不能だと噂の騎士隊長が『可能』なことを私だけが知っている(※のぞきは犯罪です)

南田 此仁@書籍発売中

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71~最終話

一連の報告《ヨルグ視点》【中】

「なるほど。己の推測のみで隊の移動を指示した、と?」

「勝手な判断を下し申し訳ありません」

「デファーロットから指示されたという『忌笛』の使用によって、騎士の一人が傷を負ったことに関してはどう考える?」

「魔獣の行動を制限したいとの一心から、浅慮であったと反省しています。すべて私の責任であり、罰を受ける覚悟はできています」

「――ところが、だ。忌笛の使用とほぼ同時刻に、魔獣から助かった家族がいるというじゃないか! おまえは雲を掴んでみせたのだ。まるでその目で見えているかのようにな!」

 はっはっは、と愉快そうに笑いながら、フェスノッド殿下は肘掛けにもたれるようにして姿勢を崩した。
 幼いころに誘拐を阻止して以降、それなりに心を許してくれているのか、同席者のいない場ではこうして砕けた態度で接してくれる。

「真面目で慎重なデファーロットが『推測』だけで行動するなど、珍しいこともあるものだな?」

「なにぶん、突然のことで気が動転しておりましたので」

「……執務室に連れ込んだ女性」

「…………」

 やはり報告は上がっていたか。もとより、隠し通せるとは思っていなかったけれど。

「自分が身元を保証すると言って門を突っ切ったそうじゃないか。いやぁ、身元確認さえせずにこうもあっさり城への出入りを許したとあっては、王家の警備力が疑われてしまいそうだなぁ? そうは思わないか?」

 フェスノッド殿下は昔から、本当にをしている。
 今もニヤニヤと、俺が言い淀むのを楽しんでいる様子だ。

「……申し訳ありません。一刻も早くドラゴンの件に対処しなくてはと焦るあまり、軽率な行動を――」

「なあ、聞いたことはあるか? 遠い異国では極稀ごくまれに、『先読み』や『治癒』といった特殊な能力を持つ女性が生まれるという」

「…………存じ上げませんでした」

「まあ半分おとぎ話のようなものだからな、知らなくとも無理はない。 ――で、彼女は何者だ?」
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