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第13話 二度目の人生(ただし一週目)②
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ある日、彼女に合わせたい人がいるから来てほしいと連絡があった。
彼女のたっての願いなのでもちろん行くのだが、彼女の両親には二週間前に会ったばかりで相手の想像がつかない。
彼女の親友か幼馴染か、そんなことを考えながら約束のカフェへ出向いた。
彼女とその紹介したい人物は先に到着しており、二人が座るボックス席の彼女の隣に着席した。
そして、目の前の人物、女性を見たときに一瞬呼吸が止まった。
母だ。
正確には一度目の人生での母だが、僕にとっては唯一の母と言ってよい。
最後に会ったのがもう5年以上前になるので髪の毛に白髪が目立つが間違いない。
なぜここに。。。
僕は動揺を隠すように店員を呼んで飲み物をオーダーすると彼女が説明を始めてくれた。
なんでも彼女が高校生の時に隕石が落下したそばにいたのだが、一度目の人生の僕に突き飛ばされて九死に一生を得たらしいのだ。
その時、彼女は再度何かが落ちてくるかと思いすぐに現場を離れたのだが後からそれが隕石だったと知り、また自分が一度目の人生の僕に命を救われたと知って、しばらくしてから母に連絡を取ったというのだ。
そして、彼女の初恋の相手というのが命を救ってくれた一度目の人生の僕らしいのだ。
だが、僕には彼女を突き飛ばした記憶がない。
いや、正確には隕石が落下し僕に命中した前後の記憶がないのだ。
彼女が僕を呼んだ目的は、命の恩人の母に婚約者の僕を紹介したいということだった。
彼女の話は初めて知ることが多く、僕は黙ってそれを聞いていた。
それに彼女の目の前、僕から見て斜め前に座っている母のことが何よりも気になった。
あまりじろじろ見るのも失礼かと思いチラチラ母を見ていたのだが、それは母も同じようで話に夢中になっている彼女をよそに視線が合っては逸らす時間が続いた。
しばらくして母が言った。
『少しお手洗いに失礼するわね。』
そういって席を立った。
5分程経った頃だろうか、母が戻ってこないので様子を見に行ってみた。
洗面所の入り口まで来た僕は鏡の前で泣いている母を発見した。
『どうなさったんですか?』
僕が聞くと母は言った。
『ごめんなさいね。
あなたを見て急に息子のことを思い出してしまって。
あなた、とてもよく息子に似ているの。
当たり前のように何も聞かずにミルクティーを頼んでくれるところとか、コーヒーにミルクを入れて混ぜずに飲むところとか。
いなくなって、もう何年も経つのにね。』
その言葉を聞いて、僕は母を無言で抱きしめた。
『母さん』と呼びたい気持ちをひたすら我慢して。
彼女のたっての願いなのでもちろん行くのだが、彼女の両親には二週間前に会ったばかりで相手の想像がつかない。
彼女の親友か幼馴染か、そんなことを考えながら約束のカフェへ出向いた。
彼女とその紹介したい人物は先に到着しており、二人が座るボックス席の彼女の隣に着席した。
そして、目の前の人物、女性を見たときに一瞬呼吸が止まった。
母だ。
正確には一度目の人生での母だが、僕にとっては唯一の母と言ってよい。
最後に会ったのがもう5年以上前になるので髪の毛に白髪が目立つが間違いない。
なぜここに。。。
僕は動揺を隠すように店員を呼んで飲み物をオーダーすると彼女が説明を始めてくれた。
なんでも彼女が高校生の時に隕石が落下したそばにいたのだが、一度目の人生の僕に突き飛ばされて九死に一生を得たらしいのだ。
その時、彼女は再度何かが落ちてくるかと思いすぐに現場を離れたのだが後からそれが隕石だったと知り、また自分が一度目の人生の僕に命を救われたと知って、しばらくしてから母に連絡を取ったというのだ。
そして、彼女の初恋の相手というのが命を救ってくれた一度目の人生の僕らしいのだ。
だが、僕には彼女を突き飛ばした記憶がない。
いや、正確には隕石が落下し僕に命中した前後の記憶がないのだ。
彼女が僕を呼んだ目的は、命の恩人の母に婚約者の僕を紹介したいということだった。
彼女の話は初めて知ることが多く、僕は黙ってそれを聞いていた。
それに彼女の目の前、僕から見て斜め前に座っている母のことが何よりも気になった。
あまりじろじろ見るのも失礼かと思いチラチラ母を見ていたのだが、それは母も同じようで話に夢中になっている彼女をよそに視線が合っては逸らす時間が続いた。
しばらくして母が言った。
『少しお手洗いに失礼するわね。』
そういって席を立った。
5分程経った頃だろうか、母が戻ってこないので様子を見に行ってみた。
洗面所の入り口まで来た僕は鏡の前で泣いている母を発見した。
『どうなさったんですか?』
僕が聞くと母は言った。
『ごめんなさいね。
あなたを見て急に息子のことを思い出してしまって。
あなた、とてもよく息子に似ているの。
当たり前のように何も聞かずにミルクティーを頼んでくれるところとか、コーヒーにミルクを入れて混ぜずに飲むところとか。
いなくなって、もう何年も経つのにね。』
その言葉を聞いて、僕は母を無言で抱きしめた。
『母さん』と呼びたい気持ちをひたすら我慢して。
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