辺境左遷の錬金術師、実は人望が国王以上だった〜王国在住の剣聖や賢者達が次々と俺を追って辺境に来たので、のんびり最強領地を経営してみる〜

雪鈴らぴな

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1章

32話 フェンリルをペットにした

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栄養ドリンク(※エリクサー)を飲んだことによって回復した俺は、洞窟を進んでいく。

おかしい、こんなにも長芋のなのだろうか?
かれこれ数時間は歩き続けたはずだ。
現に何本かの栄養ドリンクを消費している。

それのおかげで疲れはないのだが、終わりの見えない洞窟に嫌気がさしてくる。

転移を使えばすぐにでも領地に戻ることが出来る。それにこの場所までまた転移で戻ってこれる。

はぁ、帰るか。
また今度暇な時にでもきて、先に進んでみるとしよう。

そうして俺は転移を発動させようとするが……

「はぁぁ!? 」

幾ら発動させようとしても、出来ない。
何らかによって阻害されている。

【整地】は使えたのにどうして……。

頭をフル回転させてひとつの結論に至った。
このモヤッとした霧、これが転移魔法を阻害させている。当然同じ原理の転移石も使用不可だ。

洞窟に入ってすぐからこの霧が蔓延していた。

ここは入っては行けない場所だったのかもしれない。
軽い気持ちで入ると、一生抜け出すことの出来ない洞窟。

どれだけ強いやつでも、いずれ食料は尽きるし、たまに現れる魔物との連戦で気が休まる瞬間もない。そして睡眠を取れるような安全な空間は存在しない。

「人間が立ち入れないような場所なら、手前にそう書いとけよ……」

次、あのお隣さんに会ったらクレームのひとつでも入れてやろう。

「さて、どうすっかねぇ……」

あぐらをかいてその場に座り、これからを考える。
屋敷を出てからもうかなりの時間が経っている。

帰りが遅くなろうものならリーナにみっちり絞られてしまう。それだけは避けたいのだが、転移が使えないせいで帰れない。

進むしかないのかねぇ。
終わりの見えない道を歩き続けるのは、心にくる。

心の疲れは栄養ドリンク(※エリクサー)でも補えない。
立ち止まっていても仕方ない。歩きながら、どうするかを考えよう。

あれから数時間後。

ようやく、明かりが見えた。
やっと出口に着いたのだ。

「いょっしゃぁぁ!! 」

俺は光の空間にダイブ。
そこは薄暗く、壁は苔が生い茂ったダンジョンのような場所だった。

『まさかこの洞窟を突破するものが現れようとは……』

そして目の間になんかいた。
でっかくて狼? みたいで、全身白くて、体毛がふさっとしている。

でっかい狼さん(仮)が語りかけてくる。

『よくぞ突破した。褒美になんでもひとつ願いを叶えてやろう』

うん? 何を言ってんだこいつ。
急に喋りだしたかと思えば、願いを叶えるってよく分からんのだが。

人語を話せる魔物がいるっちゅーのは聞いたことあるが、実際に目にしたのは人生で二回目だ。

『うむ? 何をぽかんとしておる。遠慮せず願いを言え。我の力を求めてこの洞窟へ入ったのだろう』

あれ、もしかしたらこの洞窟は何かの試練のための洞窟だったのかもしれない。

しかも願いをひとつなんでも叶えるとかいう、かなりヤバいレベルの。

それにしちゃ簡単すぎない? と思ったのだがそれはさておき。

願い、ねぇ……。

『圧倒的な力が欲しい。でも、地位名声を手に入れたい。でも、莫大な資産が欲しい。でもなんでもよいぞ。それだけの事を貴様は成しとげたのだ』

なんか褒めてくれてる。
けど俺、ただ歩いてただけなんだよな。

それにこいつが出してきた例、何一つ魅力を感じない。

『じゃあ何だったらいいのだ……ほら、こんなチャンス滅多に無いんだぞ。なにかあるだろう』

あらでっかい狼(仮)さん困ってる。

ん? こいつよく見ればモフモフっぽいし、魔物?にしちゃあかなり綺麗な顔立ちしてる。

俺が探し求めていたペットに丁度良いんじゃなかろうか、少しデカイが……なんとかなるだろ。

『おっ、決まったのか! 』

「ああ。お前が欲しい」

『はぇ……!? 』

やっぱダメだったか。いくら何でもお前が欲しい、は無理か。これからも現れるであろう洞窟の踏破者に願いを叶えてやらないといけないからな。

「じゃあやっぱ他ので……え? 」

ぽふんっ! と音がした後、でっかい狼を煙が覆う。
煙が晴れると、そこに居たのは白い髪に、可愛らしい顔、お尻の辺りからはふわっとした尻尾が生えた美少女が立っていた。

「え、だれ」

『我じゃよ!? 』

えっ、こいついまさっきのでっかい狼!?
人語を話せて、しかも擬態化出来る魔物なんて珍しすぎる。こいつで二人目だ。

『我も……お主様に着いていくのじゃよ』

「俺が言っといてなんだけど、ここの番人? 的な仕事があるんじゃないの? 抜け出して大丈夫なのか? 」

『お主様以外この地に足を踏み入れれた人間は誰一人としておらんぞ。だから大丈夫じゃろう。それに願いは絶対なのじゃ』

軽い気持ちで願ったら、あっさりペットをゲット出来てしまった。
いや、擬人化している目の前の少女をペットにするのはなんだか気が引ける……。

「なんじゃ、お主様ペットが欲しかったのじゃな。安心せい! 我がお主様のペットになってやるのじゃ~♡ 」

「いやペットにはしないからね!? 」

屋敷に連れ帰って、こいつは今日からペットだ、とか言ってみろ。俺がどうなるか分からない。

『願いなんじゃから、もう我はお主様のペットとして魂に刻印が刻まれてしまってるのじゃ! 』

とんでもないことをサラッと言うな!?
どうやら俺が屋敷の皆にゴミを見るような目で見られるのは確定してしまったらしい。

今から言い訳考えないと……。
そろそろ帰らないと本格的にやばい気がする。

「おい、じゃあ俺の屋敷に帰るぞ。お前名前は? 」

「名など与えられたことがなくての……」

名前が無いのは不便だ。ペットと呼ぶ訳にもいかんし……。

「お主様に決めて欲しいのじゃ♡ 」

お願いっ♡と見つめてくる。

しゃーねぇな。

「でっかい狼(仮)、でどうだ? 」

「酷すぎるのじゃ!? てか、我は狼などではない!! 」

「え、じゃあなんなん」

「見てわかるじゃろ!? フェンリルじゃよ~!! 」

どうだすごいだろうと、ドヤ顔をしてくる。
なんか無性にイラついた俺は、頭をぺちっと叩く。

「何するのじゃ!? 」

「イラついたから」

「我、フェンリルじゃよ!? 」

「数秒前に聞いた」

「なんで叩くの!? 」

「だからイラついたからだって」

「酷いのじゃ……」

まぁ、しかしこいつの言ってることが本当なら俺はやばい事をやらかしている。

フェンリルは神獣っちゅう、ざっくり言ったらとんでもない魔物。
フェンリルを崇めている一族もいるそうな。

そんなフェンリルをペットにしてしまったってわけだ。

俺はチラッとフェンリルを見る。

うーん……こいつがフェンリル。どこをどう見てもケモ耳美少女。

ま、ペットでいいか。

深く考えるのをやめて、フェンリルをみやる。

名前ねぇ……。
安直にフェルとかでもいいか。

「おい、お前の名前決めてやったぞ」

「なんじゃ! どんな名前にしてくれたのじゃ」

「フェル、でどうだ? 」

「フェル……フェル……」

その名前を連呼して、ゆっくりと噛み締めているフェンリル。ぱあああっと顔が笑顔になっていく。

そして、抱きついてきた。

「ありがとうなのじゃ、お主様から頂いたこの名前、一生大事にするのじゃ」

うわっ、こいつ意外とデカイ。
動く度にむにっと押し付けられる感覚がする。

フェルを身体から引き剥がす。

「お主様のお名前はなんなのじゃ? 」 

今度はフェルが聞いてきた。

「俺はレン。このまえ、ここの隣のヘレクス領ってとこの領主になった」

「ほぉ、レン様か」

「まぁ好きに呼んでくれ。俺の事をレン様と呼ぶ人間が周りには多いからな。見分けが付きやすくするためにも他の呼び方で呼んでくれてもいい」

「じゃあお主様にするのじゃ」

結局さっきまでの呼び方になったのだった。

「じゃあこれからよろしくな、フェル」

「こちらこそよろしくなのじゃ、お主様♡ 」

「……ペットとしてな」

こうしてひょんなことから神獣フェンリルが仲間、もとい俺のペットになったのだった。


「首輪つけるのじゃ? 」

「流石につけねーよ! 」
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