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12. レスだった彼の不安
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「ミヤがこのまま、俺と一緒にいてくれるなら、それでいい。……それで、いいんだ。……だけど、……もし、ミヤがそいつとセックスする以上の関係を望むなら、……それで、俺との関係を解消するつもりなら……っ! どうか、俺にもそいつと張り合う機会を与えてくれないか? 俺だって、本当は、ずっと、ミヤと、……普通の、セックスが、したかった……っ! 普通のセックスが、俺にちゃんと出来るのかは、わからない。わからないけど……! ミヤ、お願い。俺に、最後まで、足掻かせて……っ!」
そこまで聞いたところで、凪くんは私が他の人とセックスしたと思っていることに、やっと気付いた。
もしかしたら、朝帰りだと思われているのかもしれない。
私は慌てて否定する。
「凪くん、違うの!」
「……え?」
「私がセックスしたのは、……凪くんなの」
「……?」
「昨日、私、……酔っ払って寝ちゃった凪くんを、……無理やり、お、犯しちゃったの……!」
「!!!」
凪くんは目を見開いた後、『信じられない』といった様子で、話し始めた。
「……俺、昨日、ミヤとする夢見た。タクシーでミヤにいっぱいイタズラして、玄関に入るなりベロチューかまして体撫で回して、酔っ払って倒れた俺にミヤが乗っかって、してくれたの。……もしかして、あれ、ぜんぶ、現実……?」
「……う、……うん」
「……!!!」
凪くんの顔に血の色が戻る。
絶望に染まっていたその瞳は、先ほどまでとは打って変わって、とてもキラキラと輝いていた。
「昨日のは、夢じゃ、なかったんだ……っ!」
「えっ? 凪くん……?」
凪くんはなぜかキラキラした笑顔のまま私を横抱きにして、ベッドに移動する。
そして、凪くんはベッドの淵に腰掛け、膝の上に私を乗せ、私をぎゅうぎゅうと抱き締めた。
「ミヤ! 俺、ちゃんと、できたんだ! ミヤと、普通のセックスが、できたんだよ……っ!」
「……え? ……凪くんは昨日、夢で、お気に入りのあの子としてたんじゃないの……?」
凪くんは満面の笑みで答えた。
「ううん! 俺、ミヤとしたよっ!」
「でも、凪くん、寝言で『今日もしてくれるんだね』って言ってたよ……?」
「……!」
凪くんはハッとしたような様子で口に手を当て、気まずそうに切り出した。
「……実は、その、……『お気に入りのあの子』って、……ミヤのことなんだ」
「えっ?!」
「容姿を聞かれた時に伝えたのも、……ぜんぶミヤのことで」
「……え、だって、『キレイな子』って……」
凪くんは、両手で私の頬を包み込んだ。
「ミヤはキレイだよ」
「え……っ」
「俺の好みど真ん中」
「!!!」
あの時と同じ、私をまっすぐに見つめる凪くんの瞳。
あの時と違うのは、痛みなんかなく、驚きと期待で甘く高鳴るだけの私の胸。
「……で、でも……! 私、昨日まで、凪くんとしたことないよ……?」
すると、凪くんはまた少し気まずそうにしながら、口を開いた。
「その、……本当のこと言うとさ、実は俺、……お店に1回も行ってなくて」
「えっ?!」
そこまで聞いたところで、凪くんは私が他の人とセックスしたと思っていることに、やっと気付いた。
もしかしたら、朝帰りだと思われているのかもしれない。
私は慌てて否定する。
「凪くん、違うの!」
「……え?」
「私がセックスしたのは、……凪くんなの」
「……?」
「昨日、私、……酔っ払って寝ちゃった凪くんを、……無理やり、お、犯しちゃったの……!」
「!!!」
凪くんは目を見開いた後、『信じられない』といった様子で、話し始めた。
「……俺、昨日、ミヤとする夢見た。タクシーでミヤにいっぱいイタズラして、玄関に入るなりベロチューかまして体撫で回して、酔っ払って倒れた俺にミヤが乗っかって、してくれたの。……もしかして、あれ、ぜんぶ、現実……?」
「……う、……うん」
「……!!!」
凪くんの顔に血の色が戻る。
絶望に染まっていたその瞳は、先ほどまでとは打って変わって、とてもキラキラと輝いていた。
「昨日のは、夢じゃ、なかったんだ……っ!」
「えっ? 凪くん……?」
凪くんはなぜかキラキラした笑顔のまま私を横抱きにして、ベッドに移動する。
そして、凪くんはベッドの淵に腰掛け、膝の上に私を乗せ、私をぎゅうぎゅうと抱き締めた。
「ミヤ! 俺、ちゃんと、できたんだ! ミヤと、普通のセックスが、できたんだよ……っ!」
「……え? ……凪くんは昨日、夢で、お気に入りのあの子としてたんじゃないの……?」
凪くんは満面の笑みで答えた。
「ううん! 俺、ミヤとしたよっ!」
「でも、凪くん、寝言で『今日もしてくれるんだね』って言ってたよ……?」
「……!」
凪くんはハッとしたような様子で口に手を当て、気まずそうに切り出した。
「……実は、その、……『お気に入りのあの子』って、……ミヤのことなんだ」
「えっ?!」
「容姿を聞かれた時に伝えたのも、……ぜんぶミヤのことで」
「……え、だって、『キレイな子』って……」
凪くんは、両手で私の頬を包み込んだ。
「ミヤはキレイだよ」
「え……っ」
「俺の好みど真ん中」
「!!!」
あの時と同じ、私をまっすぐに見つめる凪くんの瞳。
あの時と違うのは、痛みなんかなく、驚きと期待で甘く高鳴るだけの私の胸。
「……で、でも……! 私、昨日まで、凪くんとしたことないよ……?」
すると、凪くんはまた少し気まずそうにしながら、口を開いた。
「その、……本当のこと言うとさ、実は俺、……お店に1回も行ってなくて」
「えっ?!」
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