魔王様に溺愛されながらも異世界快適ライフ

saku

文字の大きさ
3 / 16

3.初めてのお仕事

しおりを挟む
あの後。ぐっすりと眠ったミオは、朝早くに起きてしまった。
案内された部屋は、凄く広かった。一人では勿体ないぐらい豪華だ。

着替えでも済ましておこうと思い、ベッドの上にのっていた仕事着を手に取る。昨日、シルベットが別れ際に渡してくれたのだ。
仕事着は、黒のワンピースに白色のエプロン。エプロンには、フリルもついており。ワンピースはスカートにボリュームがあり可愛い。服はちゃんと子供用のサイズになっていた。

コンコンッ

「ミオ。起きていますか?」

部屋のドアをノックする音が聞こえた後、ドアが開き。シルベットが入ってきた。

「おはようございます。」

「おはよーごじゃいましゅ!」

落ちないように慎重にベッドから降り、少し頭を下げて挨拶をする。

「よく眠れたみたいですね」

「あい!」

「では、今日から魔王様の身の回りのお世話をお願いします。」

「あい! がんばりましゅ!!」

(何をすれば良いんだろうか?)

「では、まず最初に起こしてきてください。部屋は、隣の部屋になります」

(隣だったの!? 魔王様の部屋の隣の部屋に居ても良いんだろうか?)

「さぁ。いってらっしゃい」

そんな事を考えている間に、シルベットに魔王の部屋の前まで連れてこられてしまった。
「起こしてきたら、次は食事ですからね。」っと、言い残しシルベットは何処かに行ってしまった。

ぐぅ~……。

(……お腹空いた。よし! 早く起こして、ご飯だ!)

つま先立ちをしながら、ドアを押し開ける。
魔王の部屋は、ミオが案内された部屋よりも凄く豪華だった。
高そうな置物や、沢山の本。

「……しゅご~い」

驚きのあまり、つい声が出てしまった。
元々。本を読むのが好きなので、こんなに沢山の本を見ると読みたくなってしまうのだ。

(あっ! 早く起こして、ご飯食べに行かないと!!)
ベッドの近くに行くと、魔王様がうつ伏せで寝ていた。

(な、何で、裸で寝ているの!?)
黒の髪の毛がベッドの上に広がり、紅い瞳は閉じている。
一見。女性にも見えるが魔王様の体は、ほどよい筋肉もついており。つい見とれてしまう。

(違う、違う!! 見とれている場合じゃない!)

「まおうしゃま~。起きて~」

魔王様の顔をジーッと見ながら言うが、全然起きる気配はない。

ぐぅ~……きゅるきゅる。
お腹の空きは、限界に達していた。

「むー……。おなかしゅいた~」

(もう、起きない魔王様が悪いんだからね!?) 
口を尖らせると、魔王が寝ている寝台に上る。

「まおうしゃま~。起きて~! おなかしゅいた~!!」

ペチペチペチペチ……。
そう言いながら、魔王の頬をペチペチと叩く。

「……んっ。ミオ、何をしている」

(あっ、やっと起きた!!)
まだ寝ぼけているのか、眠そうな目で此方を見ている。

「まおうしゃまが起きないから~。」

「だからと言って、頬を叩くな。」

欠伸をしながら、のそりと起き上がる。

「おはよーごじゃいます! まおうしゃま」

「おはよう。昨日、名前教えたのに呼ばないのか?」

「……クラウドしゃま」

ミオは、魔王の名前を呼ぶ時。凄く見られていたので、恥ずかしそうにしている。ミオが名前を呼ぶと、魔王様……クラウド様は嬉しそうに笑った。

「ま……クラウドしゃま、ご飯なの!」

名前を呼んだだけなのに、嬉しそうにしているクラウドに頬が熱くなる。
誤魔化すように話題を変えると、クラウドは呆れたような顔になった。

「……もしや、お腹空いて頬を叩いてたのか?」

「あい! クラウドしゃま、しゅご~い!」

(何で分かったの!? 心の中でも読めちゃうの!? )
そう思い、キラキラとした目で見る。

「ミオが分かりやす過ぎるのだ。」

クラウドはそう言いながら笑うと、ミオの頭を撫でた。

(そんなに分かりやすいかな? 表情を引き締めないと!)
そう思いながら、ミオは頬をむにむにする。

「……ミオ、先に行ってなさい。」

「……? クラウドしゃまと一緒にいくぅ~」

(ミオちゃんは、侍女だからね! 先に行くわけにはいかないのだ!)

「そうか。では、外に出ていなさい」

「なんで~?」

「今から着替えるが、ここにいるのかい? それとも、手伝ってくれるのか?」

疑問に思い。クラウドを見ると、ニヤリと笑いながらそんな事を言われた。

「おしょとでまってる!!」

そう言い残すと、逃げるように部屋を後にする。
後ろでは、クラウドがクスクスと楽しそうに笑っているのが聞こえた。

(今。私は子供の姿だけれど、クラウド様が裸になるんでしょ!? 恥ずかしすぎる!!クラウド様も楽しそうに笑って!私をからかっているんだ!)

暫くすると、部屋のドアが開きクラウドが出てきた。

「待たせたな、ミオ。行こうか」

そう言うと、ミオをヒョイっと抱き上げる。

「クラウドしゃま、歩くのー!」

「歩いても良いが、良いのか? 歩くのが、遅くなりご飯が遅くなってしまうぞ?」

確かに。大人と子供の歩幅は違うから、ご飯が遅くなってしまう……。
お腹は、先程から凄い音で鳴っているのだ。

「よち! クラウドしゃま、こにょまま行くのー!」

「クククッ。そうか、では急がなければな」
ミオは、クラウドに抱き抱えられながら向かう事にしたのだった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する

雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。 ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。  「シェイド様、大好き!!」 「〜〜〜〜っっっ!!???」 逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

おせっかい転生幼女の異世界すろーらいふ!

はなッぱち
ファンタジー
赤ん坊から始める異世界転生。 目指すはロマンス、立ち塞がるのは現実と常識。 難しく考えるのはやめにしよう。 まずは…………掃除だ。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

処理中です...