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胡蝶の夢
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リツイートで回ってきた写真にふと手が止まった。
広い青空に飛行機雲が一筋伸びる田舎の風景写真。
この写真から音が聞こえてくる気がして、そっと目を閉じた。
鳥のさえずり、さわさわという風の音、小川のせせらぎ。
行動が制限される今のご時世、写真のおかげで行った事の無い場所に行けた気がした。
あれっ?ここって…写真の場所?
あっ、そっか!目、閉じてそのまま寝ちゃったのか。
はぁ~それにしても日差しがぽかぽかで風が爽やか~
田舎って今まで縁が無かったけど、こんなに気持ちが穏やかになるのねぇ。それに、なんか懐かしい気もするのは何でだろう?
ん?なに?キュッキュッって音がするけど…
音がする方を見てみると、前髪パッツンのおかっぱの可愛い女の子が三輪車を一生懸命にこいでいる。
その後ろからは小柄で白髪のおじいさんがついてきていた。
「おじいちゃん、遅いよぉ。早くー」と言う女の子に、おじいさんは『えりちゃんが早いんだよ。もうちょっとゆっくりー』と声を掛けている。
ん?えりちゃん?
その女の子の服装をよく見てみると、私が小さい頃に良く着ていた大好きなキャラクターのトレーナーと赤いスカート、お気に入りのピンクのスニーカーを履いている。三輪車にも見覚えがあった。
もしかして、あれって…小さい頃の…私?
女の子の三輪車がバランスを崩し倒れそうになる。
思わず「あ、あぶない!」と大声をあげてしまった。
私の声に気付いたおじいさんは『見ない顔だね』と言ってこちらに向かってくる。無意識に木の陰に隠れていたのに、大声をあげたせいで見つかってしまった。
「は、はぁ~」と苦笑いをしながらバックの中に手を入れると、常に持ち歩いているポラロイドカメラが手に触れた。
「趣味で写真を撮ってるんですよー」と言ってポラロイドカメラを見せた。
おじいさんは『こんな田舎まで来るなんて物好きだねー』と言って穏やかに笑っている。
「記念に写真どうですか?」と声をかけると、おじいさんは目を輝かせて大きくうなずいた。
おじいさんが『お姉さんが写真撮ってくれるって』と伝えると、女の子も目を輝かせていた。
「はい、撮りまーす。はい、チーズ」
「じゃあ今日の日付書いてプレゼントしますね」と言って写真をおじいさんに渡した。
「んー?」スマホのバイブで目が覚めた。お母さんからのメールだ。
その内容には【スマホデビューしました。全然会えてないので顔見せて】と書かれていた。
早速ビデオ通話にしてかけてみる。さっきまで見ていた夢の内容を話してみると、小さい頃、お母さんの両親が住む田舎に何度か行った事が実際にあったらしい。
お母さんは『おじいちゃんの写真があるか探してみるわね』と言うと、しばらく画面から姿を消した。遠くから『あったー』という声が聞こえ、スマホの前でアルバムを広げた。するとヒラヒラ~と何かが落ちるのが見えた。
「お母さん何か落ちたよ」と言うと、お母さんはしゃがんで『あら?えりちゃんとおじいちゃんだわ。こんな写真あったかしら?』と言いながら、スマホのカメラにその写真を向けてくれた。
まさか!すぐにお母さんからその写真をスマホに送って貰う。
さっき夢の中で撮った写真と一緒だ!
おかっぱの女の子と小柄な白髪のおじいさんが笑顔でピースをしていて、その背景は、青空に飛行機雲が一筋伸びていた。
偶然なのか、その日付は今日と一緒で、しかもその写真の日付は私の字に間違いなかった。
広い青空に飛行機雲が一筋伸びる田舎の風景写真。
この写真から音が聞こえてくる気がして、そっと目を閉じた。
鳥のさえずり、さわさわという風の音、小川のせせらぎ。
行動が制限される今のご時世、写真のおかげで行った事の無い場所に行けた気がした。
あれっ?ここって…写真の場所?
あっ、そっか!目、閉じてそのまま寝ちゃったのか。
はぁ~それにしても日差しがぽかぽかで風が爽やか~
田舎って今まで縁が無かったけど、こんなに気持ちが穏やかになるのねぇ。それに、なんか懐かしい気もするのは何でだろう?
ん?なに?キュッキュッって音がするけど…
音がする方を見てみると、前髪パッツンのおかっぱの可愛い女の子が三輪車を一生懸命にこいでいる。
その後ろからは小柄で白髪のおじいさんがついてきていた。
「おじいちゃん、遅いよぉ。早くー」と言う女の子に、おじいさんは『えりちゃんが早いんだよ。もうちょっとゆっくりー』と声を掛けている。
ん?えりちゃん?
その女の子の服装をよく見てみると、私が小さい頃に良く着ていた大好きなキャラクターのトレーナーと赤いスカート、お気に入りのピンクのスニーカーを履いている。三輪車にも見覚えがあった。
もしかして、あれって…小さい頃の…私?
女の子の三輪車がバランスを崩し倒れそうになる。
思わず「あ、あぶない!」と大声をあげてしまった。
私の声に気付いたおじいさんは『見ない顔だね』と言ってこちらに向かってくる。無意識に木の陰に隠れていたのに、大声をあげたせいで見つかってしまった。
「は、はぁ~」と苦笑いをしながらバックの中に手を入れると、常に持ち歩いているポラロイドカメラが手に触れた。
「趣味で写真を撮ってるんですよー」と言ってポラロイドカメラを見せた。
おじいさんは『こんな田舎まで来るなんて物好きだねー』と言って穏やかに笑っている。
「記念に写真どうですか?」と声をかけると、おじいさんは目を輝かせて大きくうなずいた。
おじいさんが『お姉さんが写真撮ってくれるって』と伝えると、女の子も目を輝かせていた。
「はい、撮りまーす。はい、チーズ」
「じゃあ今日の日付書いてプレゼントしますね」と言って写真をおじいさんに渡した。
「んー?」スマホのバイブで目が覚めた。お母さんからのメールだ。
その内容には【スマホデビューしました。全然会えてないので顔見せて】と書かれていた。
早速ビデオ通話にしてかけてみる。さっきまで見ていた夢の内容を話してみると、小さい頃、お母さんの両親が住む田舎に何度か行った事が実際にあったらしい。
お母さんは『おじいちゃんの写真があるか探してみるわね』と言うと、しばらく画面から姿を消した。遠くから『あったー』という声が聞こえ、スマホの前でアルバムを広げた。するとヒラヒラ~と何かが落ちるのが見えた。
「お母さん何か落ちたよ」と言うと、お母さんはしゃがんで『あら?えりちゃんとおじいちゃんだわ。こんな写真あったかしら?』と言いながら、スマホのカメラにその写真を向けてくれた。
まさか!すぐにお母さんからその写真をスマホに送って貰う。
さっき夢の中で撮った写真と一緒だ!
おかっぱの女の子と小柄な白髪のおじいさんが笑顔でピースをしていて、その背景は、青空に飛行機雲が一筋伸びていた。
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