理想の転生 ~神っぽい存在との対話~

ロン・イーラン

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第15話 神と名乗る男

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僕はほし わたる
19歳になる、どこにでもいる普通の大学生だ。
だが、僕の前に奇妙な男が現れた。

自分のことを神だというのだ。
見た目は60歳から70歳くらいの銀髪で服装はポロシャツにチノパン。
おおよそ僕のイメージする神とはかけ離れている。
今までの僕の神に対するイメージは、禿げていて頭部の左右にのみ白髪が残っていて、白いひらひらした服を着ているというものだった。
口調も『私は。。。』みたい感じで神というよりは親戚の叔父さんと話しているような感じだ。
エイプリルフールはとうに過ぎていたので只のキ印かと思っていたのだが、僕の過去から本棚にあるアダルトDVDのタイトルまで知っている事実を突きつけられるとこの男が神である可能性を考慮こうりょせざるを得なくなった。

なんでも、明日渋谷に小型隕石が落ちるのだが、その隕石が高校生の女の子に衝突するのを防いで欲しいとのことだ。
神ならばそれくらい自分ですればいいと言ったのだが、地球上では3分間しか力を発揮できないとか、パラドックスに矛盾が生じるとか、自分は神であって超神ちょうかみではないとかよくわからない理論で押し切られてしまった。

僕が一番気にしていたのは明日の一限いちげん目にある必須科目の出席なのだが、それはもう何十年も前から出席になるよう手筈てはずを整えているらしい。
全く用意周到なのか、抜けているのかよくわからない、僕にとっては神というより神っぽい存在だ。
そんな僕が渋々協力する気になったのは、神が僕に見せた救うべき女の子の写真だった。
色白で肩まで優に届く黒髪、はっきりとした目鼻に薄い唇、ほっそりとした身体つき、あらゆる点で僕の好みだったのだ。

神は明日の朝の作戦について話す。
『隕石は朝の8時半ごろ、東の空から道玄坂どうげんざか方面に向かって飛来してスクランブル交差点の中心からやや西に着弾する。
 君にお願いしたいのはスクランブル交差点の北西の角から歩いている人を監視し、彼女を見つけたら避難させることだ。
 私は交差点の南西から監視する。』

僕はそれを聞いて、なんともアバウトというかリスキーな作戦だと思い質問する。
『もし見つけられなかったらどうするんですか?
 渋谷のスクランブル交差点なんて朝でもすごい人の量だし、見つけられないかもしれないですよ。』

だが、神はこう言う。
『必ず見つけて避難させるんだ。
 そうしないと最悪彼女は死んでしまうし、詳しく話せないが君の人生も大きく変わってしまう。
 とにかく彼女を見つけたらタックルでも突き飛ばしてでもいい。
 着弾予想地点からできるだけ離すんだ。』
神の気迫きはくに押されて、僕はただうなずくことしかできなかった。


作戦決行の朝が来た。
僕と神と名乗る男は予定の位置に陣取る。
交差点は僕の思った通り人が多く、朝っぱらから外国人観光客もいた。
しかも彼らは動きが遅く、交差点のいたるところで写真やビデオをとるので保護対象の発見の邪魔となっていた。

8時25分を過ぎるがまだ対象者の発見ができない。
時間がじりじりと経過する。
26、27、28、29分。
まだ見つからない。

と、交差点で監視を続ける僕の隣に一人の少女が信号待ちで立ち止まった。
似ている。。。が、写真で見たよりも幼く見える。
それに写真では透き通るような白い肌に見えたが、このは血色が良くそこまで白くないように見える。
同一人物か?
飛び掛かるべきか?
いや、ここでタックルしても着弾予定地点に近すぎる。

信号が青になり彼女が東の駅方面に向かって歩き出す。
僕は確証が得られないままその娘の後ろを2メートルほど離れて尾行する。
その時、ふと空を見上げた。
遠くから飛行機雲のようなものがこちらに伸びてくる。
とっさに神と名乗る男の方を見る。

『そのだ!突き飛ばせ!!』
神と名乗る男は僕たちの方に走りながら叫んでいた。
僕は『ゴメン!』といいながら彼女を突き飛ばし、そのまま自分も地面に倒れこんだ。
そして、倒れこんだ僕の上に神と名乗る男がおおいかぶさり、1秒置かずにしてものすごい衝撃波を全身に感じた。
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