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10.遅れてきたお約束
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おはよう。
今日こそは着替えを手に入れたいと思う。
着替えが無いと銭湯にも行けないから、オリーブさんにも会えな……じゃない、銭湯はこの世の極楽だからな。
そこに行けないのはツラい。
新品は値段的に無理そうだよなぁ。
古着とかって売ってるのだろうか?
あの露店ならよくわからないもの色々売ってたし、そこで聞いてみるかな。
俺はナイフを買ったあの不思議な雰囲気の露店に向かった。
よかった、今日もお婆さんが露店を開いてる。
「すみません、古着ってありますか?」
俺はダメ元でお婆さんに尋ねる。
「もちろんあるよ」
おー、古着まで取り揃えてるのか。
「この上下合わせて50円でどうだい? 訳アリだから安くしとくよ」
うわぁ、訳アリとか言わないで欲しかった。
言われなければ、多分気にせず着られたのに……
でも着たら最後、一生脱げない呪いの服とかだったら嫌だし……
「訳アリってどんな……?」
「簡単に言えば冒険者の遺品だねぇ」
「え!? 冒険者が亡くなった時に着ていたものですか!?」
「ひっひっひ、流石にそれは売らないさ。亡くなった冒険者の鞄や宿なんかにあった物が流れてくるんだよ」
ま、まぁそれなら普通の古着とそう変わらないよな。でも、ちょっと縁起悪いような……
頭では問題ないとわかっているが、決断できない。もうひと押し背中を押してくれ……
「どうするさね? 新品だとこの6倍くらいはすると思……」
「買います!」
俺はお婆さんの言葉を遮り決断する。
やっぱり安さが一番だよな、うん。
はぁ、買えたのはいいけど、またほとんど手持ちが無くなってしまった。
たまには、冒険者ギルドに効率良い依頼がないか確認しにいってみるか。
カラーン
冒険者ギルドの扉を開くと、小気味良い鐘の音が出迎えてくれる。
ギロッ
お、おぅ。冒険者が結構いる。
そういや、朝のこの時間に来たのは初めてだったな。
やっぱり割のいい依頼を見つけるために朝は混むのだろう。
「おう、兄ちゃん」
ビクッ!
初日にお約束がなかったから油断していた!
この人めちゃくちゃガタイいいし、顔に傷とかあって怖えぇ……
圧とか殺気とかすげーよ。殺気がどんなもんか知らないけど……
「なかなか活躍しとるらしいのぉー?」
ひえぇ……
これがカツアゲってやつか……?
もうひたすらへいこらするしかないぞ。
「すみません! そんな、目立ったり、調子乗ったりしてるつもりはなかったんですけど。不快にさせてしまったなら本当に申し訳ありません! ただちょっと今は持ち合わせが無いというか、ずっと極貧生活というか……」
「あ゛ぁ? 何言ってやがんだ?」
ひぃぃ……
結構下手に出たつもりだったが、逆に癪に障ってしまったか……?
もう全身の毛穴という毛穴から汗か涙か生気かわからないものが吹き出している。
南無三! ここは逃げるしかねぇ!
「あ! イヒトさん! 何やってるんですか? この時間に会うの珍しいですね」
あぁ、キンジくん! 来ちゃダメだ!
キミを……この争いに巻き込む訳にはいかないんだ……!
「キンジくん! 来ちゃダメ……」
「あ、ギルドマスターもおはようございます!」
ギルドマスターぁぁぁあァァaaaa!!??
ウ・ソ・だ・るぉぉぉ!!??
見た目は完全に人殺しだし、このプレッシャー現役だろ……?
朝から一仕事(殺し)してきました、みたいな雰囲気じゃん!
「あはは、ギルドマスターさんですよね。知ってました。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。先日、冒険者登録しましたイヒトです。お世話になっております」
俺はなんとか誤魔化し頭を下げる。
「おう、俺はギルドマスターのティグだ。お前さんの話はライチのやつから聞いてるぜ。薬草採取の質も量も申し分ないってな」
「ギルドマスターさんにまで私の名前が届いてるなんて光栄です」
「イヒトさん、今日は朝からどうしたんですか?」
キンジくん。キミはこの殺伐とした冒険者砂漠の中で唯一のオアシスだよ……
「ニミノヤ村にも慣れてきたからね、いい依頼がないかちょっと見に来てみたんだよ」
「そうか、依頼を探しに来たのか。それならいいのがあるぞ。お前さんなら真面目そうだし、申し分ないだろう」
「いや、ちょっと、殺しとかは、まだ無理かなー? なんて」
この人の考えるいい依頼なんて、殺しか暗殺くらいだろう。
俺は武闘派じゃないからな、ギルマス基準で選ばれても困る。
「お前さんは俺を何だと思ってやがんだ? 安心しろ荒事じゃねぇよ。新しく開店した飯屋がえらく繁盛してるらしくてな、臨時で店員を募集してるんだとよ」
「え? 用心棒じゃなくて店員ですか? それって冒険者の仕事なんですか……?」
「お前さんみたいな腕っぷしの弱そうなやつに用心棒なんて務まるわけないだろ。清掃だろうと店員だろうと依頼があれば受けるのが冒険者ギルドだ。もちろん依頼料や仕事内容によって受ける受けないを決めるのは冒険者自身だがな」
確かに俺が普段やっている薬草採取だって冒険してるかといえばしてないもんな。
どちらかというと雑用だろう。
「まぁ確かに人の為になることをするのが冒険者ですよね」
「おう! お前さんは話のわかるやつだな! 俺の見込んだ通りだ。最近の若い冒険者は討伐だのダンジョンだの、腕っぷしを見せつけたり一獲千金を狙ったりするやつらが多いんだよ。何を勘違いしてやがんのか、冒険者の本質ってもんがわかってねぇ」
はは……俺も魔物倒したり色々なところに行ったりするのが冒険者だと思ってましたよ。
ただ俺の実力が伴ってなかっただけで……
チートスキルがこんなにショボくなければ、間違いなく依頼料の高い依頼を受けてました、すみません。
「ちなみにお給金の方は……?」
「日当500円らし……」
「やります!」
薬草採取の1.5倍くらい稼げるぞ。
いや、お金の問題じゃない。
困っている人がいるなら、それを助けるのが冒険者ってもんだ。うん。
―◇◇◇―
今日こそは着替えを手に入れたいと思う。
着替えが無いと銭湯にも行けないから、オリーブさんにも会えな……じゃない、銭湯はこの世の極楽だからな。
そこに行けないのはツラい。
新品は値段的に無理そうだよなぁ。
古着とかって売ってるのだろうか?
あの露店ならよくわからないもの色々売ってたし、そこで聞いてみるかな。
俺はナイフを買ったあの不思議な雰囲気の露店に向かった。
よかった、今日もお婆さんが露店を開いてる。
「すみません、古着ってありますか?」
俺はダメ元でお婆さんに尋ねる。
「もちろんあるよ」
おー、古着まで取り揃えてるのか。
「この上下合わせて50円でどうだい? 訳アリだから安くしとくよ」
うわぁ、訳アリとか言わないで欲しかった。
言われなければ、多分気にせず着られたのに……
でも着たら最後、一生脱げない呪いの服とかだったら嫌だし……
「訳アリってどんな……?」
「簡単に言えば冒険者の遺品だねぇ」
「え!? 冒険者が亡くなった時に着ていたものですか!?」
「ひっひっひ、流石にそれは売らないさ。亡くなった冒険者の鞄や宿なんかにあった物が流れてくるんだよ」
ま、まぁそれなら普通の古着とそう変わらないよな。でも、ちょっと縁起悪いような……
頭では問題ないとわかっているが、決断できない。もうひと押し背中を押してくれ……
「どうするさね? 新品だとこの6倍くらいはすると思……」
「買います!」
俺はお婆さんの言葉を遮り決断する。
やっぱり安さが一番だよな、うん。
はぁ、買えたのはいいけど、またほとんど手持ちが無くなってしまった。
たまには、冒険者ギルドに効率良い依頼がないか確認しにいってみるか。
カラーン
冒険者ギルドの扉を開くと、小気味良い鐘の音が出迎えてくれる。
ギロッ
お、おぅ。冒険者が結構いる。
そういや、朝のこの時間に来たのは初めてだったな。
やっぱり割のいい依頼を見つけるために朝は混むのだろう。
「おう、兄ちゃん」
ビクッ!
初日にお約束がなかったから油断していた!
この人めちゃくちゃガタイいいし、顔に傷とかあって怖えぇ……
圧とか殺気とかすげーよ。殺気がどんなもんか知らないけど……
「なかなか活躍しとるらしいのぉー?」
ひえぇ……
これがカツアゲってやつか……?
もうひたすらへいこらするしかないぞ。
「すみません! そんな、目立ったり、調子乗ったりしてるつもりはなかったんですけど。不快にさせてしまったなら本当に申し訳ありません! ただちょっと今は持ち合わせが無いというか、ずっと極貧生活というか……」
「あ゛ぁ? 何言ってやがんだ?」
ひぃぃ……
結構下手に出たつもりだったが、逆に癪に障ってしまったか……?
もう全身の毛穴という毛穴から汗か涙か生気かわからないものが吹き出している。
南無三! ここは逃げるしかねぇ!
「あ! イヒトさん! 何やってるんですか? この時間に会うの珍しいですね」
あぁ、キンジくん! 来ちゃダメだ!
キミを……この争いに巻き込む訳にはいかないんだ……!
「キンジくん! 来ちゃダメ……」
「あ、ギルドマスターもおはようございます!」
ギルドマスターぁぁぁあァァaaaa!!??
ウ・ソ・だ・るぉぉぉ!!??
見た目は完全に人殺しだし、このプレッシャー現役だろ……?
朝から一仕事(殺し)してきました、みたいな雰囲気じゃん!
「あはは、ギルドマスターさんですよね。知ってました。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。先日、冒険者登録しましたイヒトです。お世話になっております」
俺はなんとか誤魔化し頭を下げる。
「おう、俺はギルドマスターのティグだ。お前さんの話はライチのやつから聞いてるぜ。薬草採取の質も量も申し分ないってな」
「ギルドマスターさんにまで私の名前が届いてるなんて光栄です」
「イヒトさん、今日は朝からどうしたんですか?」
キンジくん。キミはこの殺伐とした冒険者砂漠の中で唯一のオアシスだよ……
「ニミノヤ村にも慣れてきたからね、いい依頼がないかちょっと見に来てみたんだよ」
「そうか、依頼を探しに来たのか。それならいいのがあるぞ。お前さんなら真面目そうだし、申し分ないだろう」
「いや、ちょっと、殺しとかは、まだ無理かなー? なんて」
この人の考えるいい依頼なんて、殺しか暗殺くらいだろう。
俺は武闘派じゃないからな、ギルマス基準で選ばれても困る。
「お前さんは俺を何だと思ってやがんだ? 安心しろ荒事じゃねぇよ。新しく開店した飯屋がえらく繁盛してるらしくてな、臨時で店員を募集してるんだとよ」
「え? 用心棒じゃなくて店員ですか? それって冒険者の仕事なんですか……?」
「お前さんみたいな腕っぷしの弱そうなやつに用心棒なんて務まるわけないだろ。清掃だろうと店員だろうと依頼があれば受けるのが冒険者ギルドだ。もちろん依頼料や仕事内容によって受ける受けないを決めるのは冒険者自身だがな」
確かに俺が普段やっている薬草採取だって冒険してるかといえばしてないもんな。
どちらかというと雑用だろう。
「まぁ確かに人の為になることをするのが冒険者ですよね」
「おう! お前さんは話のわかるやつだな! 俺の見込んだ通りだ。最近の若い冒険者は討伐だのダンジョンだの、腕っぷしを見せつけたり一獲千金を狙ったりするやつらが多いんだよ。何を勘違いしてやがんのか、冒険者の本質ってもんがわかってねぇ」
はは……俺も魔物倒したり色々なところに行ったりするのが冒険者だと思ってましたよ。
ただ俺の実力が伴ってなかっただけで……
チートスキルがこんなにショボくなければ、間違いなく依頼料の高い依頼を受けてました、すみません。
「ちなみにお給金の方は……?」
「日当500円らし……」
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いや、お金の問題じゃない。
困っている人がいるなら、それを助けるのが冒険者ってもんだ。うん。
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