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雑多な未分類掌編共(単発完結シリーズ)
お題「ツインテ」(GL)
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「ほらほら、ツインテ」
「うざいなぁ、自分の髪出やりなよ」
美佳は髪の毛を掴む私の手を払うと、腰まである髪を手にとってフフンと鼻を鳴らす。
「ほら、私の髪、長過ぎじゃない?ツインテなんて無理無理」
「ああ、はいはい。つやつやで綺麗な長い髪です事!」
そう言ってじゃれていたあの頃。
一月の中旬。
まだ正月ムードも終わらず、バレンタインデーで、友チョコ談義に華を咲かせる前に、私は彼女から悲しい話を聞くことになった。
ガンと宣告されたのだそうだ。
「幸いまだ大丈夫みたいだし。手術すれば、大事ないみたいだから」
そんな事をいう、美佳の顔は少し寂しそうだった。
そして、彼女は闘病のため、長期の休学となることになった。
見舞いに行った時の彼女は明らかに元気はなさそうだった。
「何かあったの?」
「そろそろ根治のための治療になるんだって」
「根治のためならいいじゃないの」
「抗がん剤……」
抗がん剤の副作用で髪が抜ける話は聞いたことがある。
美佳は綺麗なセミロングの髪だ。
じゃれ合いでツインテ~なんてやっていたのは触る口実だった。
「まさか髪の毛無くなるのが嫌。なんて事は無いよね?」
「サチだって、その長い髪を切られたら嫌でしょ!」
美佳がそこまで自分の髪に執着しているとは思わなかった。
「生きるためなら切るわよ。それに、私の髪程度で美佳が生きる気力につながるのなら喜んで切るわ」
「ちょっと、サチ、顔が怖いよ」
そう、私は心底怒っていた。
「いいわ、また一週間後くる。美佳はちゃんと治療受けなさいよね」
そう言って、病室から飛び出した。
廊下で、美佳のご両親と会う。
そして、私は色々と話を聞いた。
* * *
「ホントにいいんですね?」
「ええ、バッサリやって下さい」
なじみの美容院で、頭を掻きながら言う美容師に私は告げる。
ジャキリと、小気味よいはさみの音とともに、首筋に冷たい空気が入ってくるのが解る。
カットが終わり、細部を調整する。
ナチュラル・ショートボブ。
鏡に映った短い髪の私は、そんなにも悪くはなかった。
* * *
翌日、私は再び美佳の元を尋ねた。
「ちょっと!何で切っちゃったの?」
「心境の変化かしらね?」
「もしかして私のせい?」
私の髪を観て彼女は驚き、そして申し訳なさそうな顔をした。
「それで、治療は始まったの?」
「うん」
「流石にすぐに毛が抜ける訳じゃないのね」
「お医者さんが言うには3~4週間後からだって」
「そうなんだ」
この辺は実は、美佳のご両親からも聞いている。
その後、食事がまずくなったり気持ちが悪くなる愚痴を聞かされた。
私が居る間も何度か嘔吐いていたし、結構辛いのだろう。
私も長居するのは悪いとおもって、そうそうに切り上げた。
* * *
抗がん剤投与から、3週間も過ぎて、徐々に美佳の頭から髪の毛が抜けていったのが解った。
解っていた事とはいえ、美佳も私もショックではあった。
会う時には、頭にはニット帽をかぶり、薄くなった頭部を隠している。
恥ずかしがって会ってくれないかと不安になったが、面会許可してくれて、私はほっとしていた。
定期的に、学校の授業やら何やらを伝える。
「そうだ。今度お母さんがカツラ買ってくれるって」
「そうなんだ。……ニット帽、やっぱり落ち着かない?」
「落ち着かない訳じゃないんだけど、鏡に映った自分を観ると、ちょっと……ね」
そういう彼女は少し寂しそうだった。
明くる日、母親から一枚のカツラが美佳に手渡された。
その覚えのある感触に、美佳ははっとした。
「これって」
「うん、人毛カツラ」
「そうじゃなくて!この髪!」
「お察しの通りよ」
美佳はそのカツラを胸に抱きしめると。目を伏せた。
* * *
私が病室を尋ねると、美佳はニット帽ではなく、可愛らしいショートカットになっていた。
「あ、カツラ届いたんだ。似合ってるじゃん」
しれっとそんな事を言う。
「サチ」
「何よ」
「これサチの髪だよね?」
はぁ……と私はため息をついた。
何でこんなに早くばれたんだろう。
「なんで……」
「何でって、言ったじゃないの。美佳が生きる気力につながるなら喜んで切るって」
「そんな」
「切った髪は勿体ないから、お母さんに渡したの。それだけよ」
「それでも」
「だからよ。早く直して。美佳がいないと、学校つまんないよ」
「うん……うんっ」
「だけど、もうちょっと長くなると思ったんだけど、そうでもなかったわね。長かったら、ツインテ~って遊ぼうとしたのに」
「何よ……それ」
目尻の涙を拭きながら笑う美佳の頭を、私は優しく撫でるのだった。
「うざいなぁ、自分の髪出やりなよ」
美佳は髪の毛を掴む私の手を払うと、腰まである髪を手にとってフフンと鼻を鳴らす。
「ほら、私の髪、長過ぎじゃない?ツインテなんて無理無理」
「ああ、はいはい。つやつやで綺麗な長い髪です事!」
そう言ってじゃれていたあの頃。
一月の中旬。
まだ正月ムードも終わらず、バレンタインデーで、友チョコ談義に華を咲かせる前に、私は彼女から悲しい話を聞くことになった。
ガンと宣告されたのだそうだ。
「幸いまだ大丈夫みたいだし。手術すれば、大事ないみたいだから」
そんな事をいう、美佳の顔は少し寂しそうだった。
そして、彼女は闘病のため、長期の休学となることになった。
見舞いに行った時の彼女は明らかに元気はなさそうだった。
「何かあったの?」
「そろそろ根治のための治療になるんだって」
「根治のためならいいじゃないの」
「抗がん剤……」
抗がん剤の副作用で髪が抜ける話は聞いたことがある。
美佳は綺麗なセミロングの髪だ。
じゃれ合いでツインテ~なんてやっていたのは触る口実だった。
「まさか髪の毛無くなるのが嫌。なんて事は無いよね?」
「サチだって、その長い髪を切られたら嫌でしょ!」
美佳がそこまで自分の髪に執着しているとは思わなかった。
「生きるためなら切るわよ。それに、私の髪程度で美佳が生きる気力につながるのなら喜んで切るわ」
「ちょっと、サチ、顔が怖いよ」
そう、私は心底怒っていた。
「いいわ、また一週間後くる。美佳はちゃんと治療受けなさいよね」
そう言って、病室から飛び出した。
廊下で、美佳のご両親と会う。
そして、私は色々と話を聞いた。
* * *
「ホントにいいんですね?」
「ええ、バッサリやって下さい」
なじみの美容院で、頭を掻きながら言う美容師に私は告げる。
ジャキリと、小気味よいはさみの音とともに、首筋に冷たい空気が入ってくるのが解る。
カットが終わり、細部を調整する。
ナチュラル・ショートボブ。
鏡に映った短い髪の私は、そんなにも悪くはなかった。
* * *
翌日、私は再び美佳の元を尋ねた。
「ちょっと!何で切っちゃったの?」
「心境の変化かしらね?」
「もしかして私のせい?」
私の髪を観て彼女は驚き、そして申し訳なさそうな顔をした。
「それで、治療は始まったの?」
「うん」
「流石にすぐに毛が抜ける訳じゃないのね」
「お医者さんが言うには3~4週間後からだって」
「そうなんだ」
この辺は実は、美佳のご両親からも聞いている。
その後、食事がまずくなったり気持ちが悪くなる愚痴を聞かされた。
私が居る間も何度か嘔吐いていたし、結構辛いのだろう。
私も長居するのは悪いとおもって、そうそうに切り上げた。
* * *
抗がん剤投与から、3週間も過ぎて、徐々に美佳の頭から髪の毛が抜けていったのが解った。
解っていた事とはいえ、美佳も私もショックではあった。
会う時には、頭にはニット帽をかぶり、薄くなった頭部を隠している。
恥ずかしがって会ってくれないかと不安になったが、面会許可してくれて、私はほっとしていた。
定期的に、学校の授業やら何やらを伝える。
「そうだ。今度お母さんがカツラ買ってくれるって」
「そうなんだ。……ニット帽、やっぱり落ち着かない?」
「落ち着かない訳じゃないんだけど、鏡に映った自分を観ると、ちょっと……ね」
そういう彼女は少し寂しそうだった。
明くる日、母親から一枚のカツラが美佳に手渡された。
その覚えのある感触に、美佳ははっとした。
「これって」
「うん、人毛カツラ」
「そうじゃなくて!この髪!」
「お察しの通りよ」
美佳はそのカツラを胸に抱きしめると。目を伏せた。
* * *
私が病室を尋ねると、美佳はニット帽ではなく、可愛らしいショートカットになっていた。
「あ、カツラ届いたんだ。似合ってるじゃん」
しれっとそんな事を言う。
「サチ」
「何よ」
「これサチの髪だよね?」
はぁ……と私はため息をついた。
何でこんなに早くばれたんだろう。
「なんで……」
「何でって、言ったじゃないの。美佳が生きる気力につながるなら喜んで切るって」
「そんな」
「切った髪は勿体ないから、お母さんに渡したの。それだけよ」
「それでも」
「だからよ。早く直して。美佳がいないと、学校つまんないよ」
「うん……うんっ」
「だけど、もうちょっと長くなると思ったんだけど、そうでもなかったわね。長かったら、ツインテ~って遊ぼうとしたのに」
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目尻の涙を拭きながら笑う美佳の頭を、私は優しく撫でるのだった。
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