パウー掌編集

さく

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金髪男子と彼女のお話シリーズ(NLらしくない)

お題「ハロウィン」

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 街がオレンジ色のイルミネーションに染まっていく。

 最近はもうすっかり定番になっているハロウィンカラーだ。
 帰国子女である彼はこの時期になるとそわそわし始めるのでよくわかる。
 ハロウィンは小さい頃の思い出のお祭りだったらしい。

「日本に来ても、楽しめるとは思わなかったよ」

 そう、にっこりと微笑む。

「ふぅん、でも、私らの年で『トリックオアトリート』っていうのは恥ずかしくない?」

 こういう時、私は少し意地悪だなと思う。

「何を言ってるんだい? 僕らはまだティーンエイジャーだよ?」
「ハイティーンだけどね」
「ぐぅ」

 そんなこんなで、彼はがっかりする。

「でも、子供にお菓子を配るのはやりたいなぁ」
「子供好きだっけ?」
「え? 大好きだよ。知らなかった?」

 知らなかったよ。

「そういえば、日本にも、ハロウィンの原型というべき同じようなイベントあったよね。去年僕頑張ったんだよ」

 そんなイベントあったかしら。
 私が頭を抱えて悩む。

「そんなのあったっけ……ひょっとして、百鬼夜行?」

 悩んで出した結論に、彼は大きな声で吹き出した。

「百鬼夜行はイベントじゃないよね?」

 百鬼夜行で通じる彼も彼だと思うけど、驚く所はそこじゃないよね。

「だって、みんなお化けとかのコスプレして練り歩くじゃない? 百鬼夜行だよね。あれ」
「ああ、確かに。でも、日本で一番近いのは節分だよ」
「はぁ!?」

 私は変な声を出してしまった。

「元々はね。収穫が終わってその一年の実りに感謝して、悪霊退散を祈願するお祭りだったんだ」
「ああ、それで節分」
「そ。鬼は外! ってあれ、悪霊退散だよね。しかも、節を分けるで、意味もあってる」
「はぁ、そうなんだぁ」
「日本の人ってあんまりこういうの気にしないよね」
「そうだね。外国の人のほうが詳しいかも。日本文化って特にね」
「あ、去年頑張ったって、ひょっとして、鬼の役やったの?」
「うん。失敗したのか、今年呼ばれず残念だった」

 そういう彼を見て私は肩を落とした。
 いっちゃなんだが、彼は結構イケメンである。

 鬼の面を外したらイケメンでした。とか、どこの少女漫画の世界よ!

「で、去年何があった?」
「終わった後、小さな女の子とそのお母さんが沢山来たけど、それは関係ないよね?」

 彼の無自覚さに心底あきれる私だった。
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