ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁@書籍発売中

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41~50話

42c、私は傷の原因をわかっていない

「マヤからも一言挨拶するか?」

「あ、はい! えっと……ガル様、あの、ちょっと下ろしてください」

渋るガルの胸元を、くいくいと引っ張って訴える。
ガル本人にその気がなくても、使用人の人達はガルの家族のようなものだと思うから、ちゃんと挨拶をしたいのだ。

粘った末に渋々床に下ろしてもらい、よろめく脚をぐっと踏ん張って立つ。
倒れてしまわないよう左手でしっかりとガルの服の裾を握りしめ、パタパタとスカートをはたいて居住まいを正すと、真っ直ぐに正面を向いた。

「あの、せっかく集まっていただいたのに、沢山お待たせしてすみませんっ!」

遅くなった理由を思い返せば、たちまち頬が熱くなる。

「ガル様と、こにゃっ、婚約させてもらいました、紺野こんの真矢まやと言います! ふ、ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願いします!」

つっかえつつも一息に言い切って、深く頭を下げる。
『ふつつか者』の意味は何となくしかわからないけれど、こういう場面で使う言葉だったはずだ。

……ぱちぱちぱち

複数の拍手が聞こえゆっくりと顔を上げれば、打ち鳴らす手を止めた執事が優しく微笑んだ。

「ご丁寧にありがとうございます。マヤ様、どうかそのように固くならず、ご自分の家と思ってお寛ぎくださいませ。使用人一同、誠心誠意お仕えさせていただきます。こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします」

執事がお辞儀するのに合わせて、他の使用人達も口々に「よろしくお願いいたします」と言って頭を下げてくれた。
発せられた声の優しい色に、どうやら無事に受け入れてもらえそうだとほっと胸を撫で下ろす。

安心感に頬を緩めてガルを見上げれば、用は済んだだろうとばかりに即座に抱き上げられた。
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