」
アンリが俯き言葉を詰まらせた。主人公を攻め落とすのは、流石に罪悪感がある。
「アンリ、大丈夫?」
「お前は馬鹿なのか!大丈夫じゃないに決まってるだろ!寂しくて心が凍えたよ!だから、王立学園に編入出来るように、養父に頼んだの!ジャクソンと一緒じゃないと、死んじゃうって、養父を脅したらチョロかった。養父は僕の願いを聞いてくれた。理事会に金をばら蒔いてくれて、試験もなく編入できた。やっぱり、世の中は金次第だよね!」
「・・ア、アンリ」
アンリよ、内情を暴露しすぎです。折角、クラスメイトの好感度が上がったのに、理事会に金ばら蒔いて、試験も受けてないって話す必要なかったよね?
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