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しおりを挟む物語の中のレイラは、嫉妬のせいでヒロインを虐めていたと言うことが卒業パーティーでバレてしまい、ユーリにレイラは婚約破棄をされてしまうというのが大まかなストーリーだった。
物語の中では、レイラは婚約破棄後そのまま牢に入れられる。そして、牢の中で病気になりそのまま亡くなってしまうと言うのがレイラの最後だった。
元々。物語の中のレイラは、昔から家族に甘やかされていたと言うものあって、凄く我が儘に育ってしまっていたのだ。
欲しいものが手に入らないと、癇癪を起こす。物に当たるなんて当たり前だった。そんなレイラを、家族や使用人達は困っていた。
そんな我が儘なレイラを、ある日家に来ていたユーリは見てしまい、レイラの事を嫌いになってしまう。
幼いながらも自分が王になった時、レイラは妻として相応しくないと思ったのだ。
学園に入学しても、レイラの我が儘な所は直らなかった。そんな婚約者とは、ユーリは必要以上に関わろうとはしなかった。ユーリとレイラは、ギスギスとした関係だったのだ。だけど、レイラにとってはユーリは初恋の人だった。
避けられていても、必ず振り向いてくれると信じていたのだ。
だが、ユーリは街で出会ったヒロインの優しい所にユーリは触れ。ユーリはヒロインに惚れてしまう。それが、物語の中でのユーリとレイラだった。
だから、レイラは記憶を取り戻してからは我が儘を言うのをやめた。これまで我が儘を言っていた事を謝った。そんなレイラを見た家族や使用人達は、初めは信じられないものを見るような目をしていたが、我が儘を言わなくなり物に当たる事が無くなったレイラを見て、このまま続いて欲しいと願った……。
「……レイラ? 大丈夫かい? ボーッとして」
「申し訳ございません、ユーリ様。大丈夫ですわ」
(あぁ、気を付けないと……。ユーリ様に、心配そうな顔をさせてはいけないわ。)
「そう。だったら、良いんだけどね……。気分が悪いのかと心配したよ」
そう言って、ユーリはレイラを見つめながら優しく微笑んだ。ユーリの優しい笑みについ、レイラは見とれてしまう。
(……そうだわ! 私は記憶が戻ってから、家族に甘やかされているけど我が儘ではないから、ユーリ様に嫌われてしまう事はないんじゃないかしら?)
レイラはそんな事をふと思った。でも、物語のようにレイラとユーリは婚約者になった。どれだけ周りに婚約者は自分で決める、上級貴族と関わりたくないと言っていても……。
そう思うと、レイラは不安を拭いきれなかった。
「ユーリ様。これから先、何があっても私は耐えてみせますわ……。だって、ユーリ様の事が好きですもの!」
「……レイラ」
「たとえ、ユーリ様が誰かを好きになったとしても、私は潔く身を引きますので! それだけは、覚えといて下さいませ!!」
「……えっ?」
ユーリは、こちらに手を伸ばした状態で固まっている……。
(だって、ユーリ様がもしヒロインに惚れてしまって、婚約破棄なんてされたら耐えられないと思うの……。だったら、潔く身を引いてしまった方がいいわ。ユーリ様の事が好きだから、ユーリ様と離れるのは辛いけど……。)
「レイラ? 想いが通じあっているのに、何で僕が、誰かを好きになると言う事になっているんだい?」
ユーリは不思議そうな顔をしているが、レイラは物語の事をユーリには言えないでいた。
そう思うとレイラは、はぐらかすしか無かった。
「……これから先、もしかしたらユーリ様が私ではない方を、好きになってしまうかもしれないじゃないですか」
「大丈夫。そんな事にはならないぐらい、今レイラに夢中だから」
「そ、そんな甘い笑みで言わないで下さいませ!! 私の心臓が持ちませんわ!」
レイラを見ながら甘い笑顔で微笑んでいるユーリを見て、レイラはまた顔が熱くなり手で顔を隠してしまった。
「フフッ。レイラは可愛いね? でも、そんな心配をしてしまうほど僕の愛がレイラに伝わっていないと言うことか……それは大変だ。レイラ、これから覚悟してね?」
(か、覚悟!? ユーリ様、何をするつもりなの!?)
そう言うと、レイラが困惑しているのを横目にユーリは立ち上がる。
ユーリが立ち上がったのを見て、ヴィオラは部屋のドアを開け。ユーリを見送る為に、ドアの付近で立っている。
「さて、そろそろお暇させてもらうよ。」
「お見送り致しますわ。」
ユーリをお見送りする為に、慌てて立ち上がろうとしたレイラは、ユーリに止められてしまった。
「いや、ここで大丈夫だよ? じゃぁね、また会おう。レイラ」
そう言うと、ユーリはレイラの手にキスをし。颯爽と去って行ってしまった……。
ユーリの後を、苦笑いしたヴィオラが続き。部屋のドアは閉められた。
部屋では、顔を真っ赤にしているレイラだけが取り残されていた。
(い、今、ユーリ様の唇が私の手に!! )
レイラの頭の中はパニックになっていた。いきなり、手にキスされたのだ。
レイラは熱くなった顔を手で覆いながら、蹲るのだった……。
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