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王の書庫1
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◆◆◆◆◆
『運命の番』を映す水鏡をまだ覗いていないのに、円卓の広間でのお茶会は強制終了となってしまった。でも、陛下の厚意により薔薇の庭園が開放され、お茶会の続きが行われる事になった。僕としては一安心。
ただし、僕と父上はすんなりとは茶会には参加できないみたい。
「ルチアとケルスティンは、私と共に『王の書庫』に来てもらう。そこで内密の話をしたい」
陛下の命令に父上は反発した。
「内密の話?その会話の展開次第では、ルチアに危害を加えるつもりではないのか、クリストフェル?」
父上の口調は鋭く刺々しいものだった。陛下は僅かに眉を上げて不快感を示す。
「内密の話をするだけだ、ケルスティン」
「円卓の広間での暴挙を考えると、陛下を容易に信用することはできない」
「父上」
「ルチア」
「僕は陛下と『王の書庫』に行きたいです。話し合いたい事もあります」
「ルチアがそう望むならば仕方ないか」
父上は陛下の言葉には応じなかった。でも、僕の言葉には応じてくれた。陛下は僕と父上のやり取りを聞いた後に、言葉を発した。
「では、『王の書庫』に行くとしよう。すまないが、ルチアは水鏡を持ってきてくれるかい?ルチアの学友たちは薔薇の庭園に行き、先に茶会を楽しんでくるといい」
僕は水鏡を持って、陛下と父上と共に『王の書庫』に向かう。その前に、僕は兄上とラケールと学友たちに挨拶をした。
「みんな!薔薇の庭園で待っていてね!」
そんな僕に、アルフレート兄上とラケールが心配そうな眼差しを向ける。でも、明るい声で返事をしてくれた。
「ルチア、待っているよ」
「早く戻れよ、ルチア」
「ルチア様~、行ってらっしゃい!」
「うぐぐ、ルチアとやりたい~」
アンリは手をプルプルさせながらも、僕に手を振ってくれた。ジャクソンはロープで縛られながらも、性欲むき出しの言葉を口にした。そして、ロープを管理するラケールに蹴られた。
「嬉しいなぁ」
「ルチア、水鏡は私が持とう。ところで、嬉しいとは・・ジャクソンの下品な発言に対してではないだろうね?」
僕の小さな呟きを耳に拾った父上は、僕が持つ水鏡を代わりに持つと尋ねてきた。僕は少し笑いながら、空いた手で皆に手を振り返した。
「違いますよ、父上。前世の僕は病弱で、友人と茶会を楽しむなんてとても出来なかったのです。それでも、僕は両親に愛され幸せでした。でも、ルチアになって親しい友ができて、とても嬉しいのです。同じ年齢の仲間がいるって楽しいですね、父上」
「ライに友ができて良かった」
「父上、ありがとうございます」
不意に、陛下が会話に参加してきた。
「私も若い頃は、ケルスティンを良き友と思っていた。私が王となった後も、国を支える為に共に在ると思っていた。だが、現実はどうだ?アルカディーの死に未だに囚われ、領地に籠っている。ケルスティンは水鏡を覗き、アルカディーに逢って今の情けない姿を叱ってもらえ。尤も、水鏡にアルカディーが映し出されるとは限らないがな」
「・・反省はしている」
「おや、素直だな?」
陛下の言葉には父上への愛情を感じられて、僕は少しだけほっこりした気分になった。父上は少しだけばつが悪そうに、陛下から視線をそらした。
二人って、何気に仲が良いよね。
「『王の書庫』に繋がる隠し通路が、私の寝所にある。まずは、王の寝所に君を招待しよう、ルチア」
「はい、陛下」
僕と父上は陛下の後に続き、先ずは王の寝室に向かった。
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『運命の番』を映す水鏡をまだ覗いていないのに、円卓の広間でのお茶会は強制終了となってしまった。でも、陛下の厚意により薔薇の庭園が開放され、お茶会の続きが行われる事になった。僕としては一安心。
ただし、僕と父上はすんなりとは茶会には参加できないみたい。
「ルチアとケルスティンは、私と共に『王の書庫』に来てもらう。そこで内密の話をしたい」
陛下の命令に父上は反発した。
「内密の話?その会話の展開次第では、ルチアに危害を加えるつもりではないのか、クリストフェル?」
父上の口調は鋭く刺々しいものだった。陛下は僅かに眉を上げて不快感を示す。
「内密の話をするだけだ、ケルスティン」
「円卓の広間での暴挙を考えると、陛下を容易に信用することはできない」
「父上」
「ルチア」
「僕は陛下と『王の書庫』に行きたいです。話し合いたい事もあります」
「ルチアがそう望むならば仕方ないか」
父上は陛下の言葉には応じなかった。でも、僕の言葉には応じてくれた。陛下は僕と父上のやり取りを聞いた後に、言葉を発した。
「では、『王の書庫』に行くとしよう。すまないが、ルチアは水鏡を持ってきてくれるかい?ルチアの学友たちは薔薇の庭園に行き、先に茶会を楽しんでくるといい」
僕は水鏡を持って、陛下と父上と共に『王の書庫』に向かう。その前に、僕は兄上とラケールと学友たちに挨拶をした。
「みんな!薔薇の庭園で待っていてね!」
そんな僕に、アルフレート兄上とラケールが心配そうな眼差しを向ける。でも、明るい声で返事をしてくれた。
「ルチア、待っているよ」
「早く戻れよ、ルチア」
「ルチア様~、行ってらっしゃい!」
「うぐぐ、ルチアとやりたい~」
アンリは手をプルプルさせながらも、僕に手を振ってくれた。ジャクソンはロープで縛られながらも、性欲むき出しの言葉を口にした。そして、ロープを管理するラケールに蹴られた。
「嬉しいなぁ」
「ルチア、水鏡は私が持とう。ところで、嬉しいとは・・ジャクソンの下品な発言に対してではないだろうね?」
僕の小さな呟きを耳に拾った父上は、僕が持つ水鏡を代わりに持つと尋ねてきた。僕は少し笑いながら、空いた手で皆に手を振り返した。
「違いますよ、父上。前世の僕は病弱で、友人と茶会を楽しむなんてとても出来なかったのです。それでも、僕は両親に愛され幸せでした。でも、ルチアになって親しい友ができて、とても嬉しいのです。同じ年齢の仲間がいるって楽しいですね、父上」
「ライに友ができて良かった」
「父上、ありがとうございます」
不意に、陛下が会話に参加してきた。
「私も若い頃は、ケルスティンを良き友と思っていた。私が王となった後も、国を支える為に共に在ると思っていた。だが、現実はどうだ?アルカディーの死に未だに囚われ、領地に籠っている。ケルスティンは水鏡を覗き、アルカディーに逢って今の情けない姿を叱ってもらえ。尤も、水鏡にアルカディーが映し出されるとは限らないがな」
「・・反省はしている」
「おや、素直だな?」
陛下の言葉には父上への愛情を感じられて、僕は少しだけほっこりした気分になった。父上は少しだけばつが悪そうに、陛下から視線をそらした。
二人って、何気に仲が良いよね。
「『王の書庫』に繋がる隠し通路が、私の寝所にある。まずは、王の寝所に君を招待しよう、ルチア」
「はい、陛下」
僕と父上は陛下の後に続き、先ずは王の寝室に向かった。
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