Don't be afraid

由奈(YUNA)

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ありさ

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小走りで近づいてサングラスを外した


「ごめん、遅れた」


「いやいや、まだ1分前だよ?遅刻じゃないよ!」



コウはそう言ったけど、私は苦笑い


ほぼ遅刻じゃん、ギリギリって



「お腹すいたから入ろ?」



志保は私が遅いのを気にしない感じでちょっと安心した


長袖のTシャツに細身のジーンズが似合っていて


可愛いより格好いい感じで志保らしい







「れーん、また来たよー!」


コウは常連なのか店員の挨拶より先に声をあげた



「またかよ……って今日はしーちゃんとありさもいるの!?」



カウンターの内側にいる蓮は別人みたいだった


汗だくになりながらも頭にタオル巻いて、服は店の名前入りのTシャツで


生き生きと仕事をしている感じに見えて羨ましかった





私は知り合いが店に来たら嫌だもん



あぁやって汗だくになりながらも働くって達成感ありそうだなって思った



………まぁ私はやれないなとも思うけど





「へぇ、はじめてだなぁ、食券買うの」



そう言いながら志保は食券機を見てメニュー考えてて


「俺は決まった!」


コウは食券機を見ることもなく決めたみたい


さすが、常連客




私はどうしようかと眺めてて


おすすめが味噌だったから味噌に決めた




「ありさは決まった?」


「うん、味噌にする」


「私も味噌にする
おすすめみたいだし」



「じゃあ今日は俺のおごり!」




そう言ってコウが味噌ラーメンの食券を3枚買った



「待って!それは駄目だよ!私は働いているんだしっ!

コウは大学生でしょ?収入私のがあるから!」



高校生の志保ならまだしも


私がおごってもらうはまずいでしょ?




「じゃあさ、今度おごってよ?

今日は俺、次はありさ

それでどう?」



そうコウは言ってニコッと笑った





コウはうまいよね


『次』をこうやって作ってくれることが




私と出掛けるのはまだあるんだから


早まるなよ?って遠回しに言われてる気がするよ





そう言われると断る理由がなくなって


私はおごってもらう事になった


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