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1~10話
腕のなかの腕【下】
「ヨルグさん、あのっ! 腕が、ですね……」
気付いたらヨルグの腕がここにあったのだ。
決してわざとではなく。かといって疚しい気持ちがないわけでもないので微妙に後ろめたさはある。
私は全然放したくないけれど、ヨルグがどうしても放してほしいと言うのであれば意思を尊重して放さないこともなくもない。私は全然放したくないけれど!
「ああ。腕は……そうやって掴まっていれば、はぐれにくくていいと思う。その、徐々に人通りも増えてきたことだし……、万一はぐれてしまっては大変だから……」
予想外の肯定的な反応に驚く。
気にしていないとか、好きなようにすればいいとか、そういった大人な対応で優しくあしらわれると思っていたのに。まさかヨルグのほうから継続を勧めるようなことを言ってくれるなんて。
十歳の年の差だ。ヨルグからしてみれば、迷子にならないよう子どもの手を引いて歩くくらいの心境なのかもしれない。
浮かれるような状況ではないとわかっていても……、嬉しいものは嬉しい!
「じゃあ、このまま掴まっててもいいですか?」
「ああ、もちろん!」
大袈裟なほどブンブンと頷いてくれるヨルグが嬉しくて。
もしかしたら『単なる知人』以上には好かれているのかもなんて淡い期待を膨らませつつ、正々堂々許可を得たヨルグの腕を改めてぎゅうっと抱きしめた。
「ん゛ん゛っ! き、今日は朝が早かっただろう。早めに昼食に向かおうと思うんだが、どうだろう?」
「賛成です! 今くらいの時間なら、まだお店も空いてますもんね!」
お腹の虫も満場一致で賛成だと言っている。美味しそうなパンに囲まれていたせいで、俄然お腹が空いてしまった。
「フリットの店でいいか?」
「はいっ!」
ちゃんと覚えていてくれたヨルグに、にっこりと笑みを返す。
先日お店に来たときに食べたいものを聞かれ、フリットがいいと答えたのだ。
家で揚げると後片づけが大変だし、おじいちゃんは油っこいものを好まないので結局私一人で食べることになる。そうなると自分だけのために揚げようとも思えず、揚げ物はとんとご無沙汰だった。
「なら、こっちだ。旨い店があるらしい」
「楽しみです!」
私のためにわざわざ調べてくれたのだろうか。
温かなヨルグの腕を抱きしめて、弾むように歩を進めた。
気付いたらヨルグの腕がここにあったのだ。
決してわざとではなく。かといって疚しい気持ちがないわけでもないので微妙に後ろめたさはある。
私は全然放したくないけれど、ヨルグがどうしても放してほしいと言うのであれば意思を尊重して放さないこともなくもない。私は全然放したくないけれど!
「ああ。腕は……そうやって掴まっていれば、はぐれにくくていいと思う。その、徐々に人通りも増えてきたことだし……、万一はぐれてしまっては大変だから……」
予想外の肯定的な反応に驚く。
気にしていないとか、好きなようにすればいいとか、そういった大人な対応で優しくあしらわれると思っていたのに。まさかヨルグのほうから継続を勧めるようなことを言ってくれるなんて。
十歳の年の差だ。ヨルグからしてみれば、迷子にならないよう子どもの手を引いて歩くくらいの心境なのかもしれない。
浮かれるような状況ではないとわかっていても……、嬉しいものは嬉しい!
「じゃあ、このまま掴まっててもいいですか?」
「ああ、もちろん!」
大袈裟なほどブンブンと頷いてくれるヨルグが嬉しくて。
もしかしたら『単なる知人』以上には好かれているのかもなんて淡い期待を膨らませつつ、正々堂々許可を得たヨルグの腕を改めてぎゅうっと抱きしめた。
「ん゛ん゛っ! き、今日は朝が早かっただろう。早めに昼食に向かおうと思うんだが、どうだろう?」
「賛成です! 今くらいの時間なら、まだお店も空いてますもんね!」
お腹の虫も満場一致で賛成だと言っている。美味しそうなパンに囲まれていたせいで、俄然お腹が空いてしまった。
「フリットの店でいいか?」
「はいっ!」
ちゃんと覚えていてくれたヨルグに、にっこりと笑みを返す。
先日お店に来たときに食べたいものを聞かれ、フリットがいいと答えたのだ。
家で揚げると後片づけが大変だし、おじいちゃんは油っこいものを好まないので結局私一人で食べることになる。そうなると自分だけのために揚げようとも思えず、揚げ物はとんとご無沙汰だった。
「なら、こっちだ。旨い店があるらしい」
「楽しみです!」
私のためにわざわざ調べてくれたのだろうか。
温かなヨルグの腕を抱きしめて、弾むように歩を進めた。
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