上 下
4 / 9

片思い(五十音順)

しおりを挟む
「会いたい」だなんて
言われたら
「うん」って言うに決まってるじゃない!
エンジンを急いでかけて、君の住む
大きな街へと急ぐ。

片思い中の
君に、深夜
車を飛ばして会いに行くなんて
軽率すぎただろうか。眠気を覚ます為、すっかり冷えてしまった
コーヒーを口にした。

さっきの電話越しの君は
心配になる位
すすり泣いていて
背中をさすってあげたい、
そばにいてあげたいと思った。

ただそばにいられればそれで良かった。
力になれるほど
強くはない。
手を握るなんて
到底出来ない事は分かっていた。今まで

何度も好きな事を
匂わせてきたけど、鈍感で
抜けてる君には
寝耳に水だったようで
望んだ言葉は聞けなかった。なのに

初めて私の事を
必要としてくれた。
普段の君なら「この位
平気だよ」って強がって
微笑んでると思ってた。でも

マンションに着くと
見ていられない位
無表情で、
目を真っ赤にした君がいた。
「もう我慢しなくていいんだよ」と言って

優しく
ゆっくりと
よしよししてあげた。

ライトが
リモコンで消されると、部屋が
瑠璃色に包まれた。一方通行だった
恋愛から
ロマンチックな展開に。

私は君に
押し倒され、
ん?と驚くと「ありがとう」と言って軽くキスをしてくれた。
しおりを挟む

処理中です...