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誕生日プレゼント

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彼女(独り言)「(ため息)はぁ~あと10分で誕生日も終わりかぁ。(残念そうに)結局、電話来なかったなぁ」

〈彼氏から着信〉
彼女「(久しぶりの彼氏からの電話でテンションが上がってるけど、それを感じさせないようクールな感じで)もしもし?久しぶり。元気してた?」

彼氏「うん、体調は崩してないから大丈夫!まぁ毎日忙しくてヘトヘトだけど。さっき仕事から帰ってきたとこ。せっかく今日はお前の誕生日だったのに、直接会って祝えなくてごめんな。誕生日おめでとう」

彼女「ありがとう。覚えててくれたんだ?ここ最近連絡無かったから忘れられてると思ってた」

彼氏「そりゃあ忘れないだろ。俺はお前の彼氏だし!プレゼントは特に用意してないんだけど、今日だけはお前の言う事何でも聞いてやる!何が良い?」

彼女「うーん。何がいいかな?あっ!じゃあ私の事好きになったキッカケって何?聞いた事無かったし」

彼氏「そっか。お前に言ってなかったか。俺、お前の声にホレたんだ」

彼女「え?そうだったの??」

彼氏「うん。大学の入学式の時、写真サークルの勧誘でお前の声聞いて。サークルに入るつもりなんて全く無かったけど、お前の事知りたくて写真サークルに入ったんだ」

彼女「そうなんだ?へー知らなかった」

彼氏「うん。それまで写真はスマホでしか撮った事無かったし、カメラに興味なんて全然無かったけど、さすがにカメラ1台位持ってないと格好つかないし、あわてて中古の一眼レフカメラ買ったんだよな。サークル活動中にお前、野良猫見つけた時の事って覚えてる?」

彼女「(思い出す感じで)えーと、あっ!あの三毛猫見つけた時の事ねっ。覚えてるよ!」

彼氏「俺さ、あの時少し離れた所でお前の事見てたんだけど、猫に向けるお前の、天使みたいな笑顔にホレ直したんだ。気付いたらシャッター切ってたんだよなぁ」

彼女「そうだったんだー」

彼氏「その写真がコンテストで賞取って、それキッカケでカメラマンのアシスタントになれて。(間)お前と出会えて無かったら今の俺はいないし、お前に出会えて本当に良かったって思ってる」

彼女「(照れた感じで)それは言い過ぎだよ!」

彼氏「いや、言い過ぎなんかじゃないよ。お前には言ってなかったけど、コンテストに出した写真、大きく引き延ばして、玄関と寝室に飾ってるんだ。その写真を見るたびに元気と癒しをもらってる」

彼女「(恥ずかしそうに)そうなんだぁ。」

彼氏「お前の、芯がしっかりしてて、正義感強くて、負けず嫌いで、媚びなくて。でも俺だけには甘えてくれる感じがたまらなく好きなんだよなー」

彼女「そんな風に思ってくれてたんだ?なんか恥ずかしい」

彼氏「今はさアシスタントで忙しくて、なかなか会えなくて淋しい思いをさせてると思う」

彼女「ううん。私は大丈夫。忙しいのは分かってるし」

彼氏「うん。ありがとう。これからも、もっと頑張ってフリーのカメラマンになって、お前をモデルに写真撮りたいんだ。そしたらお前と一緒になりたい!それまで俺の事、待っていてくれるか?」

彼女「もう!ばっかじゃないの?ずっと待ってるに決まってるじゃない!私だって好きな気持ちは負けてないんだからね!あっ!もうこんな事言うつもりじゃなかったのに!嬉しいのと恥ずかしいのとで顔から火が出そうだよ。ありがとう。最高の誕生日プレゼントだよ!」

―END―
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