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51~60話
52b、またよろしくね
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人だかりへと引き返すと、集まった人たちはどうやら中央に据えられた木箱の上で、次々と紙に署名しては拇印を押しているらしい。
「ねえ、これは一体何をしてるの?」
署名の様子を窺いながら、手近な人へと声をかける。
「ああ、ジェルム団長の団長解任撤回を求める署名運動だよ。あんないいお方が自身の責でもなく解任されるなんて聞いちゃ、みんな黙ってらんないのさ。こう言っちゃなんだが、後任がどんなお方になるかだってわかったもんじゃない……だろ?」
「解任撤回の……。そう……ね。そうよね!? 見過ごせないわ!!」
一番好きなものと聞いて迷わずこの国だと答え、休日にさえ市民のために尽くす。グレニス以上に団長に相応しい人物なんて、私は知らない。
ぐいと腕まくりすると、私は人だかりの中央へ向かって意気軒昂と踏み出した。
「ようこそ、お待ちしておりました。リヴェリー様」
正門に通された馬車を降りれば、執事長が端然としたお辞儀で出迎えてくれる。
「え、あの、執事長———」
「ゼナードとお呼びください、リヴェリー様」
つい数週間前まで上司だった人間をいきなり呼び捨てにしろというのは、なかなかに難しい話だ。
「ねえ、これは一体何をしてるの?」
署名の様子を窺いながら、手近な人へと声をかける。
「ああ、ジェルム団長の団長解任撤回を求める署名運動だよ。あんないいお方が自身の責でもなく解任されるなんて聞いちゃ、みんな黙ってらんないのさ。こう言っちゃなんだが、後任がどんなお方になるかだってわかったもんじゃない……だろ?」
「解任撤回の……。そう……ね。そうよね!? 見過ごせないわ!!」
一番好きなものと聞いて迷わずこの国だと答え、休日にさえ市民のために尽くす。グレニス以上に団長に相応しい人物なんて、私は知らない。
ぐいと腕まくりすると、私は人だかりの中央へ向かって意気軒昂と踏み出した。
「ようこそ、お待ちしておりました。リヴェリー様」
正門に通された馬車を降りれば、執事長が端然としたお辞儀で出迎えてくれる。
「え、あの、執事長———」
「ゼナードとお呼びください、リヴェリー様」
つい数週間前まで上司だった人間をいきなり呼び捨てにしろというのは、なかなかに難しい話だ。
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