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お ま け 肆 。
しおりを挟む両親から話を聞いた後の私は、ボーと空をよく眺めていた。心の何かがポッカリ空いた、そんな脱力した日々を送っていた。
時折、心配で部屋に来る両親へ笑顔で応えるのも、申し訳無く思っていた所だった。
ある日、ひとりの少年がこの家の執事見習いとしてやって来た。
この縮んだ身丈の年齢のそれと少しだけ上か、それでも近そうだったので、遊び相手になるかも知れないと思った。いや、これからこの身に降りかかる災いから、少しでも自分の味方が欲しかっただけかも知れない。
そうして、私はよく眺めていた空から、少年を眺める日々となった。
少年の名は、『 セバスチャン・ゼファード 』といい、隣町のそこそこの貴族であったらしいが、不慮の事故で両親を亡くしてしまい、爵位継承も親族内でのいざこざもありうまくいかず、財産は少年達に渡らず金銭で苦しめられる事になる。妹を養う為、執事として出稼ぎに来たとお父様から聞いた。
転生人の宿命などと、まだ来てもいない災いに気落ちしていた、自分自身が恥ずかしく思った。親族の助けを一切受けることも無く、唯一残された家族である妹の支えになろうとしている少年にひどく心を打たれた。
私はこの少年に、前世のとても優しかった彼を思い出しては重ねて見ていた。
私は自分の味方を作るよりも、そんな少年の味方の一人でありたいと誓った。
それからの私は少年を眺めながらも、古代語魔法書の活字を多めに眺めるようになる。積極的に魔法学の基礎を身につけようと庭園の隅で修行に励んだ。16の年になれば、上級古代語魔法科学院での学生生活が始まる。悪役令嬢として過酷な日々を乗り切るのもそうだが、自分以外の人を護れる精神と、物理的な強さを身につけたいと思っていた。
それに私は、上級古代語魔法の書籍の中から、『 転生 』についての記述を見つけていた。もしかしたら、前世に戻ることが可能かもしれないと淡い夢も抱いていた。
私は心の中で強く強く想う。
「 彼に逢いたい 」と———。
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