33 / 33
33.ラツカヒ町に到着
しおりを挟む
「ちょ……ちょっと……待って……ベルくん……」
「なんだよ、もうへばったのかよ。これだから、お前みたいなショボいおっさんは嫌だったんだ」
現在、ニミノヤ村から走り続けること約30分。
ニミノヤ村からオーソイ町までは歩いて約1時間半、ラツカヒ町まではそこから更に約1時間かかる。
つまり、ニミノヤ村からラツカヒ町までは歩いて2時間半かかるということだ。
その道をノンストップで駆け抜けるなんて、俺には無理だ。駅伝の選手じゃあるまいし。
こっちの世界に来てから結構体力がついたと思うが、せめて2回は休憩が欲しい……
「しょーがねーなー。10分だけだからな!!」
「はぁはぁ……ありがとうベルくん。ベルくんは全然疲れてなさそうだね」
「このくらい、猫人族なら3歳でも走れるぜ!!」
それは盛り過ぎー!!
いくらなんでも3歳はまだトテトテ走りでしょ。
まぁ、でも猫人族なら本当にこのくらいの距離は楽勝なのだろう。
地球人ですらフルマラソンを2時間で走りきれるんだからな。
「そういえば、ラツカヒ町に行くのは初めてなんだけど、どんなところなのかな?」
「お前、この辺に住んでてその歳までラツカヒ町に来たことないのか? 相当な田舎者だな!!」
確かにニミノヤ村は田舎だけど、お前の姉ちゃんも住んでるところだぞ……
それに地球はこの世界よりもっと栄えてたよ。人口や建造物だけを見ればな。
「しょーがねーなー、都会人の俺が教えてやるよ!! ラツカヒ町は人がたくさんいて、店もたくさんあって、動物の見世物小屋とか……あとは……と、とにかく色んなものがあるんだ!!」
孤児院に住んでるから、実はベルくんもそんなにラツカヒ町のこと知らないな?
地球の平塚は市だったから大きい町だろうと予想はしていたが、ニミノヤ村やオーソイ町に比べて、娯楽施設なんかもかなり充実してそうな雰囲気があるな。
「特産品は何があるのかな?」
「と、とくさんひんって何だよ?」
……確かに。特産品の定義って何だ?
名物とは違うのか……?
……まぁ、細かいところは気にしなくていいだろう。
「うーん……よく収穫できる野菜とかたくさん作ってるものとか、有名なものかな?」
「……よく食べるのはさつまいもだよ!!」
それって孤児院にお金がないから、芋しか食べられないだけじゃあ……?
うぅ、今まで生意気な子供だと思っててごめんね。
町に着いたら何か奢ってあげるね……
そんなこんなしながら、途中もう一度休憩を挟み、徒歩2時間半の道のりを2時間で駆け抜けた。
……走っても意外と早くならないもんだな。
―◇◇◇―
「ほら!! ラツカヒ町はすぐそこだぞ!!」
……おぉー、すごい。ニミノヤ村やオーソイ町とは規模が違う。
というか、町を囲む柵からして全然違う。
ニミノヤ村は木の柵で、壊そうと思えば壊せるし、忍び込もうと思えば忍び込める程度のものだ。
しかし、ラツカヒ町は違う。
木ではなく何か硬そうなものでできていそうだし、日本のどこかの城のようにその壁から攻撃をしたりできそうな、要塞(?)と言っても過言ではない威圧感がある。
盗賊や魔物、他の町との戦闘が多かったりするのだろうか。
あとでこの町の冒険者ギルドに寄って、依頼を確認してみるのも面白そうかもな。
「……はぁ……はぁ……す、すごい大きい町……だね……」
「ふふん、だろ? 俺はあの町に住んでるんだぜ!!」
ようやく門の近くまでやって来られたが、行列がすごい。
数10mは並んでいる。
「へへっ、すげーだろ!! 毎日、旅人とか商人とかがたくさん来るんだぜ!!」
「ちなみに、これは入るまでにどのくらいかかるんだい?」
この列だと結構かかりそうだぞ。
「うーん、朝と夕方はもっとすごくて1時間以上かかることもあるみたいだけど、今の時間帯だと30分くらいじゃねーかなー?」
30分もかかるのか……
走り疲れて早く町に入りたいのに、行列に並ばなきゃいけないのはツラい……
「ははっ! まぁ、あれは商人なんかの列で、住民カードとか冒険者ギルドカードとか持ってるやつは隣の入口からすぐに入れるけどな!!」
そうなんかい!!
絶対、俺のことからかってるだろ!
―◇◇◇―
あっさり町に入ることができた。
ギルドカードを門番に見せたら、まったくもってスムーズに。
「な? すぐに入れただろ?」
すぐに入れたのは嬉しいけど、何か釈然としない……
ま、それは置いといて、すごい賑わいだ。
人の数が桁違いだ。
建物も大きいものや、コロシアムのようなものも見える。
「うわぁー、すごいなぁー」
「だろ? 俺がしっかり案内してやるから、そんなにビビるなよな」
「それじゃあ、さっそく孤児院に案内よろしく」
まずは事情を聞いて、解決できそうか判断する。
行動あるのみだ。
「えっと……あ、案内してやるから、もう少し町を見てから孤児院に行こうぜ!!」
ベルくん、急に態度が変わったな。慌てているというか……
そういえば、マーレさんとかいう人に黙って出てきたって言ってたな。
孤児院長はそんなに怖い人なのだろうか……?
「ダメ、ダメ。俺はライチさんから依頼を受けてるんだから、まずは孤児院に行かないと。依頼が終わったら、存分に案内してくれよ」
「い、いや……ちょ……まだ俺は自由を満喫したいいいぃぃぃぃぃ!!!!」
俺は嫌がるベルくんを引っ張って歩きだす。
……
…………
………………
「で……どっち?」
「知らないのに歩きだしたのかよ!?」
―◇◇◇―
「なんだよ、もうへばったのかよ。これだから、お前みたいなショボいおっさんは嫌だったんだ」
現在、ニミノヤ村から走り続けること約30分。
ニミノヤ村からオーソイ町までは歩いて約1時間半、ラツカヒ町まではそこから更に約1時間かかる。
つまり、ニミノヤ村からラツカヒ町までは歩いて2時間半かかるということだ。
その道をノンストップで駆け抜けるなんて、俺には無理だ。駅伝の選手じゃあるまいし。
こっちの世界に来てから結構体力がついたと思うが、せめて2回は休憩が欲しい……
「しょーがねーなー。10分だけだからな!!」
「はぁはぁ……ありがとうベルくん。ベルくんは全然疲れてなさそうだね」
「このくらい、猫人族なら3歳でも走れるぜ!!」
それは盛り過ぎー!!
いくらなんでも3歳はまだトテトテ走りでしょ。
まぁ、でも猫人族なら本当にこのくらいの距離は楽勝なのだろう。
地球人ですらフルマラソンを2時間で走りきれるんだからな。
「そういえば、ラツカヒ町に行くのは初めてなんだけど、どんなところなのかな?」
「お前、この辺に住んでてその歳までラツカヒ町に来たことないのか? 相当な田舎者だな!!」
確かにニミノヤ村は田舎だけど、お前の姉ちゃんも住んでるところだぞ……
それに地球はこの世界よりもっと栄えてたよ。人口や建造物だけを見ればな。
「しょーがねーなー、都会人の俺が教えてやるよ!! ラツカヒ町は人がたくさんいて、店もたくさんあって、動物の見世物小屋とか……あとは……と、とにかく色んなものがあるんだ!!」
孤児院に住んでるから、実はベルくんもそんなにラツカヒ町のこと知らないな?
地球の平塚は市だったから大きい町だろうと予想はしていたが、ニミノヤ村やオーソイ町に比べて、娯楽施設なんかもかなり充実してそうな雰囲気があるな。
「特産品は何があるのかな?」
「と、とくさんひんって何だよ?」
……確かに。特産品の定義って何だ?
名物とは違うのか……?
……まぁ、細かいところは気にしなくていいだろう。
「うーん……よく収穫できる野菜とかたくさん作ってるものとか、有名なものかな?」
「……よく食べるのはさつまいもだよ!!」
それって孤児院にお金がないから、芋しか食べられないだけじゃあ……?
うぅ、今まで生意気な子供だと思っててごめんね。
町に着いたら何か奢ってあげるね……
そんなこんなしながら、途中もう一度休憩を挟み、徒歩2時間半の道のりを2時間で駆け抜けた。
……走っても意外と早くならないもんだな。
―◇◇◇―
「ほら!! ラツカヒ町はすぐそこだぞ!!」
……おぉー、すごい。ニミノヤ村やオーソイ町とは規模が違う。
というか、町を囲む柵からして全然違う。
ニミノヤ村は木の柵で、壊そうと思えば壊せるし、忍び込もうと思えば忍び込める程度のものだ。
しかし、ラツカヒ町は違う。
木ではなく何か硬そうなものでできていそうだし、日本のどこかの城のようにその壁から攻撃をしたりできそうな、要塞(?)と言っても過言ではない威圧感がある。
盗賊や魔物、他の町との戦闘が多かったりするのだろうか。
あとでこの町の冒険者ギルドに寄って、依頼を確認してみるのも面白そうかもな。
「……はぁ……はぁ……す、すごい大きい町……だね……」
「ふふん、だろ? 俺はあの町に住んでるんだぜ!!」
ようやく門の近くまでやって来られたが、行列がすごい。
数10mは並んでいる。
「へへっ、すげーだろ!! 毎日、旅人とか商人とかがたくさん来るんだぜ!!」
「ちなみに、これは入るまでにどのくらいかかるんだい?」
この列だと結構かかりそうだぞ。
「うーん、朝と夕方はもっとすごくて1時間以上かかることもあるみたいだけど、今の時間帯だと30分くらいじゃねーかなー?」
30分もかかるのか……
走り疲れて早く町に入りたいのに、行列に並ばなきゃいけないのはツラい……
「ははっ! まぁ、あれは商人なんかの列で、住民カードとか冒険者ギルドカードとか持ってるやつは隣の入口からすぐに入れるけどな!!」
そうなんかい!!
絶対、俺のことからかってるだろ!
―◇◇◇―
あっさり町に入ることができた。
ギルドカードを門番に見せたら、まったくもってスムーズに。
「な? すぐに入れただろ?」
すぐに入れたのは嬉しいけど、何か釈然としない……
ま、それは置いといて、すごい賑わいだ。
人の数が桁違いだ。
建物も大きいものや、コロシアムのようなものも見える。
「うわぁー、すごいなぁー」
「だろ? 俺がしっかり案内してやるから、そんなにビビるなよな」
「それじゃあ、さっそく孤児院に案内よろしく」
まずは事情を聞いて、解決できそうか判断する。
行動あるのみだ。
「えっと……あ、案内してやるから、もう少し町を見てから孤児院に行こうぜ!!」
ベルくん、急に態度が変わったな。慌てているというか……
そういえば、マーレさんとかいう人に黙って出てきたって言ってたな。
孤児院長はそんなに怖い人なのだろうか……?
「ダメ、ダメ。俺はライチさんから依頼を受けてるんだから、まずは孤児院に行かないと。依頼が終わったら、存分に案内してくれよ」
「い、いや……ちょ……まだ俺は自由を満喫したいいいぃぃぃぃぃ!!!!」
俺は嫌がるベルくんを引っ張って歩きだす。
……
…………
………………
「で……どっち?」
「知らないのに歩きだしたのかよ!?」
―◇◇◇―
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる