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しおりを挟むガーネットは、レイラに会えた事が嬉しくなりついレイラに抱きついてしまった。だが、ガーネットに抱きつかれたレイラは困惑していた。
学園に入学するのは、物語の中ではではガーネットとユーリの再会の場面。だが、ユーリもレイラ達を見て「仲良しだね~」なんて言っているし、物語で読んだような嬉しそうな表情で、ガーネットとユーリが見つめあっていないのだ。
今、ガーネットが嬉しそうな表情を向けているのは、物語の中でガーネットをいじめるレイラだったのだから……。
(どういう事なんだろうか? 何故、ヒロインであるガーネット様にユーリ様ではなく、悪役令嬢である私が抱きつかれているの? )
「レイラ様、お久しぶりです!!」
「そ、そうね。ガーネット様もお元気そうで何よりだわ。」
「はい! でも、ずっとレイラ様にお会い出来なくて私、寂しかったです……。」
ガーネットはレイラから離れると、胸の前で手を組み。瞳はうるうるとしており、耳が見えそうなぐらい寂しそうな表情でガーネットは下からレイラを見上げた。
(子犬だわ! ガーネットが、子犬に見えるわ!! さすがヒロイン!! 守りたくなる様な可愛さ!!)
レイラは心の中でガーネットの可愛さに悶えながら、無意識にガーネットの頭を撫でていた。
いきなりのレイラの行動に、ガーネットはびっくりした様な表情を一瞬したが、嬉しそうに笑っている。
「レイラ様? ……へへっ」
「あっ、ごめんなさい? 私も、ガーネット様にそう言って頂けたのが嬉しくて……。頭撫でられるの、嫌だったわよね?」
ガーネットはユーリが惚れてしまう子かもしれないけれど、自分を好いてくれていたのがレイラは嬉しかったのだ。
ギュッ
レイラが申し訳なさそうな表情をしていると、ガーネットが抱き締めてきた。
「レイラ様! 私は、これからもレイラ様の一番の友達です! 大好きですわ! 」
(嗚呼……。こんな所に天使がいるわ。そんなキラキラとした笑顔を向けられるなんて……私死ぬのかしら?)
レイラが抱きついてきていたガーネットの頭を撫でていると、グイッと腰を後ろからユーリに抱き寄せられ。レイラに抱きついてきていた、ガーネットはレイラから離された。
「……ガーネット・マーフィー男爵令嬢。そろそろ、僕の可愛い婚約者を離してくれないかい?」
(あわわわわっ!! ち、近いわ!! ユーリ様の顔がすぐそこに!!)
ユーリに抱き寄せられたレイラの耳の近くでは、ユーリの吐息が感じられる……。それだけ、ユーリの顔とレイラの距離が近くなったのだ。
いきなりレイラから離されたガーネットは、頬を膨らませ。レイラとユーリの方に詰め寄る。
「殿下、私がレイラ様と先にお話していたのです! 邪魔をしないで下さい!」
「ガーネット嬢、邪魔をしたのは謝るよ? でも、そんなに近寄らなくてもレイラとは話を出来るだろう?」
ガーネットとユーリは、レイラを挟みながら何故か睨み合っている。二人の間には、火花が散っていた。
「殿下もレイラ様に近すぎます!!」
「僕は、レイラの婚約者だから良いんだよ?」
ガーネットと話をしていたユーリは、レイラの顔を見て「ねっ。そうだよね」と、言ってきた。
(良くないです! そんなに近くなくても良いと思いますが!?)
レイラは、反論をしたいけれどユーリとの距離がいきなり近くなり、レイラの顔が熱すぎてそれどころでは無かった。慌てた様にユーリから離れようとするレイラを、逃がさないように抱き締める力を強めたユーリは、レイラを愛おしそうに見ていた。
(うぅ~、そんな愛おしそうな顔で私を見ないで下さい!! 恥ずかしいし、私愛されているんではないかと勘違いしてしまうわ!!)
「ふふっ。レイラは可愛いな~」
チュッ
ユーリはそう言いながら、レイラの頭に口付けをした。
すると、レイラの顔が更に赤くなり固まってしまった。
「ユ、ユーリ様!?」
「な~に? レイラ」
(今、チュッって!! ユ、ユーリ様!?)
顔を赤くしながらテンパっているレイラを、ユーリはクスクスと楽しそうに笑いながら意地悪な顔をして見ている。
「ユ、ユーリ様。離れて下さいませ!」
「え~、やだ。」
「やだじゃありません!」
ユーリは、ギュッとレイラを抱き締めるとレイラの耳元で小さく囁く。
「フフッ、捕まえた。レイラは、僕から離れたいのかい? そんな事、僕は許さないよ?」
「うぅ~……」
恥ずかしくて顔を手で隠してしまったレイラを、ユーリは微笑みながら頭を優しく撫でている。
「ねぇ。私達は、何を見せられているのかしら? 絶対、殿下なんて私達の存在を忘れているわよね? それより、レイラ様を離してくださらないかしら……。私だってレイラ様を抱き締めたいのに!!」
「まぁ、あの方達はいつもイチャイチャしているので私はもう諦めてますよ。」
「貴方も大変なのね……。」
ガーネットの言葉を、教室にいた者達は心の中で同意をした。後ろで、ユーリの従者とガーネットが何か話をしていたけれど、レイラはユーリから離れようと必死で聞こえていなかった。
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