ショボい人生からの異世界転移〜チートスキルが10円玉召喚ってどういうこと!?〜

後藤権左ェ門

文字の大きさ
27 / 33

27.ニワトリベッド

しおりを挟む
 うめぇーーーーーーー!!!!
 ぷりっぷりな鶏肉。
 しっとりな鶏肉。
 とろっとろな鶏肉。
 鶏肉料理のオンパレードだ。

 やっぱり漁師料理みたいに、その専門の職業の人はおいしい食べ方を知ってるよなぁ。

 焼く、揚げる、蒸す、煮る。
 もも肉、むね肉、ささみ、とさか(?)、よくわからない部位もある。
 はふ~、最っ高~。

 これで夜もぐっすり眠れたら、もっと最高だったのに……
 一宿一飯の恩もあるし……いや夜は徹夜だから一飯の恩だけか。
 まぁそれでも恩があることに変わりはない。
 そろそろ見回りに行くとしますか。

「イヒトさん、行かれるんですね」

「はい。問題が解決したら、またうまい飯食わせてください」

「グッドラック」

 何か今生の別れみたいになってしまった。
 俺はまだ生きるぞ!



 さて、どこを重点的に見回るかな。

 デデン!
 突然ですが、皆さんに質問です。
 皆さんならどこを重点的に見回りますか?

 1.侵入者が入って来ないように外周の柵?

 2.どこで何が起きてもいいように満遍なく?

 3.犯人は現場に戻るというから、夜中に見張りが物音を聞いた場所?





 すべてノーだ!
 そんなリスクの高い場所に行って、魔物や盗賊と真正面からぶつかってしまったらどうするんだ!

 まずは自分の身の安全が大切だ。
 これがショボ男のリスク管理術だ。
 ちょっとミスしたって、生きてさえいればミスを取り返すチャンスもまた廻ってくるというもんだ。

 ならばどうするか。
 それは……

 ニワトリの気持ちになるために、鶏小屋の中で一緒に夜を明かすのだ!

 これならば建物の中だからリスクも少ないし、鶏小屋を守っていたと言えばちょっとはメンツも立つだろう。
 なんてズルいんだ、俺。
 ショボ男が人間社会の荒波を泳いでいくには、こういう手も積極的に使っていかないとすぐに飲み込まれてしまう。

 というわけで、鶏小屋の中でも最もリスクが少なそうな、真ん中の小屋に潜伏するとしますか。

 おじゃましまーす。
 俺は怪しい人じゃないですよー。
 音を立てないようにこっそりと小屋の中へと滑り込む。

 ニワトリさんは思い思いの場所で寝ているようだ。
 俺が入ってきても騒ぐことなく、じっと動かない。

 俺も空いているスペースで休むとするかな。
 ニワトリがいない場所を選んで座り込む。

 起きてる時のニワトリは目がギョロっとしててちょっと怖いけど、寝てる時は結構かわいいな。
 羽毛がもふもふしてそうだし、囲まれて寝てみたいかも。

 それにしてもニワトリと俺の間の距離が遠いな。
 確かに俺が空いているスペースを探したわけなんだが。
 ニワトリってあんなに集団でかたまって寝るものなのか?

 かたまっているのがおかしいのか、俺がいるスペースが空いていることがおかしいのか、何もおかしくないのか。
 もしかして俺がいるスペースになにやらよくないものがあるのだろうか?
 まさか毒とか……?

 一度気になると気になってしょうがない。
 それまで何も気にならなかったのに、隣のおじさんのズボンのチャックが開いてることに気付いたとたん、もうそこにしか意識がいかなくなってしまう。
 人間そういう風にできているのだ。

 怖くなってきたので、ニワトリさん、そっちに行ってもいいですか?
 俺はそーっとニワトリの方に近づく。

 あれっ?
 なんかあのニワトリおかしくね?

 集まって寝ているニワトリの中心にいるニワトリ、なにかおかしいような……
 明るい時にはわからなかったけど、ちょっと光ってる……?
 それに他の個体よりも少し大きいような……

『それ以上近付くな』

 え!? だ、誰ですか!?

 俺は辺りを見回すが誰もいない。

 もうホラーなんですけど!!

『お前は私の声が聞こえるようだな』

 ひぇっ!? また聞こえた!

 俺が戸惑っていると、中心にいた怪しいニワトリが前に進み出てきた。

「も、もしかして、あなたの声でしょうか……?」

『いかにも』

 に、ニワトリが、しゃべったぁぁああぁあぁーーーー!!!!





 …………ま、そういうこともあるよな。異世界だもの。

「ど、どうも。俺はあなたに危害を加える意思はありません」

 よくわからないものに対しては下手に出る。
 これ長生きするための鉄則。

『そうか。ならば私の願いを聞き届けてはくれないか?』

 ま、またお願いか……
 もうここまで来たら聞きますけども。

「願いというのは……? 俺にできることならいいのですが」

『私は少し前までこんなに意識がはっきりしていなかった。それが急にはっきりして、人の言葉もわかるようになったのだ。自分たちは卵を産むためだけに生かされ、このようなところで暮らしている。それを知って、人にお願い事をするなら卵を産まなくなるのが1番効くんじゃないかと思ったわけだ』

 そうか、卵が供給されなくなったのはそういうことだったのか。

 確かにひどいよな。
 自由を奪われ、ただただ人の為に卵を産む生活。
 そりゃあ、反抗したくもなるよな。
 "人間ども! 俺達を解放しろ!"ってな。

「そうですか。こんなところに閉じ込められて、卵を産むだけの日々はツラかったですよね」

『いや、それはいいのだ。ここは安全で安心して暮らせるし、仲間もたくさんいるので結構楽しくやっている。卵はここに泊めてもらってる宿代だと思えば安いもんだ』

 へ? そうなの?
 勝手に悲惨な生活を想像していたが、そうでもないようだ。
 まぁ、そう思うように品種改良されてきた結果かもしれないが。

「それでは、何が問題なのでしょう?」

『それが数日前からエサが粗末になったのだ。コスト削減だのなんだのと言っていたが、これはさすがに許容できない。直接言ってやりたかったが、こちらの言葉を理解できるものがいなくてな。お前が来てくれて助かった』

 なるほど。食に関することでしたか。
 食べ物の恨みは怖いというからな。
 特に動物にとっては1番重要なことだろう。

「わかりました。明日、ここの主であるコダイさんに話してみます。……というわけで、俺もここで寝させてもらってもいいですか? できればニワトリさんに囲まれて寝てみたいのですが」

『あ、あぁ、別に構わないが……』

 それでは、遠慮なく失礼しまーす!

 うーん、きもちい…………くないな、あんまり。
 もっともふもふであったかくて気持ちいいもんだと思っていたんだが。
 実際はなんかモゾモゾするし、臭いし、ほこりっぽいし、全然気持ちよくない……むしろ悪いかも……

 俺はちょっと後悔しつつ、卵問題が解決しそうだと安心しながら眠りについた。


 ―◇◇◇―
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

処理中です...