番が欲しいアイツと、実らない恋をした俺の話。

飛鷹

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sideノア

11.

苦しい……。
ヒューヒューと呼吸の度に喉が鳴る。

こんなんじゃ死んだ方が楽なんじゃないか?

何で俺、こんなに生に執着してんのかな……。

薄っすらと瞼を開ける。顔を横に向けてうつ伏せで休んでいるせいか、周りがサッパリ分からない。
ただ微かに薬の匂いがして、背中の傷が手当されているのは分かった。

「ノア……これ飲んで」

ルーカスの声がする。
粒を口元に押し付けられた。

街医者から貰った薬だろうか?
僅かに首を振り、目を閉じる。

要らない。

もう、何にも要らない……。欲しく……ない。

「………っ。ノア、頼むよ……」

一瞬言葉を詰まらせて、そして慄える声で懇願してくる。

ルーカス、お願い。もうさ、放っといてよ。
最後のアレコレは、キレイに終わらせれなかった自分の自業自得って思うからさ。

喉はカラカラで、言葉を紡ぐ気力もなくて………。

思いは言葉にならなかったけど、獣人のカンが働いたのかルーカスは血相を変えた。

「俺から離れて行くくらいなら殺してしまおうと思ったけど!
やっぱり無理だっ!頼むよ、置いて逝かないでくれ…」

「………。」

返事はしない。だって嘘は嫌いだ。
返事をしない俺に、ルーカスはギリギリと唇を噛みしめる。

「許さないからな。離れるなんて、絶対に許さない!」

言葉とは裏腹にそっと壊れ物を扱う様に抱き上げる。
俺の口に薬を押し込むと、口移して水を流し込んできた。
熱で干上がっていた喉に、ジンワリと水が染み込んでいく。

何度か繰り返し水を流し込まれ、俺は自分の浅ましい迄の生への執着に絶望した。
それ程与えられた水は甘露のように甘く、俺を潤し、生き残るように働きかけてくる。

「……っはぁ……」

溜め息のように息を吐き出し、俺は再び眠りの縁へと引きずり込まれていった。

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