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カジノ編
第十四話「なぜ小学生は喧嘩になると、地球が何回回ったかを知りたがるのか」
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んっ?
足に違和感が……?
足に違和感を覚え下を見ると、カイが俺の右足に前足を乗せている。
見つめ合う2人匹。
ピキーン!
そうか! そういうことか!
カイは犬で鼻がいい。
その上、食いしん坊だから、唐揚げの匂いには敏感だ。
カップに入っていようと、カイにはどこに唐揚げがあるか一目瞭然、いや一嗅瞭然なんだ!
そして、『右』が答えであることを伝えるために、俺の右足を触ってきた、と。
完全に理解した。
メイさん、ありがとう。
全然浅はかじゃなかったです。深はかですよ、深はか。
「ふっ。右……かな?」
俺は余裕たっぷりに答える。
「ほお?」
カッツは余裕たっぷりに、ゆっくりと右のカップを上げる。
……すると、そこには唐揚げが鎮座していた。
「「当たってる!!」」
ばっ!
俺は声に驚き、急いで顔を上げる。
すると、カッツも顔を上げていて、視線が交錯する。
「なんでカッツも驚くんだよ!?」
「うっせー! 自分でも速すぎてどこに入ってんのか、わかんねーんだよ!」
「へ?」
そ、そんなことある……?
「い、いや。敢えて……そう! 敢・え・て、相手に心を読まれないように、どこに入ってるか自分でもわかんねーようにしてんだよ!」
だ、だよな、敢えてだよな!
ビックリしたぜ。
「これであと2回当てれば俺の勝ちだな」
俺はカイが来てくれたことで、勝ちを確信していた。
だって匂いでわかるなんて、反則じゃん!
いくらシャッフルスピードを上げたところで、目を瞑ってたって外さない。
「まだ2回"も"当てないとお前の勝ちじゃねぇ」
ぷぷっ。負け惜しみ言ってるよ。
弱い犬ほどよく吠えるってな。
うちのカイは、全然吠えずに大根役者に徹している。
「御託はいいから、さっさと4回目を始めてくれよ」
「ちっ、言ってろ」
シャシャシャシャシャ……
3回目よりもスピードアップしているようだ。
まぁ? 俺には関係ないんだけどね?
頑張ってくれ給えよ。
……シャッ!
「さぁ、どのカップだ?」
「少し考えさせてくれ」
俺は余裕たっぷりに目を瞑り、考えているフリをする。
カイ先生! 頼みましたよ!
しばらくすると、足に何かが触れる感覚がある。
左か……!
俺は目を開ける。
知らない鳥と目が合う。
……誰やねん!?
すると、すぐにカイもやってきて、俺の左足に前足を乗せる。
……当たってんのかい!!
カイも、知らない鳥も、ありがとう。
俺はカッツを真っ直ぐ見据え、答える。
「左だ」
カッツは左のカップを持ち上げる。
そこにはしっかりと唐揚げ様が。
「よし! 4連勝!」
あと1勝だ!
みんなで力を合わせて、ようやくここまで来られた。
最後まで油断しないように、気を引き締めよう。
家に着くまでが遠足、ってね。
「流石に、なんかおかしいよなぁ?」
どきっ!
「い、いやー、やっぱりおかしいですよね、俺の服装。ここら辺の人の服装とは、ちょっと違いますから」
俺はなんとか誤魔化そうと、敢えて的外れなことを言ってみる。
「いや、そこじゃねーだろ!!」
やっぱりこの程度じゃ誤魔化されないか……!
「3回目のシャッフルの後までは、目で追えてなかったし、ビクビクして自信なさそうだったんだ。それなのに、答えるところから急に自信満々になったよな」
俺の心境の変化、完全に見破られてる!?
「4回目なんて初めっから見てもいなかった。それなのに余裕で当ててきやがった。3回目のシャッフルの前と後で変わったこと……」
バチッ
カッツとカイの目がバッチリ合ってしまった。
「ふー、ふー」
カイは必死に口笛を吹いて誤魔化そうとしているが、犬が口笛吹けるわけないだろ!
「お前、犬を使って何かしてやがったか?」
どっきーん!
「そ、そんなことしてるわけないだろ! 俺がなんかしてるって言うなら証拠を見せろよ、証拠を! 何時何分何秒、犬が何回回ってワンって吠えた時だよ!」
俺は、ゴネた。
とりあえず、ゴネた。
必死に、ゴネた。
ゴネるしかなかった。
だって本当のことなんだもん。
「ちっ。確かに証拠はねぇな」
あ、なんかいけそうな雰囲気。
「だが、最後の挑戦の時には、その犬はどっかに行っててもらうぜ? イカサマしてないってんなら、いいだろ?」
な!?
それじゃ、俺が勝てないじゃん!?
「あ、あのぅ……そのぅ……その犬、俺の言う事聞かないんでぇ……そちらでなんとか出来るなら、それでもいいっていうかぁ……」
「ちっ、めんどくせぇ。そんじゃ、俺がその犬をどうにかできんなら、いいんだな?」
「どうぞ、どうぞ」
しめしめ、カイは絶対に他人の言う事は聞かないからな。
出来るもんならやってみろってんだ。
スッ
カッツはおもむろに懐に手を入れる。
まさか! あいつナイフでも取り出すんじゃ!
いや、銃かもしれない!
『どうにか』するって、どうにかするってことなのか!?
カイ! 逃げろ!
「おい、お前やめ」
サッ
カッツは懐から手を出す。
その手には、鈍く光る細長いものを持っている。
カッターか!
……いや、よく見ると何か違うな……?
あれは……
……イッヌちぅ~る!?
そ、そんな……!
まさか、お前、それを……!!
ピッ
封を開けたー!!
カッツは焦らすように、それをカイの目の前で、右へ左へ。
カイの顔もそれに合わせて、右へ左へ。
カッツはそれを天高く突き上げて振りかぶると……
……投げたー!!
カイまっしぐらぁ!!
「これで邪魔者はいなくなったな。さぁ、ラストゲームを始めようか……!!」
足に違和感が……?
足に違和感を覚え下を見ると、カイが俺の右足に前足を乗せている。
見つめ合う2人匹。
ピキーン!
そうか! そういうことか!
カイは犬で鼻がいい。
その上、食いしん坊だから、唐揚げの匂いには敏感だ。
カップに入っていようと、カイにはどこに唐揚げがあるか一目瞭然、いや一嗅瞭然なんだ!
そして、『右』が答えであることを伝えるために、俺の右足を触ってきた、と。
完全に理解した。
メイさん、ありがとう。
全然浅はかじゃなかったです。深はかですよ、深はか。
「ふっ。右……かな?」
俺は余裕たっぷりに答える。
「ほお?」
カッツは余裕たっぷりに、ゆっくりと右のカップを上げる。
……すると、そこには唐揚げが鎮座していた。
「「当たってる!!」」
ばっ!
俺は声に驚き、急いで顔を上げる。
すると、カッツも顔を上げていて、視線が交錯する。
「なんでカッツも驚くんだよ!?」
「うっせー! 自分でも速すぎてどこに入ってんのか、わかんねーんだよ!」
「へ?」
そ、そんなことある……?
「い、いや。敢えて……そう! 敢・え・て、相手に心を読まれないように、どこに入ってるか自分でもわかんねーようにしてんだよ!」
だ、だよな、敢えてだよな!
ビックリしたぜ。
「これであと2回当てれば俺の勝ちだな」
俺はカイが来てくれたことで、勝ちを確信していた。
だって匂いでわかるなんて、反則じゃん!
いくらシャッフルスピードを上げたところで、目を瞑ってたって外さない。
「まだ2回"も"当てないとお前の勝ちじゃねぇ」
ぷぷっ。負け惜しみ言ってるよ。
弱い犬ほどよく吠えるってな。
うちのカイは、全然吠えずに大根役者に徹している。
「御託はいいから、さっさと4回目を始めてくれよ」
「ちっ、言ってろ」
シャシャシャシャシャ……
3回目よりもスピードアップしているようだ。
まぁ? 俺には関係ないんだけどね?
頑張ってくれ給えよ。
……シャッ!
「さぁ、どのカップだ?」
「少し考えさせてくれ」
俺は余裕たっぷりに目を瞑り、考えているフリをする。
カイ先生! 頼みましたよ!
しばらくすると、足に何かが触れる感覚がある。
左か……!
俺は目を開ける。
知らない鳥と目が合う。
……誰やねん!?
すると、すぐにカイもやってきて、俺の左足に前足を乗せる。
……当たってんのかい!!
カイも、知らない鳥も、ありがとう。
俺はカッツを真っ直ぐ見据え、答える。
「左だ」
カッツは左のカップを持ち上げる。
そこにはしっかりと唐揚げ様が。
「よし! 4連勝!」
あと1勝だ!
みんなで力を合わせて、ようやくここまで来られた。
最後まで油断しないように、気を引き締めよう。
家に着くまでが遠足、ってね。
「流石に、なんかおかしいよなぁ?」
どきっ!
「い、いやー、やっぱりおかしいですよね、俺の服装。ここら辺の人の服装とは、ちょっと違いますから」
俺はなんとか誤魔化そうと、敢えて的外れなことを言ってみる。
「いや、そこじゃねーだろ!!」
やっぱりこの程度じゃ誤魔化されないか……!
「3回目のシャッフルの後までは、目で追えてなかったし、ビクビクして自信なさそうだったんだ。それなのに、答えるところから急に自信満々になったよな」
俺の心境の変化、完全に見破られてる!?
「4回目なんて初めっから見てもいなかった。それなのに余裕で当ててきやがった。3回目のシャッフルの前と後で変わったこと……」
バチッ
カッツとカイの目がバッチリ合ってしまった。
「ふー、ふー」
カイは必死に口笛を吹いて誤魔化そうとしているが、犬が口笛吹けるわけないだろ!
「お前、犬を使って何かしてやがったか?」
どっきーん!
「そ、そんなことしてるわけないだろ! 俺がなんかしてるって言うなら証拠を見せろよ、証拠を! 何時何分何秒、犬が何回回ってワンって吠えた時だよ!」
俺は、ゴネた。
とりあえず、ゴネた。
必死に、ゴネた。
ゴネるしかなかった。
だって本当のことなんだもん。
「ちっ。確かに証拠はねぇな」
あ、なんかいけそうな雰囲気。
「だが、最後の挑戦の時には、その犬はどっかに行っててもらうぜ? イカサマしてないってんなら、いいだろ?」
な!?
それじゃ、俺が勝てないじゃん!?
「あ、あのぅ……そのぅ……その犬、俺の言う事聞かないんでぇ……そちらでなんとか出来るなら、それでもいいっていうかぁ……」
「ちっ、めんどくせぇ。そんじゃ、俺がその犬をどうにかできんなら、いいんだな?」
「どうぞ、どうぞ」
しめしめ、カイは絶対に他人の言う事は聞かないからな。
出来るもんならやってみろってんだ。
スッ
カッツはおもむろに懐に手を入れる。
まさか! あいつナイフでも取り出すんじゃ!
いや、銃かもしれない!
『どうにか』するって、どうにかするってことなのか!?
カイ! 逃げろ!
「おい、お前やめ」
サッ
カッツは懐から手を出す。
その手には、鈍く光る細長いものを持っている。
カッターか!
……いや、よく見ると何か違うな……?
あれは……
……イッヌちぅ~る!?
そ、そんな……!
まさか、お前、それを……!!
ピッ
封を開けたー!!
カッツは焦らすように、それをカイの目の前で、右へ左へ。
カイの顔もそれに合わせて、右へ左へ。
カッツはそれを天高く突き上げて振りかぶると……
……投げたー!!
カイまっしぐらぁ!!
「これで邪魔者はいなくなったな。さぁ、ラストゲームを始めようか……!!」
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