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第四章「三竦蠱毒闇(さんすくみこどくのくらがり)」
【魂魄・壱】『輝く夜に月を見た』29話「蜘蛛の糸」
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夢の中でもハルは奥深い真っ暗な洞窟の中にいた。
その暗く長い坑道を進んで行くと大きく広けた空間に行き着き、中央には漆が塗られた厳かな宮殿が見えた。
一歩ずつ前へ進んでいくと彼の歩みに合わせて灯篭に火が灯り、大きな鳥居をくぐり更に歩みを進めると左右の灯籠に次々に明かりが灯る。
両端に祠が設けられ注連縄がかけられた主殿に辿り着いた頃には主殿に一際大きな光が灯った。ハルが主殿に近付こうとすると周囲には自分以外にも多くの人々がいるのに気付く。
彼らは一様に表情が暗く声をかけても梨の礫だった。尚も煌々と輝く主殿の傍らに座り、ハルはそこにいる人々をボンヤリと見つめる。すると洞窟の天井から一筋の光輝く糸が垂れ下がってきた。
辿った糸の先には美しい音曲が奏でられ甘い香りを放つ天空が広がり、そこに行けばきっと豊かな気持ちになれるのだろうと希望に心が満ち溢れてくる。
どうやら膝を抱えて暗い顔をした人々も同じ心持ちのようで、彼らはその天空から垂れ下がった光り輝く一本の糸に一斉に群がりはじめた。すると近くにいた女性がハルのそばに近寄り「あなたは行かないの?」と尋ねた。
ハルは横にゆっくりと首を振り「先にいた彼らが行くべきだ。自分は最後でいい」と思った。そして「君は先に行きな」と視線を彼女に向けると女性は彼の意を組んだのか優しく微笑んだ。
人々が慌てふためく声が聞こえてハルは驚いて糸に群がった人々に目を遣る。
糸は大勢の人が群がり他人を足蹴にして登った重みで今にも切れてしまいそうだった。ハルは「みんなで掴んだら糸が切れちゃうっ」と叫んだが夢の中なので声は出なかった。
ハルの制止の思いは彼らの耳に届かず人々が我れ先にと掴んだ糸は途中でプツリと切れて、彼らは落下し地面に叩きつけられると煙が風に舞ったように消滅してしまった。
女性はハルを優しく見つめると手を差し伸べて「あなたは彼らと違うね」と優しく微笑んだ。
ハルははじめ訝しく女性を見つめたが、少し躊躇したあとに彼女の手を握った。その手は想像以上に暖かく柔らかいことに少しだけ驚く。
女性がハルを連れて輝く宮殿から鳥居に向かって歩いて行くと、いつの間にか主殿に灯った光は消え、振り返ったハルは不思議な気持ちで一杯になった。
二人の歩みに連動するように道を照らす灯篭の光が一つ一つ消えていき、最後の灯篭の明かりが消えて鳥居を潜り抜けると、手を引いた女性がハルの方に振り向いて、こう呟いた。
「他者を慮れない者は己も大切にされません。貴方の強さを見ました」
「えっ」
「私はもう永くありません。力を貸しましょう」
「あなたは……」
すると女性が発した光が全てを包み込み真っ白で何も見えなくなった。
ハルはハッとして目を覚ますと女性は一体誰だったのだろう、鳥居の先にある宮殿は何だったのだろうと考えたが、答えの出ない謎が頭の中をグルグルと周った。
暫く考え込んで顔を上げると焚き火の前からは蜘蛛が姿を消し、道を塞いでいた瓦礫もなくなり、洞窟の奥へと道が続いていた――。
○
「もぅやだっ、歩きたくないっ」
「ワガママ言うなっ、置いてくぞ」
「わたしを置いてったらキジさんの面倒は誰がみるのよ」
「ふんっ、俺がみればいいだろがッ」
「ヘンタイっ、ヒト化できなくなったキジさんにあんな事やこんな事をするつもりでしょ」
「なっ、するかッ」
「まぁまぁトキ、落ち着いて。カグヤは僕が背負うから」
「キザシはカグヤに甘いんだよ。コイツ、どんどん図に乗るぞ」
「何よバカっ、ベーだッ」
「あんだとッ」
結局キザシがカグヤを背負って先を急ぐことになった。
彼の背中でとびきりの笑顔を振りまいて御機嫌なカグヤは、ピョコピョコとウサギ耳をバタつかせて「ほらー、もっと急いで-」とキザシを急かしている。
人の良いキザシは「はい、はい」とワガママな少女に怒ることもせずに言われるがままだ。そんな二人に飽きれ果てたトキは苛々しながら獣道を我武者羅に進んでいく。
「それはそうと小鴉を持つのは、どんなヤツなんだろう」
「穢土に反抗するとは一大勢力だろうな。きっと束ねるのは光圀と同じくらい強いヤツかも知れねぇぞ」
「話が通じる相手であればいいけど……」
「シッ、何かが……来るっ」
キザシの背中でカグヤが耳を立てた。彼女の耳が頭の上にあるのは周りの様子を伺うのに適していて、実際にキザシやトキよりも敏感に周囲の異変を察知していた。
――カリカリカリ
何か大きくて硬いものが地を這いずるような不気味な音がしてくる。
それはキザシ達に向かって徐々に近付いて来る。一方向から聞こえる音は次第に辺り一面から聞こえるようになり、アッという間に三人を取り囲んだ。
周囲が暗くなり音が上から聞こえた気がしてカグヤが見上げると、彼女は顔を青くし震えて「あ、あれ……」と驚愕の声をあげた。
「カリカリ……汝らはヒトか、何しにきた」
キザシが泡を吹いて気絶したカグヤを背負って見上げると、それは大木よりも遥かに太くて大きい大蜈蚣だった。
不気味な音の正体はこの蜈蚣の無数の足が軋む音で、巨大な頭を持ち上げると器用にも百はあろう足を使い蛇のようにとぐろを巻いて三人をとり囲んでいく。
尋常でない巨体に巧みに言葉を操る能力。ただの虫ではなく西国で虫怪羅と呼ばれる半獣であるとキザシは思った。
もしかするとこの大蜈蚣は小鴉の継承者もしくは在処を知る者かも知れない。キザシは意を決し蜈蚣に話しかけた。
「僕達は小鴉という刀を探しているんです。魂魄が分れてしまった友人を助けたい……何か知っていますか」
「小鴉だと……あの刀を知るとは……さては貴様、紗君の手下かッ」
その暗く長い坑道を進んで行くと大きく広けた空間に行き着き、中央には漆が塗られた厳かな宮殿が見えた。
一歩ずつ前へ進んでいくと彼の歩みに合わせて灯篭に火が灯り、大きな鳥居をくぐり更に歩みを進めると左右の灯籠に次々に明かりが灯る。
両端に祠が設けられ注連縄がかけられた主殿に辿り着いた頃には主殿に一際大きな光が灯った。ハルが主殿に近付こうとすると周囲には自分以外にも多くの人々がいるのに気付く。
彼らは一様に表情が暗く声をかけても梨の礫だった。尚も煌々と輝く主殿の傍らに座り、ハルはそこにいる人々をボンヤリと見つめる。すると洞窟の天井から一筋の光輝く糸が垂れ下がってきた。
辿った糸の先には美しい音曲が奏でられ甘い香りを放つ天空が広がり、そこに行けばきっと豊かな気持ちになれるのだろうと希望に心が満ち溢れてくる。
どうやら膝を抱えて暗い顔をした人々も同じ心持ちのようで、彼らはその天空から垂れ下がった光り輝く一本の糸に一斉に群がりはじめた。すると近くにいた女性がハルのそばに近寄り「あなたは行かないの?」と尋ねた。
ハルは横にゆっくりと首を振り「先にいた彼らが行くべきだ。自分は最後でいい」と思った。そして「君は先に行きな」と視線を彼女に向けると女性は彼の意を組んだのか優しく微笑んだ。
人々が慌てふためく声が聞こえてハルは驚いて糸に群がった人々に目を遣る。
糸は大勢の人が群がり他人を足蹴にして登った重みで今にも切れてしまいそうだった。ハルは「みんなで掴んだら糸が切れちゃうっ」と叫んだが夢の中なので声は出なかった。
ハルの制止の思いは彼らの耳に届かず人々が我れ先にと掴んだ糸は途中でプツリと切れて、彼らは落下し地面に叩きつけられると煙が風に舞ったように消滅してしまった。
女性はハルを優しく見つめると手を差し伸べて「あなたは彼らと違うね」と優しく微笑んだ。
ハルははじめ訝しく女性を見つめたが、少し躊躇したあとに彼女の手を握った。その手は想像以上に暖かく柔らかいことに少しだけ驚く。
女性がハルを連れて輝く宮殿から鳥居に向かって歩いて行くと、いつの間にか主殿に灯った光は消え、振り返ったハルは不思議な気持ちで一杯になった。
二人の歩みに連動するように道を照らす灯篭の光が一つ一つ消えていき、最後の灯篭の明かりが消えて鳥居を潜り抜けると、手を引いた女性がハルの方に振り向いて、こう呟いた。
「他者を慮れない者は己も大切にされません。貴方の強さを見ました」
「えっ」
「私はもう永くありません。力を貸しましょう」
「あなたは……」
すると女性が発した光が全てを包み込み真っ白で何も見えなくなった。
ハルはハッとして目を覚ますと女性は一体誰だったのだろう、鳥居の先にある宮殿は何だったのだろうと考えたが、答えの出ない謎が頭の中をグルグルと周った。
暫く考え込んで顔を上げると焚き火の前からは蜘蛛が姿を消し、道を塞いでいた瓦礫もなくなり、洞窟の奥へと道が続いていた――。
○
「もぅやだっ、歩きたくないっ」
「ワガママ言うなっ、置いてくぞ」
「わたしを置いてったらキジさんの面倒は誰がみるのよ」
「ふんっ、俺がみればいいだろがッ」
「ヘンタイっ、ヒト化できなくなったキジさんにあんな事やこんな事をするつもりでしょ」
「なっ、するかッ」
「まぁまぁトキ、落ち着いて。カグヤは僕が背負うから」
「キザシはカグヤに甘いんだよ。コイツ、どんどん図に乗るぞ」
「何よバカっ、ベーだッ」
「あんだとッ」
結局キザシがカグヤを背負って先を急ぐことになった。
彼の背中でとびきりの笑顔を振りまいて御機嫌なカグヤは、ピョコピョコとウサギ耳をバタつかせて「ほらー、もっと急いで-」とキザシを急かしている。
人の良いキザシは「はい、はい」とワガママな少女に怒ることもせずに言われるがままだ。そんな二人に飽きれ果てたトキは苛々しながら獣道を我武者羅に進んでいく。
「それはそうと小鴉を持つのは、どんなヤツなんだろう」
「穢土に反抗するとは一大勢力だろうな。きっと束ねるのは光圀と同じくらい強いヤツかも知れねぇぞ」
「話が通じる相手であればいいけど……」
「シッ、何かが……来るっ」
キザシの背中でカグヤが耳を立てた。彼女の耳が頭の上にあるのは周りの様子を伺うのに適していて、実際にキザシやトキよりも敏感に周囲の異変を察知していた。
――カリカリカリ
何か大きくて硬いものが地を這いずるような不気味な音がしてくる。
それはキザシ達に向かって徐々に近付いて来る。一方向から聞こえる音は次第に辺り一面から聞こえるようになり、アッという間に三人を取り囲んだ。
周囲が暗くなり音が上から聞こえた気がしてカグヤが見上げると、彼女は顔を青くし震えて「あ、あれ……」と驚愕の声をあげた。
「カリカリ……汝らはヒトか、何しにきた」
キザシが泡を吹いて気絶したカグヤを背負って見上げると、それは大木よりも遥かに太くて大きい大蜈蚣だった。
不気味な音の正体はこの蜈蚣の無数の足が軋む音で、巨大な頭を持ち上げると器用にも百はあろう足を使い蛇のようにとぐろを巻いて三人をとり囲んでいく。
尋常でない巨体に巧みに言葉を操る能力。ただの虫ではなく西国で虫怪羅と呼ばれる半獣であるとキザシは思った。
もしかするとこの大蜈蚣は小鴉の継承者もしくは在処を知る者かも知れない。キザシは意を決し蜈蚣に話しかけた。
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