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親子愛〜〜〜〜!

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第 19 章 ヴェルサイユの焚き火1

サンソン家回顧録より抜粋
(翻訳:西川秀和)


>頭はその造りの完璧さで際立っていた。鼻は鷲鼻であり、瞳は大きく煌めきを宿していて、口は優美に開き、額は黒く縮れた髪で縁取られていた。青味がかった髪は金属のような光沢を放っていた。

優しく穏やかな表情に加えて外見を誇ることを控える態度は、この男は強く逞しいだけではなく育ちが良いことを示していた。彼の唇からは微笑みが絶えずこぼれ、彼が話す前から彼の性格は外見を裏切ることはないことを示していた。

マチュラン親方がそのような青年の親となったことを自慢に思っているかど
うか聞いたり、馬の蹄を削って蹄尖から蹄支まで蹄鉄を完全に履かせる技術と同じくらい自慢に思っているのかどうか聞いたりすれば、哀れな男をひどく困らせ
ることになるだろう。


職人としての親方の評判についた唯一の傷は、親方があまりに強い愛情を抱いていたせいで自分の作品の中で最も優れた作品[である息子]に熱中してしまうことだった。

ある日、若いルイは身を守ろうと足掻く馬の蹄を掴んでいた。そこへマチュラ
ン親方が熱した蹄鉄をやっとこで持ってきて蹄に当てた。蹄の焦げる音と風で吹き寄せられた煙のせいで馬は怯えてしまって束縛を逃れようとルイを叩きのめした。

職人たちが駆け寄ってきたが、ルイは助けなしでなんとかできると身振りで示
した。ルイは馬の脚を掴んで膝に抱えると足を踏ん張って上半身を後ろに反らせた。ルイは何とか逃れようとする馬の必死の足掻きをものともしなかった。明らかに力で勝っている者に対する不利な戦いに疲弊した馬は激しく鼻息を出しながら頭を低くして、聡明な勝者による支配を受け入れたように思えた。

その時、マチュラン親方は息子に目を留めた。若者の顔は今終わったばかりの戦いの興奮でまだ紅潮していた。汗が額から目や唇の端に滴り落ちていた。全力を尽くしたことでその男が誇りを感じていることを誰でも読み取れただろう。

この時、マチュラン親方は自分の息子がまるで宮殿の庭に飾られている古代の格闘家の大理石像のようだと感動して、父親ならではの気持ちに陶然としていたせいで仕上げようとしていた慎重な作業を忘れてしまった。注意が逸れたことによる軽率な金槌の一撃は、蹄側からまっすぐ腱に達した。馬の持ち主は馬に傷をつけたことで年老いた蹄鉄工を厳しく叱責た。


◇◇◇


マチュラン親方‥‥とんでもなく息子ルイへの愛が爆発しております(〃ω〃)
でも、ルイが王政に反する思想を持ったために険悪な状態に!!

とにかく、息子ルイの美しい描写を楽しんでください💕💕



※西川先生のご厚意により、本文の引用と使用が許されているため引用しました。ありがとうございます☺


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