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「兄弟なのに‥‥」

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「兄弟なのに‥‥」

「兄弟だから、迷った。このまま兄弟としてそばにいるか。でも、もう我慢できない。好きだ」

兄の言葉に弟は涙が溢れるのを止められなかった。ずっと望みながら食い止めていた想いが溢れ出す。

「兄弟でなくなったら‥‥男女みたいに好きあったら、もし喧嘩別れになったらどうすんだよ。もう兄弟には戻れなくて」

兄が弟の唇を奪う。

「っ‥、」

くちゅりと水音を立てながら絡む互いの舌。深く繋がりながら互いに抱きしめ合う。長い、長いキスが終わる。

「俺は兄弟の壁を超えることにした。どうしても、お前が欲しいから」

「兄さん‥」

「駄目か?」

駄目なはずがない。ずっと望んていた関係だから。それでも、背徳感が体を震わせて言葉を奪う。返事ができぬままに兄に視線を向ける。

「駄目か?」

もう一度の兄の言葉に弟はきつく抱きついて気持ちを表す。この想い届け。



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