上 下
4 / 9

ある寒い冬の朝

しおりを挟む
今朝は一段と冷えていた。
寒くて何度もアラームを止めては二度寝三度寝を繰り返していた。
最後のアラームで、ようやく布団から出る事ができた。

眠い目をこすりながらカーテンを開けたが、結露のせいで外の様子が全く見えない。

覚悟を決めて目が覚めるようにと窓を開けた。
ピーンと張り詰めたような、ひんやりとした空気。
思わず、はぁーーと長い息を吐いた。

ほんの少し前まで小春日和だなんて言っていたのに、すっかり季節は冬に変わっていたようだ。

今にも雪が降り出しそうな、どんよりとしたグレイな空。
そんな空を見上げていると、羽毛のように軽く白い雪がハラハラと舞い降りてきた。

手のひらで優しく受け止めると、あっという間に溶けてしまった。
次々と舞う真っ白な雪を手で受け止めては愛おしく眺めていた。

【「儚き雪」に続く】
しおりを挟む

処理中です...