パウー掌編集

さく

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雑多な未分類掌編共(単発完結シリーズ)

お題「長手袋」

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 純白のオフショルダーのドレスに身を包み、そして、純白の長手袋に袖を通す。

「準備は出来たか?」
「うん」

 新婦の入場で、私は父とともにバージンロードを歩く。
 目の前の新郎の彼にバトンタッチし、賛美歌の後、神父の良くある口上が述べられた。
 日本人神父ではないので、微妙にイントネーションがおかしいが、そこは愛嬌だろう。

「チカァ~イマスカァ?」

 といわれると、失礼だけど吹き出しそうになってしまうが、吹き出してしまうと、先方にも大変失礼なのでぐっとガマンする。
 宣誓の後は指輪交換だ。
 すっと手をだして、はっと気づいた。

 長手袋してるじゃん。私。
 え、どうしよう。

 リハーサルの時は手袋なんてしてなかった。
 手袋の上からはめるの……かな?

 どきどきしていたら、彼がすっと私の長手袋を脱がして、その薬指に指輪をはめる。
 内心焦りまくってる私を前に、彼は堂々としたものだ。
 バージンロードを抜けて退場した後、

「長手袋、どうするか焦ったよ」
「私も」
「フォローできてれば良いけど」
「うん、バッチリだったと思う」

 そう言って二人で笑いあった。
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