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リリース 【解放】
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翌日、宣言通り、魁真は真川を連れて家まで来てくれた。
真川はやはり昨日のことをまだ気にしているらしく、少々機嫌も悪いようで、一言も喋らない。
銀はあることを話すため2人に「上がってよ」と言う。
真川は少々躊躇いながらも、魁真に押されて家に上がっていた。
2人を客間に案内して銀は話し始める。
「魁真は知ってるだろうけど、僕が学校を嫌悪する理由を教えるよ」
すると、今まで口を閉じていた真川が、
「なんで?こんな突然に」
と言う。
「昨日の詫びみたいなもんだよ」
と、銀は言う。
真川は「ふーん」と言って、再び口を閉ざした。
そして、銀は、小学校の頃の話を始めた。
その間、真川はずっと黙っていたが、しっかりと聞いてくれているようだった。
話終わったあと、真川が、
「ふーん。拒否の理由はわかったわ。じゃあ私は帰るわね」
と、言ったので銀は慌てて真川を引き止め、
「待って。ここからは二人共知らない話だから。僕の拒否のもう一つの理由…」
銀は一番話したかったであろうことを話し始める。
「僕は、学校も嫌だったけど、友達が、魁真が傷つくのはもっと嫌だった。あの時、魁真だけは僕を庇ってくれた。だけどそのせいで魁真まで責め立てられるんじゃないかって僕は思ったんだ。だから、魁真に関わらない方が魁真のためになるんじゃないかと思って…」
そこまで言ったところで魁真が叫んだ。
「銀!?何言ってんだよ…!俺のために登校拒否だって!?ふざけんな!誰がお前が登校拒否して喜ぶんだよ!」
銀は、久しく聞いた親友の怒鳴り声に、
「だって…魁真まで『偽善者』って言われるのは嫌だから…!」
と言うが魁真は納得してくれなかった。
すると、2人の話を聞いていた真川が口をはさむ。
「白牙。金剛の言うことももっともよ。私だって同じ立場だったら同じ考えになると思うわ。それに…」
一呼吸置いて真川が言う。
「たとえ偽善者だったとしても、その偽善で他の誰かが少しでも幸せになってくれればそれでいいと思わない?」
真川が優しい微笑みで言ったその言葉に、銀は衝撃を受けた。
「で、でも…あの時幸せになった人なんて…」
銀は俯きながら言う。
すると、やっと落ち着いた魁真はニカッと笑って、
「そりゃあ、学校が綺麗になって不幸な奴なんていないだろ?」
と言う。
銀は無意識に微笑んでいた。
俯きながらだったのでほとんど見えないが確かに微笑んでいた。
「ほら、貴方だって笑えるじゃない」
真川にそう言われ、銀はやっと自分が微笑んでいることに気付く。
銀はそれを恥ずかしそうに隠すが、
「ほらほら~、隠すなって~。俺も、最近は銀の笑顔見てないんだからさ~」
と魁真は言ってくる。
「ふふっ」
真川の笑い声が聞こえた。
ふと顔を上げると、真川も笑顔だった。
その顔はさっきの微笑みとはまた別の無邪気な感じがあった。
「可愛い…」
銀はそう零していた。
ちょうど、真川と真正面の位置で言ってしまったので、真川の顔が紅く染まるのが目に見えてわかる。
「あ、いや!何でもないから!」
銀は慌てて隠そうとするが、
「別にいいわよ…。…ありがと」
と、真川は答えた。
「おー?ラブラブですな~」
と、魁真が言うと、
「黙ってろ魁真!」「黙れ金剛!」
と、2人同時に殴った。
「ひ、ひでぇ…」
真川はため息を付くと、
「じゃあ、今度こそ私は帰るわね」
と、言う。
「あ、ああ。じゃあな」
と、銀は答える。
銀が、玄関まで見送りに行くと、途中で真川はこちらを向き、
「明日から、学校来なさいよ!」
と、いつもの口調で言っていたが、口元は笑っていた。
「わかった」
と、答えると、真川は再び歩きだす。
「真川」
銀は後ろから声をかける。
「ありがとな。あの言葉、忘れないよ」
と、言った。
一瞬何のことかわからなかった様子だったが、すぐに、
「どういたしまして」
と、真川は言って、今度こそ帰っていった。
Fin.
あとがき
翌日から銀は登校するようになりますが、そこでのお話は貴方が考えてください。
または、私(作者)が書くかも知れません。
ですが予定的に言うと、未定なので、ここで一度hypocrisy[偽善]は終わりです。
読んでくださった方々へ
本当にありがとうございました。
また、他の作品で会いましょう。
hypocrisy[偽善]作者 calm
真川はやはり昨日のことをまだ気にしているらしく、少々機嫌も悪いようで、一言も喋らない。
銀はあることを話すため2人に「上がってよ」と言う。
真川は少々躊躇いながらも、魁真に押されて家に上がっていた。
2人を客間に案内して銀は話し始める。
「魁真は知ってるだろうけど、僕が学校を嫌悪する理由を教えるよ」
すると、今まで口を閉じていた真川が、
「なんで?こんな突然に」
と言う。
「昨日の詫びみたいなもんだよ」
と、銀は言う。
真川は「ふーん」と言って、再び口を閉ざした。
そして、銀は、小学校の頃の話を始めた。
その間、真川はずっと黙っていたが、しっかりと聞いてくれているようだった。
話終わったあと、真川が、
「ふーん。拒否の理由はわかったわ。じゃあ私は帰るわね」
と、言ったので銀は慌てて真川を引き止め、
「待って。ここからは二人共知らない話だから。僕の拒否のもう一つの理由…」
銀は一番話したかったであろうことを話し始める。
「僕は、学校も嫌だったけど、友達が、魁真が傷つくのはもっと嫌だった。あの時、魁真だけは僕を庇ってくれた。だけどそのせいで魁真まで責め立てられるんじゃないかって僕は思ったんだ。だから、魁真に関わらない方が魁真のためになるんじゃないかと思って…」
そこまで言ったところで魁真が叫んだ。
「銀!?何言ってんだよ…!俺のために登校拒否だって!?ふざけんな!誰がお前が登校拒否して喜ぶんだよ!」
銀は、久しく聞いた親友の怒鳴り声に、
「だって…魁真まで『偽善者』って言われるのは嫌だから…!」
と言うが魁真は納得してくれなかった。
すると、2人の話を聞いていた真川が口をはさむ。
「白牙。金剛の言うことももっともよ。私だって同じ立場だったら同じ考えになると思うわ。それに…」
一呼吸置いて真川が言う。
「たとえ偽善者だったとしても、その偽善で他の誰かが少しでも幸せになってくれればそれでいいと思わない?」
真川が優しい微笑みで言ったその言葉に、銀は衝撃を受けた。
「で、でも…あの時幸せになった人なんて…」
銀は俯きながら言う。
すると、やっと落ち着いた魁真はニカッと笑って、
「そりゃあ、学校が綺麗になって不幸な奴なんていないだろ?」
と言う。
銀は無意識に微笑んでいた。
俯きながらだったのでほとんど見えないが確かに微笑んでいた。
「ほら、貴方だって笑えるじゃない」
真川にそう言われ、銀はやっと自分が微笑んでいることに気付く。
銀はそれを恥ずかしそうに隠すが、
「ほらほら~、隠すなって~。俺も、最近は銀の笑顔見てないんだからさ~」
と魁真は言ってくる。
「ふふっ」
真川の笑い声が聞こえた。
ふと顔を上げると、真川も笑顔だった。
その顔はさっきの微笑みとはまた別の無邪気な感じがあった。
「可愛い…」
銀はそう零していた。
ちょうど、真川と真正面の位置で言ってしまったので、真川の顔が紅く染まるのが目に見えてわかる。
「あ、いや!何でもないから!」
銀は慌てて隠そうとするが、
「別にいいわよ…。…ありがと」
と、真川は答えた。
「おー?ラブラブですな~」
と、魁真が言うと、
「黙ってろ魁真!」「黙れ金剛!」
と、2人同時に殴った。
「ひ、ひでぇ…」
真川はため息を付くと、
「じゃあ、今度こそ私は帰るわね」
と、言う。
「あ、ああ。じゃあな」
と、銀は答える。
銀が、玄関まで見送りに行くと、途中で真川はこちらを向き、
「明日から、学校来なさいよ!」
と、いつもの口調で言っていたが、口元は笑っていた。
「わかった」
と、答えると、真川は再び歩きだす。
「真川」
銀は後ろから声をかける。
「ありがとな。あの言葉、忘れないよ」
と、言った。
一瞬何のことかわからなかった様子だったが、すぐに、
「どういたしまして」
と、真川は言って、今度こそ帰っていった。
Fin.
あとがき
翌日から銀は登校するようになりますが、そこでのお話は貴方が考えてください。
または、私(作者)が書くかも知れません。
ですが予定的に言うと、未定なので、ここで一度hypocrisy[偽善]は終わりです。
読んでくださった方々へ
本当にありがとうございました。
また、他の作品で会いましょう。
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