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11章 禁則領域 『異世界創造の主要』
書の4後半 守るべきもの『世界より絆、絆より……愛?』
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■書の4後半■ 守るべきもの Compare with bonds,world...love,fate is important
元エトオノ闘技場付近一帯を立ち入り禁止にしてもらい、封じられた門の前で有事に備える事になった俺は……なんだか眠れなくてたき火の前にふんぞり返って星を見ていた。
イシュタル国からも多数の兵隊を回して来て警備している。だから俺は警戒して起きてないで、寝てても良いんだけどな。
というか、イシュタル国が全面的に俺らの言う事を信じてくれてバックアップしてくれる現状が何か、奇妙な感じがしてきた。信頼されるのは、何というか……存外重いんだ。身軽な日雇い労働者と同じような御身分の『冒険者』なんて奴にはちょっとばかし重い。魔王討伐隊として一級に認められたって事は、そんな軽い身分から責任の生じる重い、一つの役職にクラスを変えたって事でもある。多分その重圧というか、不慣れな感じというか、そういう戸惑いの様な物だろう。慣れるものではないな、それは俺が他人を無条件に信じる様に、他人から無条件に信じられるって事だろう。
俺は、もしかすると他人から自分の事を信じて貰う事に慣れていないのかもしれない……なんて、な。
少し考えすぎかな……。
「緊張してますか?」
「そりゃ、お前だろ?」
俺が寝そべったまま起きているのを見つけて声を掛けてきたのはイズミヤだ。近くの宿を拠点にしよう、などと甘っちょろいコトを言いやがったので、俺らについてくるつもりならまず野宿に慣れろと放っておいたんだが。
それで仕方なく野宿につきあっているようだ。しかし慣れてないみたいでさっきからウロウロしている。
「いやぁ……確かに緊張感が足りなかったと反省しています」
やけに恐縮しているので俺は、別に叱ってる訳じゃねぇよとめんどくさそうに手を振った。
「……あの、あちらで寝ているリオさんと、アービスさんは……貴方のお仲間として登録されていないのですが」
俺達が申請した魔王討伐隊に、だな。
「ああ、事情なら奴らから聞けよ……いや、違った、リオさんは良いとしてアービスの件は見なかった事にしてくれ」
それはどういう事だ?とイズミヤは怪訝な顔をしてから、俺の近くに腰を下ろす。
「私、これで外交官ですのでええと……確か、ディアス国の北魔槍団長の名前がアービスだったと思うんですが。偶然ですよね?」
俺は体を起こしてため息を返した。
「さぁな、その北魔槍って何だ?」
「ディアス国法王に仕える四方騎士ですよ、ディアス国はあまり内部事情を外に漏らさない、私に言わせれば融通の聞かない面倒な国なんですがね。仕方がないので内通者を置いたり必要な情報を買ったりしているんですが……風の噂で北魔槍が」
「どうしたんだ」
俺は、ぶっちゃけディアス国の事情はさっぱり分かっていないのでちょっとばかし食いつき気味に話を促していた。
「魔王軍と戦って大打撃を受けた、という話です」
どこでどーなってそういう情報になるのだ。
俺は苦笑いを浮かべてしまう。一つずつ突っ込んでみるか。
「ディアス国が魔王軍と戦ったのか?俺はそんな話し聞いてねぇけどな。ちなみに、説明したと思うが俺ら、つい最近まで南方と西方にいたんだけど」
「……ええ、時期的にはその前あたりの話と推測されています。大体、ディアスはそういう内部事情を外に漏らさない国だと……」
あ、面倒になってきた。俺ってこういう腹の探り合いに向いてねぇわ。
「しらねぇな、けどその情報は間違っている」
「はっきり断言しますね、見てきたのですか?」
こんにゃろう、抜けてそうな奴に見えるが兼位とはいえ魔導師だなコイツ。
イズミヤのしたり顔を眺めながらそう思ったけど、魔導師とまともにやり合えるとは思ってねぇ。
「……アービスは確かにその、北魔槍騎士団長だ」
「……確かにそのように疑いましたけど……どういう経緯で今一緒に行動を?」
それを説明頂けますか?とイズミヤは改めて、坐りなおして俺に向き直ったな。
ちっ、まぁいいか。いずれこうやって根掘り葉掘り聞かれるんだろう。リオさんは別の所でアインと一緒に先に休んでいる。アービスは、奴は寝なくてもいいはずなのだが。
俺はイズミヤにちょっと待てとその場に置いて、少し離れた所で横になっているアービスを見つけて足で小突く。こいつ、こんなキツそうな鎧来たままよく寝てられるな?まぁ脱いだら魔王八逆星が背負っている模様が左側に現れているのがバレバレなので、隠すためにも鎧脱がないんだろうけど。自称魔王業が半人前だーとかで、アービスは模様を隠したり何だり、色々出来るはずの事が出来ない事が多いらしい。よくわからんが、あのお兄さん自身がよくわかってないのだからこれ以上知りたいと願っても無駄な。
アービスは起きていたのか寝ていたのか、よくわからないがしばらくして身じろぎし、体を起こす。
「何だい?」
「イズミヤにお前の説明するからちょっと来い」
寝なくて良い癖になんで寝るんだよ、と聞いたら私は全体的に中途半端らしくて、と言い訳になってない苦笑いを浮かべている。
「本当に……北魔槍団長の……アービスさんなんですか?」
その問いに、少しアービスは緊張したように身を強ばらせた。
「………」
そうだ、とか違う、とか。答えろよお兄さん!俺は肘で突っついたがそのままアービスは項垂れる。
「それが、どうかしたのかな」
何故そんな事を聞く?と言いたいらしい。アービスの言葉にイズミヤは、自分が把握しているディアス国での事情を簡単に、しかしこのちょっとおつむの足りないお兄さんにもよくわかる様に訊ねて、
「それで、魔王軍と戦って壊滅的な打撃を……」
「それはディアス国が流した話で、正しくはないな」
ほぅら、俺の言った通りだろう。イズミヤを伺うと何とも奇妙な顔をして俺とアービスを交互に見やっている。
「だから、なぜそうやって否定するんです」
「……私がその魔王八逆星の一人だからだよ」
アービスの言葉にイズミヤは、呆れたな。そりゃぁ、呆れるだろう。口をアホみたいに開けて何と次を聞いて良いものか迷っているが……アービスはバラしてしまった手前勢いがついてしまって言葉を続ける。
「壊滅的な打撃は確かに受けたがね……そう、魔王軍となったお陰で、になるわけだけれど」
「その魔王化したなんとか騎士団を壊滅させたのは、ランドールらしいよな」
どうにも、アービスとランドールが睨み合うハメになった事があった事はリオさんから聞いている。
大蜘蛛ウリッグを追いかけている途中、北魔槍騎士団が派遣されてきているのとブッキンしたんだそうだ。
アービスは鉄仮面の下、視線を少し逸らしてため息を吐いた。
「ああ……全て、ではないのだけれど。それがきっかけには変わりはない」
アービスは魔王八逆星の連中を裏切ってここにいる。今後魔王連中と一緒に動くつもりは毛頭無いと言った。
今胸に秘める思い、縁の切れてしまった弟を『救い出したら』……大人しく俺に首を差し出すだろう。
ちなみに、俺はそれに即答えてやろうとは考えていない。次はお前だ、とか脅してはいるけどな。
今更殺しにくくなった、って訳じゃない。それは無いが……この、縁のないものにはとことんどうでも良いと言い切るどこか薄情なお兄さんには、それなりの罰って奴を喰らわせてやりたいと思っているのだ。
最期までこき使ってやろう、と俺は画策していたり。
アービスも簡単には楽にしてくれない事は承知しているものだと思うが、どうだろうなぁ。かなりボケ天然も良い所だから分かっていないかもしれない。
そのボケ兄さんの言葉をおバカと自覚する俺が必死に補いながら、イズミヤに正確な状況を伝えるべくがんばってみました。
「つまり、ディアス国はすでに魔王八逆星に汚染されている可能性が高い、という事ですね……しかし、貴方は魔王八逆星を裏切る事にした。魔王八逆星も内部で分裂を始めた訳ですか。……ファマメント政府もかなり怪しい……と」
「そんな所だな。詳しくはこれから来るレッドに聞け。……それはそうとお前んトコの国はダイジョブなのか?」
「というと?」
「そも、イシュタル国は魔王討伐隊第一陣に人を送らなかったんだろう?」
「よくご存じで」
魔導師ってどうしてこう、癪に触る上から目線でしか話さんのだろうか。ムカつく。
「なんでだ?」
理由についてはイシュタルトのキリさんの話から大凡引き出し、すでに知っているのだが俺は、ムカついたので理由を聞き出してやる事にした。動機はそれだけだ。レッドらみたいに深い意味はない……いや、感情にまかせてないでそうやって詳しい事聞いた方がいいんだろうけどさ。
「……そうですねぇ」
イズミヤは少し考えてから口を開いた。
後に考えるに、恐らくその事情を俺に話して良いのかどうか考えた間であるように思える。
「まず第一に、他国で言われているように大陸座がイシュタル国には現れませんでした。8国家間で公式に情報交換を行っているテーブルがありましてね……主に政治的な駆け引きに使われるんですけれど。私が仕えていた外交官はその公式テーブルで情報をやり取りする職務も抱えています。国によって誰が応対するのかはそれぞれのようですが少なくとも、イシュタル国では対国家間情報は全て外交官管轄になっています」
「んな話はいい、イシュタルトが現れなかったから魔王討伐の話は聞いてなかったって事か?」
「ちょっと待ってください、順番に話しているんだから」
……魔導師とはいえレッド程嫌みじゃねぇな。
「8国家間で情報を交換するに、大陸座が国家の前に現れて干渉してきたと公言した国はたったの3つなんだ。ファマメント国、カルケード国、シーミリオン国。君に突っ込まれる前に言っておくけど、シーミリオン国は国を閉じていにも関わらず緊急事態と察して密使をウチに送ってきている。イシュタル国は中立国家として認知されているのは知っていると思うけど」
……いや、あんまり知らねぇ……。無知ですいません。
すっかりそういうとりまとめ役はファマメント国だと思っていたが……あそこは腹の底で野心が高すぎるのがもろバレだもんな。政治的に内側で混乱していて国を閉じているシーミリオンにしてみると、ファマメント国に貸しを作るのは危険かもしれん。そんくらいは俺でも何となく察する。
知らなかった事ははっきり言わず、適当に相づちを打って話を促した。
「それで、大陸座というものが実際に存在して危険を訴えてきているという事情をウチでも把握した訳ですよ。全面的に信じた、と云う訳じゃないけれどシーミリオン国の密使の話を聞く事にしたんだ。そしてその裏付けをするためにシーミリオン国の密使があった事を合意の上公開し、外交テーブル議長国であるファマメント国に通達。8国外交会議が執り行われたのさ」
「へぇ……そんなのあるのか。ディアスとファマメントとカルケードって仲が悪いんだろ?会議成り立つんか?」
「お互いの情報は欲しいだろ?国で仲が悪くたって子供じゃないんだから……表面上は大人に振る舞って議会の席にはつくさ。テーブルに付かないって事は八精霊大陸において国とは認知しないされないって事だし……」
社会情勢的な難しい話なんだな。戦士ヤトは難しいなぁと感じている。
しかし、こういうの無関心というのは良くないのだろうなぁ……と苦笑してしまうのはサトウ-ハヤトの感覚だ。何分リアルの方で世界情勢に疎い自覚あるもので。
「それで、世界を破壊しうる危険な存在、例えて『魔王』がいるからこれを倒して欲しい。そのように大陸座が国家に訴えたのが少なくとも3国あった事が確認された……訳だけど」
「だけど?」
「そこは取引が重要な所だから。実際の所は分からないんだ」
「分からない?どういう意味だ」
「イシュタル国は実際、大陸座の存在を把握出来てない。君が言った通り魔王討伐隊も送っていない。大陸座が魔王とやらを倒すのにどういう働きかけを国にしたのか、という情報は残念ながらテーブル上ではやり取りされなかったんだ」
「……?」
「だから、ファマメント国に魔王討伐隊を各国から集める、という話は国家間で話し合われた事じゃなくて、あくまで大陸座と各国の間にあった話だったって事さ。だからイシュタル国は魔王討伐隊をファマメントには送らなかった。何しろ大陸座イシュタルトの存在を確認出来てないからねぇ……」
俺は少し考えて……悪いが考えないと物事を上手く整理できんのだ……。前にナッツらが暴露した魔王討伐隊第一陣の面子やどっから派遣されてきたかという情報、および今の魔王八逆星の顔と一致させていく。
コウリーリス国に大陸座は干渉しなかった。なぜならコウリーリス国に居る大陸座ドリュアートのマーダーさんは貧弱な姿をしていて、世界の真ん中にあった木から離れられなかったからだな。ぶっちゃけ爬虫類に悪性転生していた、人語で会話は成立するものの、根城は人が寄りつけない森の奥地。それで、大陸座連中が同じ危機感を抱いてそれぞれに行った、強い者を選んで魔王討伐に送る、という事は……出来なかった訳である。
そこで魔王討伐隊第一陣を取りまとめたファマメント国の方で、勝手にコウリーリス国から流れてきた罪人を代表として連れて行ったって話だったな。これが恐らくギルだろうと思われるが、ナッツらは性格が違うからどうにも疑問が残ると言っていた。
一つずつ確認がてらイズミヤに尋ねる。
「カルケードはアイジャンを寄越した訳だよな」
「らしいね、第二王位継承権を持つアイジャン殿下が出兵した、という話は割とオープンにされてた情報だ。そのカルケードも大陸座の干渉はあった、という事しか伝えてくれなかったからね、実際大陸座とどういうやり取りがあったのか分からない」
死の国にいるイーフリート、ウェシャナさんはどうやってカルケードに……?
パスとペレー、双子姉妹の闘争に巻き込まれて挙句死の国と同化しちまったって話だった。でもその前までは人間だったそうだから、双子が暴走する前にカルケード国に話をしに行ったのか?あるいは天…人の言葉を喋る動物ってのはあんまりいるものじゃない。そういうのはサイバー、あるいは神種って云われ珍しがられる。ウチのアインさんがそれな。死国に居たそういう誰かを使って話を通した可能性もあるな。
ファマメント国は地雷が多くてアレだが、どうにも天使教の偶像、ハクガイコウって奴に大陸座ファマメントが封じられている感じっぽい。はっきり神として姿を現して、魔王討伐隊結成を指揮したんだろう。ファマメント国の代表はテレジア・ウィン……一体どういう人なのかわからない。そういう名前の人が代表として魔王討伐隊第一陣をまとめて出陣した事はナッツが明言していたし、ウィン家のテリーとテニーさんの態度からしてそれは間違いなさそうだ。
シーミリオン国の事は詳細を聞いている。ナーイアストは、はっきりと姿を現して国に干渉していた。女王と側近が居場所に案内してくれたもんな。どうにも祠みたいなトコに奉っている感じだった。ジーンウイントのキシが放ったと見える一種プロテクトの所為で途中から姿が見えなくなったらしいが、魔王討伐第一陣としてキリュウの兄であるリュステル・シーサイドが……多分、自ら魔王討伐隊に加わると言って国を出て行ったのだろう。
ところが不思議な事に、ファマメント国の記録上シーミリオン国から来ているのはリュステルじゃないんだよなぁ……なぜかナドゥって名前になっていやがる。
「ディアス国は?」
「それが怪しいんだ」
イズミヤは苦笑する。
「外交テーブルは外交交渉の場でもある……事実を言う必要はないんだ。だから、実際には分からないと言った訳だよ」
「……なるほど、嘘を付いている可能性もありって奴か」
ようやくそのあたりの駆け引きの作法を把握する俺。
「実はイシュタル国も嘘ついたんだ。シーミリオン国からの密使の情報だけじゃどうにも、8国会議を発動出来るか怪しくてね。イシュタル国でも大陸座が現れたって、嘘をついているんだよ」
ははん、成る程それでナッツさんの疑問のお言葉、『なぜかイシュタル国は魔王討伐代表を送ってこなかったんだよね』になるわけだな。
8国会議とやらでその討伐を話し合った訳ではなく……その話は大陸座各々から出ているので、イシュタル国は討伐隊員をファマメント国には送れなかった訳だ。
……全面的に大陸座イシュタルト、キリさんの所為だわな。
「ディアスは魔王討伐に人を送ったそうだけど、ファマメント国と仲が悪いのに送ったって事は……それだけ非常事態として状況を把握したという事じゃないだろうか。とすると、ディアス国は大陸座なんて現れていないと伝えて来たけれど実際には、ユピテルトは現れてたんじゃないかな、と考えられるね」
「なるほどな。で、誰が来たのかとか知ってるかお前?」
「……前任北魔槍団長、と聞いている。後に第一陣は全滅したと8国会議で報告された訳だから……」
イズミヤは北魔槍団長でもあるアービスを伺った。
「君じゃぁないよね?」
「ああ、私はその時まだ団長じゃない。中身的には違う、と言えるんじゃないかな。でも外側で言えば同じだろう。北魔槍団長アービスは魔王討伐隊第一陣に参加し、死んだ」
「……え?ううんと、それはどういう意味だろうか?」
イズミヤの問いに、アービスは苦笑して肩をすくめる。
「しかしディアス国にとっては団長の死亡が表沙汰になるのは良くない事だったんだろう。北魔槍団長アービスが死んだ事を受け入れなかったんだ。それで……」
私が出来たとアービスは苦笑のまま自分の胸を押さえる。
「一体全体どういう都合ですか、それは!?」
どうやら魔王討伐隊第一陣がそのまま、今の魔王八逆星だって報告はレッドの奴、まだイシュタル国に上げてないようだな。ショッキングな事だろうから、それは軽々と報告出来る事ではない。国家間のデリケートな問題が山積みである。
「ペランは?あそこからも討伐隊には出てるぞ?確認してきたが無色魔導という異端でエルドロゥって奴が参加したらしいよな?その話は?」
「ペンランストラメールの事は、レッドさんからの報告を受けるまで全く把握しておりませんでした。すでにエルドロゥの方でファマメント国に向け、ペランへの報告はするなと言ったのかも知れませんね、大陸座ジーンウイントから魔王討伐の人選はあったという事実が後付けで知らされたようです……が、まぁペランは確証がない事に関しては大きく騒いだりしません。魔導師主導の国ですし」
裏で色々画策していてあえてだんまり、って奴か?
「あとは……シェイディ国か。あそこは……うん、国は無関係だな」
俺は一人で納得。暗黒神殿とかいう所で大陸座オレイアデントは隠された宗教の神として祭り上げられていた。事も在ろうか北神イン・テラールの現れだとされていたらしいよな。大陸座オレイアデントのノイザーもかなり要領の悪い奴だったように思える……肝心な事そっちのけ、お惚気であそこの事情は終わった。まぁ、あの時は何を聞けばいいのかまだはっきり分かってなくて、とにかくデバイスツールを受け取る事、ひいてはそれで俺とレッドのバグをどうにかする事しか頭になかったし。
「ああ、それは報告されていますので……シェイディ政府はポジション的にはウチに近いですから。かなりオープンに情報を開放しているはず。大陸座の存在は確認出来ないし、干渉もされていないとはっきり言っていた。その代わり大陸座オレイアデントは独自に討伐隊を送り込んだんだようだね。間に国を挟まなかったジーンウイントと同じ方法をとったって事だろう」
魔王討伐隊。それが今、魔王八逆星に成っちゃってる事情は……先に話すべきなのかなぁ……。
アービスの例を元に多少疑ってはいるのだろうけど。
やめた、俺じゃ上手い事説明する自信がない。そのように決めて俺は、別の話をしようと顔を上げたのだが。まるで俺の迷いを見抜いたように言った。
「……たとえ大陸座が魔王だったとしても、大陸座と接点のないウチの国はやましい所はありませんよ」
その言葉に俺は当然驚いてイズミヤを振り返る。
レッド、奴はどこまで報告をしているんだ。相互通信であれこれ口止めはしてこなかったって事は……俺から話してしまっても良いと云う事で、いずれ全て説明するという事なんだろうけれども。
「その顔からするとこの私の予測、遠からず近からず、のようですね」
「……いや、それは……報告は何もされてない……お前の推論?」
「そもそも大陸座なんてものが現れるのが発端じゃぁないですか」
イズミヤは深くため息を漏らして、座り込んでいた姿勢を少し崩す。
「その通り、これは私個人の推論であって国の意見ではありません。魔導師の端くれとして、何が原因か考えてみての一つの意見です。突き止めていけば現状、単純に考えて見えない、触れ得ない大陸座なんてものが見えて、触れ得るって事態から狂い始めている」
……全くもってその通り。
「だから、なぜ突然大陸座が現れたのか。その理由と原因を突き止める事が重要ではないか、と私個人は思っています」
その通りだ。
ある日、彼らはトビラを開けた。
……それは俺達は、と置き換える事も出来る。
そのトビラが開いたばっかりに……この世界は狂い始めている。それは世界の内側から見ていると破壊されているように見えるんだ。
世界の理が崩れ、大きく姿を変える。それを防ぐために世界を狂わせる原因を断つ。
ゲーム路線の王道だ。だが最近のシナリオはそれに一つや二つの捻りはデフォルトで加えられていたりする。俺はそういう捻りは推奨派だ。レッドみたいに王道だけで終わって貰いたくない。
ゲームであるなら、な。
トビラはゲームだ。それは分かっている、分かっているけど……今の、トビラの中にいる限りの俺はその『ゲームだから』という思いは受け入れる事が出来ない。
これが、この現実がゲームであってたまるか。
サトウ-ハヤトという意識が青い旗となって俺の、戦士ヤト・ガザミの存在を守っている。存在を破綻させているバグ、赤い旗を抑えてくれているのは正直、助かっているさ。
だがそういう裏技が通用するのはようするに、ゲームだからという結論は……受け入れられない。
漠然と分かってはいる。
けどその理論はこの世界に向けて説明が出来ない。説明するべき言葉が無い。
ならば、世界に分からせる言葉も理論もないのなら。
頭の悪い戦士ヤト・ガザミが『それ』を、
つまり『この世界がゲームである』だなんて事、……理解できるはずがないんだ。
それこそ、俺がこの世界で守らなければいけない価値観ではないのか。
混じってはならない思い、俺と『俺』。
騙されている、俺も、『俺』も。
互いに真実と思う経験の重さに何が真実であるのかはき違え、何が本質であるのかと二つの価値観の間で揺れている。
その迷いの幅、揺れ、歪みこそが俺と『俺』をここに許している。
騙されているんだ。
騙されていて、その上で……騙されている事を受け入れる事が出来る。
「……もし、大陸座が全部の原因だったら……」
どうする?その最期の疑問の形を誤魔化して俺は、この世界にだけ生粋に存在するイズミヤに訊ねていた。
俺がイズミヤの立場なら多分許せないだろう。
在る意味全てバグと言われるフラグ・システムに支配されていなければ、俺はその後付けされたシステムを『悪』と判断して許せないと思うはずだ。
フラグをもたらした大陸座がこの世界を狂わせているなら、俺はきっと大陸座を倒す事を選ぶだろう。
ゲームプレイヤーとか、デバッカーとか、そんな余計な価値観さえなければ俺は……。
大切だと思った人と、俺の人生をとても波瀾万丈にしてくれた大陸座の影響力を、少なからず呪ったはずだ。
それで過去が変わる訳じゃない。でも、過去から未来を読てしまうのは人間の常だ。悪いかどうかは俺には分からないが、可能性が少しでもあるなら二度と、俺や俺達が被った被害を誰かに受けて貰いたくないと思うだろ?
そうやって俺は……大陸座を倒す側に行くだろう。
魔王八逆星に『大陸座倒すからお前、こっちに来いよ!』と言われたら『オッケー俺も力になりたいんだ今行くぜ!』と答えてしまっていたかもしれない。
それを否定し、魔王八逆星に逆らったのは俺かそれとも『俺』なのか。
それともその二つが統合し、歪みに迷う青い旗持つヤト・ガザミなのか。
「んー……原因……として仮定して、ですよね」
イズミヤは腕を組んで、目を逸らして暫く唸っていた。色々シミュレーションしてみているのかもしれない。
「……私、実は過去とか史実って好きじゃないんですよね。歴史とか大の苦手だったりして」
「……はぁ」
何を言いたいのだコイツは。魔導師ってどうしてこう、訳の分からん事から話を始めるのだろう。
「過去何があったかを理解する事で、未来を予測して動くという理屈は分かりますが、それでも起った事は起った事でそれを事前に無かった事にしようっていうのは……因果を操るという事である訳で。というか、反省して今は覆りますか」
元より真面目な顔の、大まじめな視線をこちらに投げ寄越してイズミヤは俺に言葉を連ねた。
過去を『反省』して今が覆るか。
……それは、感情で過去を決めた原因を排除しても現在は変わらないという事に通じる。
なので、俺はそのイズミヤの訴える所を把握出来ていた。
「魔王は世界を壊す、大陸座はそれを知って世界の破壊を防ごうとしている。どちらが先で、どちらが問題なのかという答えは出るのかも知れないけれど……問題なのはその一連で私達の世界、即ち生きるこの環境がどうなるかという事。それが大事です」
緑色のマント、兼位という魔導師の端くれのイズミヤ。こいつは魔導師の肩書きの通り頭が良い。魔導師の頭の良さとは詭弁を語る、物事を考える能力が常人より飛び抜けているという事だ。それは時に『変人』の域にもイっちまう。
レッドなんかその域に達してるだろ。あいつの心の中に仕舞い込まれている望みはとんでもなくイっている。フツーの人は考えない事をたくらんでいる。
めんどくさいお膳立てはいらないのに、その舞台が整わないと望みを口に出そうとしない、めんどくさい自分のルールでもってレッドは自分を縛りこんでいる。
そうやって……歪んだ自分の心を必死に抑え込み、一見平常そうに保ってやがる。
そんなレッドと比べたら……イズミヤは素直だよな。
真っ直ぐ俺を見つめてくる、夜闇の中では黒にしか見えない瞳には迷いが無くて……こいつは魔導師で言葉に刺や曲はあるけど……レッドのように心を嘘で固めて覆い隠したりはしない。
「世界は変化するものです。不変たるや不倶戴天の敵……とは、時の精霊バルトアンデルトの名言と言いますね。知っていますか。時間は過去には巻き戻らない、それは時間の精霊バルトアンデルトが過去を失ったからです。昔に空の精霊ファマメントと争って、ファマメントから過去を殺されてしまった……と、私の大嫌いな世界史では伝えられています。実際時間を巻き戻す魔法というのはフォーミュラを構築する事も、魔法でもって歪めても難しい事の一つです。こういう動作させる事の難しい魔法には『制約』が掛かっていると言いましてね」
魔導師だからうんちくは無駄にしゃべるな。性分なんだろうと諦めがついてきた俺だ。仕方がないのでその無駄話に適当に聞き流すように相づちを打っている。
「時間を操る事、特に、時間を巻き戻す魔法はコストが掛かる。制限が酷い、即ち禁忌という事ですよ、だから例の報告を受けているエルドロゥは魔導師として色を奪われ無色となった訳です。悪魔召還をする前の実績です、実際悪魔召還は彼を2例目の無色という特殊な位を与える事を嫌った一部がエルドロゥを邪術士に貶めるためにでっち上げたとも言われますし」
「ふぅん、そうなのか」
その説は初めて聞いたな、レッドは当然把握していただろうに。
「……禁忌とはいえ、難しい魔導を解明した事には変わり在りません。無色という位は……最高位『青』を始祖3魔導以外に与える事は出来ないという古い慣例の為に取られた措置なんだろうって私は思っています。エルドロゥの実力を認めている魔導師は存外多いですよ。古い慣例など打ち破る、新しい変化……それを認められない者はどこにだって存在するけれど逆に、その変化を受け入れられる人もいる。私は変化は致し方ないものと思っています」
「……世界を壊す魔王も、大陸座も。お前はどっちも『許せる』って話か」
「壊れてしまったものはしょうがないでしょう。恨んだ所で砕けた壺は元に戻りますか?こぼれた水は、元の盆に戻るのでしょうか。戻らないならあとは未来に向けて、変化を受け入れていくしかない」
にっこりと笑う。イズミヤはそれから苦笑気味になって頭を掻いた。
「私が大嫌いな歴史によるところ、この世界は過去何度か壊れていますしね。月の大地が降り注いで旧人類が滅んだ例、西方における長い戦国時代。4大国を翻弄した魔龍の説話、魔物との融和を唱え世界の根本を変えてしまった南国の王。それから、北方の大陸の大半が沈んだ天変地異……世界が『変わった』事例を上げたらきりがない。大陸座が存在する事も、魔王がいて世界の規格を破壊する事も……起きてしまった事なら受け入れるしかない」
俺は、少し呆れて姿勢を崩す。組んでいた足を立ててそこに腕を乗せて顎を乗せる。
「でもさ、魔王の連中の所為で困ってる奴がいるんだぜ。不幸になった奴もいるんだ……そこの、アービスだってそうなんだけど」
「彼、魔王八逆星なんだろう?」
「騙されてたんだよこの間抜けな人のいいお兄さん」
アービスは苦笑して項垂れ、深くため息を吐いた。イズミヤは少し考えてから再び、魔導師的な例え話を始めた。
「……昔、西方を一つにしようっていう思想の元に多くの血が流れたんだそうだ。それが西方戦国時代の常だったってね。当時犠牲は致し方ないって考え方があったって事だろう」
コイツの、魔導師の話がよくわからんところから始まるのは、今に始まった事が無いのでおとなしく聞くとしよう。
「それから天変地異の類は防ぎようもない。あっという間に数万という単位の生命が奪われた……けど、その変化によって新しく栄えた命もある。短絡的に今だけを考えるのもいいけど……ほら、私達はバルトアンデルトが与えた、同じ未来にただ突き進むだけの時間の中に生きている。バルトアンデルトは過去を失ってしまったけど未来としてはまだ生きている。だから私達は未来を見れるんだろう?その未来の為に、今を生きていたりする。過去なんて『失われた』ものの為に生きるのはどうかな?」
前置きは長いが、要するに言いたい事は……分かるな。
「お前、ものすごく前向きだなぁ……楽天的というか」
「大体、世界が壊れるって何だろう」
イズミヤは小さく首をかしげた。
「たとえ大陸座って神のごとき存在が実在したって、それらだって世界の上にあるものだ。世界の理の一つは担っているんだろうけれどたった一つだ。世界は、一つの理で出来ているものじゃなくて多数の理の組み合わせで出来ているものと考えられている。端的に言ってしまえば……私は、何が起きたって世界が壊れる事なんて無いだろうって考えているよ」
あっけらかんと言い切るので俺は、ひたすらに苦笑が漏れた。
呆れているんじゃない。これは酷く関心しているんだ。
そうだ、イズミヤの言っている事は正しいと俺も思う。
世界が壊れる、その破壊から世界を救う?
何をばかげた事を。
人間一人の存在は小さい。どんなに力を持っていても、どんなに多くの人に存在を知られていても。どんなに多くの屍を足下に築いていても……そんなもの、世界の上では大したことじゃねぇ。
そうだ。その通り。
世界が壊れてしまうなんて事は無い。
壊れるのは今、ここにある現実だ。大きく改変する事、それも壊れるって言うじゃねぇか。
たとえ『ゲーム』という観念があって、その上でリセットボタンを押すという行為を理解していても……それは、その世界を理屈的に壊す事になったとしても本質までもは壊せない。
リセットボタンを押して失われるのは世界ではないという事だ。それでもって失われ、二度と元に戻せないのは……。
ようするに、その世界に通じるトビラだという考え方。
騙されるな『俺』の脳。
トビラを失う事を恐れたのは誰だ。
この世界の中にいる、青い旗を持ち、トビラによってこの世界に存在を許された者達だって事を忘れるな。
「じゃぁいずれ魔王八逆星の連中や、その下にいる黒い怪物どもとも世界は仲良くなれると思うか?」
「うん?」
「死なない、喰わない、寝ない、生きてない。そういう存在と上手い事世界は折り合い付けられるかって聞いてんだ」
「……出来ないなら討伐するだろうな。天使教と死霊の関係みたいな仕組みが出来上がるんじゃないかな。怪物を倒す、例えば君達みたいな魔王討伐という職業が出来て、世界におけるバランスを取る。そういう事全てひっくるめて世界と言うのだと思うけど」
かなわねぇ。
俺は苦笑して頭を掻いた。
まさしく今世界は、そうやって大きく壊れた……変化した世界のバランスを取っているのかもしれない。
魔王を受け入れてあげく、それを倒す勇者をも受け入れたんだ。
「世界はほっといても大丈夫、ってトコか」
確かに、俺達が大事にしているのは世界じゃねぇ。
世界の上に生きていて、その中で悲劇に巻き込まれた人との繋がり、つまり絆というものをないがしろにしたくないだけなんだ。
世界を救おうとしているんじゃない。
変わり果てた世界の中で置き去りにされている、その不慣れなものになってしまった世界の中で不便な思いをしている人の気持ちや感情を守る為に……。
世界を守るだなんて大義名分振りかざしているだけなんだよな。
「しょうがないだろう、大体、世界守るって言ってそんな事出来るはず無いんだから。途方も無い話じゃないか」
俺はゲームをやりすぎなんだ。
唐突に、そう思い知った。
ゲームみたいに、プレイヤーのために世界があるんじゃない。ここでは全ては世界の上だ。だから限りなくリアルだと脳が騙されている。
そんな風に考える、俺は……サトウ-ハヤトだよな。
イズミヤの言葉に苦笑が出るのはきっと……俺の中に『俺』の観念が混じってるから。
元エトオノ闘技場付近一帯を立ち入り禁止にしてもらい、封じられた門の前で有事に備える事になった俺は……なんだか眠れなくてたき火の前にふんぞり返って星を見ていた。
イシュタル国からも多数の兵隊を回して来て警備している。だから俺は警戒して起きてないで、寝てても良いんだけどな。
というか、イシュタル国が全面的に俺らの言う事を信じてくれてバックアップしてくれる現状が何か、奇妙な感じがしてきた。信頼されるのは、何というか……存外重いんだ。身軽な日雇い労働者と同じような御身分の『冒険者』なんて奴にはちょっとばかし重い。魔王討伐隊として一級に認められたって事は、そんな軽い身分から責任の生じる重い、一つの役職にクラスを変えたって事でもある。多分その重圧というか、不慣れな感じというか、そういう戸惑いの様な物だろう。慣れるものではないな、それは俺が他人を無条件に信じる様に、他人から無条件に信じられるって事だろう。
俺は、もしかすると他人から自分の事を信じて貰う事に慣れていないのかもしれない……なんて、な。
少し考えすぎかな……。
「緊張してますか?」
「そりゃ、お前だろ?」
俺が寝そべったまま起きているのを見つけて声を掛けてきたのはイズミヤだ。近くの宿を拠点にしよう、などと甘っちょろいコトを言いやがったので、俺らについてくるつもりならまず野宿に慣れろと放っておいたんだが。
それで仕方なく野宿につきあっているようだ。しかし慣れてないみたいでさっきからウロウロしている。
「いやぁ……確かに緊張感が足りなかったと反省しています」
やけに恐縮しているので俺は、別に叱ってる訳じゃねぇよとめんどくさそうに手を振った。
「……あの、あちらで寝ているリオさんと、アービスさんは……貴方のお仲間として登録されていないのですが」
俺達が申請した魔王討伐隊に、だな。
「ああ、事情なら奴らから聞けよ……いや、違った、リオさんは良いとしてアービスの件は見なかった事にしてくれ」
それはどういう事だ?とイズミヤは怪訝な顔をしてから、俺の近くに腰を下ろす。
「私、これで外交官ですのでええと……確か、ディアス国の北魔槍団長の名前がアービスだったと思うんですが。偶然ですよね?」
俺は体を起こしてため息を返した。
「さぁな、その北魔槍って何だ?」
「ディアス国法王に仕える四方騎士ですよ、ディアス国はあまり内部事情を外に漏らさない、私に言わせれば融通の聞かない面倒な国なんですがね。仕方がないので内通者を置いたり必要な情報を買ったりしているんですが……風の噂で北魔槍が」
「どうしたんだ」
俺は、ぶっちゃけディアス国の事情はさっぱり分かっていないのでちょっとばかし食いつき気味に話を促していた。
「魔王軍と戦って大打撃を受けた、という話です」
どこでどーなってそういう情報になるのだ。
俺は苦笑いを浮かべてしまう。一つずつ突っ込んでみるか。
「ディアス国が魔王軍と戦ったのか?俺はそんな話し聞いてねぇけどな。ちなみに、説明したと思うが俺ら、つい最近まで南方と西方にいたんだけど」
「……ええ、時期的にはその前あたりの話と推測されています。大体、ディアスはそういう内部事情を外に漏らさない国だと……」
あ、面倒になってきた。俺ってこういう腹の探り合いに向いてねぇわ。
「しらねぇな、けどその情報は間違っている」
「はっきり断言しますね、見てきたのですか?」
こんにゃろう、抜けてそうな奴に見えるが兼位とはいえ魔導師だなコイツ。
イズミヤのしたり顔を眺めながらそう思ったけど、魔導師とまともにやり合えるとは思ってねぇ。
「……アービスは確かにその、北魔槍騎士団長だ」
「……確かにそのように疑いましたけど……どういう経緯で今一緒に行動を?」
それを説明頂けますか?とイズミヤは改めて、坐りなおして俺に向き直ったな。
ちっ、まぁいいか。いずれこうやって根掘り葉掘り聞かれるんだろう。リオさんは別の所でアインと一緒に先に休んでいる。アービスは、奴は寝なくてもいいはずなのだが。
俺はイズミヤにちょっと待てとその場に置いて、少し離れた所で横になっているアービスを見つけて足で小突く。こいつ、こんなキツそうな鎧来たままよく寝てられるな?まぁ脱いだら魔王八逆星が背負っている模様が左側に現れているのがバレバレなので、隠すためにも鎧脱がないんだろうけど。自称魔王業が半人前だーとかで、アービスは模様を隠したり何だり、色々出来るはずの事が出来ない事が多いらしい。よくわからんが、あのお兄さん自身がよくわかってないのだからこれ以上知りたいと願っても無駄な。
アービスは起きていたのか寝ていたのか、よくわからないがしばらくして身じろぎし、体を起こす。
「何だい?」
「イズミヤにお前の説明するからちょっと来い」
寝なくて良い癖になんで寝るんだよ、と聞いたら私は全体的に中途半端らしくて、と言い訳になってない苦笑いを浮かべている。
「本当に……北魔槍団長の……アービスさんなんですか?」
その問いに、少しアービスは緊張したように身を強ばらせた。
「………」
そうだ、とか違う、とか。答えろよお兄さん!俺は肘で突っついたがそのままアービスは項垂れる。
「それが、どうかしたのかな」
何故そんな事を聞く?と言いたいらしい。アービスの言葉にイズミヤは、自分が把握しているディアス国での事情を簡単に、しかしこのちょっとおつむの足りないお兄さんにもよくわかる様に訊ねて、
「それで、魔王軍と戦って壊滅的な打撃を……」
「それはディアス国が流した話で、正しくはないな」
ほぅら、俺の言った通りだろう。イズミヤを伺うと何とも奇妙な顔をして俺とアービスを交互に見やっている。
「だから、なぜそうやって否定するんです」
「……私がその魔王八逆星の一人だからだよ」
アービスの言葉にイズミヤは、呆れたな。そりゃぁ、呆れるだろう。口をアホみたいに開けて何と次を聞いて良いものか迷っているが……アービスはバラしてしまった手前勢いがついてしまって言葉を続ける。
「壊滅的な打撃は確かに受けたがね……そう、魔王軍となったお陰で、になるわけだけれど」
「その魔王化したなんとか騎士団を壊滅させたのは、ランドールらしいよな」
どうにも、アービスとランドールが睨み合うハメになった事があった事はリオさんから聞いている。
大蜘蛛ウリッグを追いかけている途中、北魔槍騎士団が派遣されてきているのとブッキンしたんだそうだ。
アービスは鉄仮面の下、視線を少し逸らしてため息を吐いた。
「ああ……全て、ではないのだけれど。それがきっかけには変わりはない」
アービスは魔王八逆星の連中を裏切ってここにいる。今後魔王連中と一緒に動くつもりは毛頭無いと言った。
今胸に秘める思い、縁の切れてしまった弟を『救い出したら』……大人しく俺に首を差し出すだろう。
ちなみに、俺はそれに即答えてやろうとは考えていない。次はお前だ、とか脅してはいるけどな。
今更殺しにくくなった、って訳じゃない。それは無いが……この、縁のないものにはとことんどうでも良いと言い切るどこか薄情なお兄さんには、それなりの罰って奴を喰らわせてやりたいと思っているのだ。
最期までこき使ってやろう、と俺は画策していたり。
アービスも簡単には楽にしてくれない事は承知しているものだと思うが、どうだろうなぁ。かなりボケ天然も良い所だから分かっていないかもしれない。
そのボケ兄さんの言葉をおバカと自覚する俺が必死に補いながら、イズミヤに正確な状況を伝えるべくがんばってみました。
「つまり、ディアス国はすでに魔王八逆星に汚染されている可能性が高い、という事ですね……しかし、貴方は魔王八逆星を裏切る事にした。魔王八逆星も内部で分裂を始めた訳ですか。……ファマメント政府もかなり怪しい……と」
「そんな所だな。詳しくはこれから来るレッドに聞け。……それはそうとお前んトコの国はダイジョブなのか?」
「というと?」
「そも、イシュタル国は魔王討伐隊第一陣に人を送らなかったんだろう?」
「よくご存じで」
魔導師ってどうしてこう、癪に触る上から目線でしか話さんのだろうか。ムカつく。
「なんでだ?」
理由についてはイシュタルトのキリさんの話から大凡引き出し、すでに知っているのだが俺は、ムカついたので理由を聞き出してやる事にした。動機はそれだけだ。レッドらみたいに深い意味はない……いや、感情にまかせてないでそうやって詳しい事聞いた方がいいんだろうけどさ。
「……そうですねぇ」
イズミヤは少し考えてから口を開いた。
後に考えるに、恐らくその事情を俺に話して良いのかどうか考えた間であるように思える。
「まず第一に、他国で言われているように大陸座がイシュタル国には現れませんでした。8国家間で公式に情報交換を行っているテーブルがありましてね……主に政治的な駆け引きに使われるんですけれど。私が仕えていた外交官はその公式テーブルで情報をやり取りする職務も抱えています。国によって誰が応対するのかはそれぞれのようですが少なくとも、イシュタル国では対国家間情報は全て外交官管轄になっています」
「んな話はいい、イシュタルトが現れなかったから魔王討伐の話は聞いてなかったって事か?」
「ちょっと待ってください、順番に話しているんだから」
……魔導師とはいえレッド程嫌みじゃねぇな。
「8国家間で情報を交換するに、大陸座が国家の前に現れて干渉してきたと公言した国はたったの3つなんだ。ファマメント国、カルケード国、シーミリオン国。君に突っ込まれる前に言っておくけど、シーミリオン国は国を閉じていにも関わらず緊急事態と察して密使をウチに送ってきている。イシュタル国は中立国家として認知されているのは知っていると思うけど」
……いや、あんまり知らねぇ……。無知ですいません。
すっかりそういうとりまとめ役はファマメント国だと思っていたが……あそこは腹の底で野心が高すぎるのがもろバレだもんな。政治的に内側で混乱していて国を閉じているシーミリオンにしてみると、ファマメント国に貸しを作るのは危険かもしれん。そんくらいは俺でも何となく察する。
知らなかった事ははっきり言わず、適当に相づちを打って話を促した。
「それで、大陸座というものが実際に存在して危険を訴えてきているという事情をウチでも把握した訳ですよ。全面的に信じた、と云う訳じゃないけれどシーミリオン国の密使の話を聞く事にしたんだ。そしてその裏付けをするためにシーミリオン国の密使があった事を合意の上公開し、外交テーブル議長国であるファマメント国に通達。8国外交会議が執り行われたのさ」
「へぇ……そんなのあるのか。ディアスとファマメントとカルケードって仲が悪いんだろ?会議成り立つんか?」
「お互いの情報は欲しいだろ?国で仲が悪くたって子供じゃないんだから……表面上は大人に振る舞って議会の席にはつくさ。テーブルに付かないって事は八精霊大陸において国とは認知しないされないって事だし……」
社会情勢的な難しい話なんだな。戦士ヤトは難しいなぁと感じている。
しかし、こういうの無関心というのは良くないのだろうなぁ……と苦笑してしまうのはサトウ-ハヤトの感覚だ。何分リアルの方で世界情勢に疎い自覚あるもので。
「それで、世界を破壊しうる危険な存在、例えて『魔王』がいるからこれを倒して欲しい。そのように大陸座が国家に訴えたのが少なくとも3国あった事が確認された……訳だけど」
「だけど?」
「そこは取引が重要な所だから。実際の所は分からないんだ」
「分からない?どういう意味だ」
「イシュタル国は実際、大陸座の存在を把握出来てない。君が言った通り魔王討伐隊も送っていない。大陸座が魔王とやらを倒すのにどういう働きかけを国にしたのか、という情報は残念ながらテーブル上ではやり取りされなかったんだ」
「……?」
「だから、ファマメント国に魔王討伐隊を各国から集める、という話は国家間で話し合われた事じゃなくて、あくまで大陸座と各国の間にあった話だったって事さ。だからイシュタル国は魔王討伐隊をファマメントには送らなかった。何しろ大陸座イシュタルトの存在を確認出来てないからねぇ……」
俺は少し考えて……悪いが考えないと物事を上手く整理できんのだ……。前にナッツらが暴露した魔王討伐隊第一陣の面子やどっから派遣されてきたかという情報、および今の魔王八逆星の顔と一致させていく。
コウリーリス国に大陸座は干渉しなかった。なぜならコウリーリス国に居る大陸座ドリュアートのマーダーさんは貧弱な姿をしていて、世界の真ん中にあった木から離れられなかったからだな。ぶっちゃけ爬虫類に悪性転生していた、人語で会話は成立するものの、根城は人が寄りつけない森の奥地。それで、大陸座連中が同じ危機感を抱いてそれぞれに行った、強い者を選んで魔王討伐に送る、という事は……出来なかった訳である。
そこで魔王討伐隊第一陣を取りまとめたファマメント国の方で、勝手にコウリーリス国から流れてきた罪人を代表として連れて行ったって話だったな。これが恐らくギルだろうと思われるが、ナッツらは性格が違うからどうにも疑問が残ると言っていた。
一つずつ確認がてらイズミヤに尋ねる。
「カルケードはアイジャンを寄越した訳だよな」
「らしいね、第二王位継承権を持つアイジャン殿下が出兵した、という話は割とオープンにされてた情報だ。そのカルケードも大陸座の干渉はあった、という事しか伝えてくれなかったからね、実際大陸座とどういうやり取りがあったのか分からない」
死の国にいるイーフリート、ウェシャナさんはどうやってカルケードに……?
パスとペレー、双子姉妹の闘争に巻き込まれて挙句死の国と同化しちまったって話だった。でもその前までは人間だったそうだから、双子が暴走する前にカルケード国に話をしに行ったのか?あるいは天…人の言葉を喋る動物ってのはあんまりいるものじゃない。そういうのはサイバー、あるいは神種って云われ珍しがられる。ウチのアインさんがそれな。死国に居たそういう誰かを使って話を通した可能性もあるな。
ファマメント国は地雷が多くてアレだが、どうにも天使教の偶像、ハクガイコウって奴に大陸座ファマメントが封じられている感じっぽい。はっきり神として姿を現して、魔王討伐隊結成を指揮したんだろう。ファマメント国の代表はテレジア・ウィン……一体どういう人なのかわからない。そういう名前の人が代表として魔王討伐隊第一陣をまとめて出陣した事はナッツが明言していたし、ウィン家のテリーとテニーさんの態度からしてそれは間違いなさそうだ。
シーミリオン国の事は詳細を聞いている。ナーイアストは、はっきりと姿を現して国に干渉していた。女王と側近が居場所に案内してくれたもんな。どうにも祠みたいなトコに奉っている感じだった。ジーンウイントのキシが放ったと見える一種プロテクトの所為で途中から姿が見えなくなったらしいが、魔王討伐第一陣としてキリュウの兄であるリュステル・シーサイドが……多分、自ら魔王討伐隊に加わると言って国を出て行ったのだろう。
ところが不思議な事に、ファマメント国の記録上シーミリオン国から来ているのはリュステルじゃないんだよなぁ……なぜかナドゥって名前になっていやがる。
「ディアス国は?」
「それが怪しいんだ」
イズミヤは苦笑する。
「外交テーブルは外交交渉の場でもある……事実を言う必要はないんだ。だから、実際には分からないと言った訳だよ」
「……なるほど、嘘を付いている可能性もありって奴か」
ようやくそのあたりの駆け引きの作法を把握する俺。
「実はイシュタル国も嘘ついたんだ。シーミリオン国からの密使の情報だけじゃどうにも、8国会議を発動出来るか怪しくてね。イシュタル国でも大陸座が現れたって、嘘をついているんだよ」
ははん、成る程それでナッツさんの疑問のお言葉、『なぜかイシュタル国は魔王討伐代表を送ってこなかったんだよね』になるわけだな。
8国会議とやらでその討伐を話し合った訳ではなく……その話は大陸座各々から出ているので、イシュタル国は討伐隊員をファマメント国には送れなかった訳だ。
……全面的に大陸座イシュタルト、キリさんの所為だわな。
「ディアスは魔王討伐に人を送ったそうだけど、ファマメント国と仲が悪いのに送ったって事は……それだけ非常事態として状況を把握したという事じゃないだろうか。とすると、ディアス国は大陸座なんて現れていないと伝えて来たけれど実際には、ユピテルトは現れてたんじゃないかな、と考えられるね」
「なるほどな。で、誰が来たのかとか知ってるかお前?」
「……前任北魔槍団長、と聞いている。後に第一陣は全滅したと8国会議で報告された訳だから……」
イズミヤは北魔槍団長でもあるアービスを伺った。
「君じゃぁないよね?」
「ああ、私はその時まだ団長じゃない。中身的には違う、と言えるんじゃないかな。でも外側で言えば同じだろう。北魔槍団長アービスは魔王討伐隊第一陣に参加し、死んだ」
「……え?ううんと、それはどういう意味だろうか?」
イズミヤの問いに、アービスは苦笑して肩をすくめる。
「しかしディアス国にとっては団長の死亡が表沙汰になるのは良くない事だったんだろう。北魔槍団長アービスが死んだ事を受け入れなかったんだ。それで……」
私が出来たとアービスは苦笑のまま自分の胸を押さえる。
「一体全体どういう都合ですか、それは!?」
どうやら魔王討伐隊第一陣がそのまま、今の魔王八逆星だって報告はレッドの奴、まだイシュタル国に上げてないようだな。ショッキングな事だろうから、それは軽々と報告出来る事ではない。国家間のデリケートな問題が山積みである。
「ペランは?あそこからも討伐隊には出てるぞ?確認してきたが無色魔導という異端でエルドロゥって奴が参加したらしいよな?その話は?」
「ペンランストラメールの事は、レッドさんからの報告を受けるまで全く把握しておりませんでした。すでにエルドロゥの方でファマメント国に向け、ペランへの報告はするなと言ったのかも知れませんね、大陸座ジーンウイントから魔王討伐の人選はあったという事実が後付けで知らされたようです……が、まぁペランは確証がない事に関しては大きく騒いだりしません。魔導師主導の国ですし」
裏で色々画策していてあえてだんまり、って奴か?
「あとは……シェイディ国か。あそこは……うん、国は無関係だな」
俺は一人で納得。暗黒神殿とかいう所で大陸座オレイアデントは隠された宗教の神として祭り上げられていた。事も在ろうか北神イン・テラールの現れだとされていたらしいよな。大陸座オレイアデントのノイザーもかなり要領の悪い奴だったように思える……肝心な事そっちのけ、お惚気であそこの事情は終わった。まぁ、あの時は何を聞けばいいのかまだはっきり分かってなくて、とにかくデバイスツールを受け取る事、ひいてはそれで俺とレッドのバグをどうにかする事しか頭になかったし。
「ああ、それは報告されていますので……シェイディ政府はポジション的にはウチに近いですから。かなりオープンに情報を開放しているはず。大陸座の存在は確認出来ないし、干渉もされていないとはっきり言っていた。その代わり大陸座オレイアデントは独自に討伐隊を送り込んだんだようだね。間に国を挟まなかったジーンウイントと同じ方法をとったって事だろう」
魔王討伐隊。それが今、魔王八逆星に成っちゃってる事情は……先に話すべきなのかなぁ……。
アービスの例を元に多少疑ってはいるのだろうけど。
やめた、俺じゃ上手い事説明する自信がない。そのように決めて俺は、別の話をしようと顔を上げたのだが。まるで俺の迷いを見抜いたように言った。
「……たとえ大陸座が魔王だったとしても、大陸座と接点のないウチの国はやましい所はありませんよ」
その言葉に俺は当然驚いてイズミヤを振り返る。
レッド、奴はどこまで報告をしているんだ。相互通信であれこれ口止めはしてこなかったって事は……俺から話してしまっても良いと云う事で、いずれ全て説明するという事なんだろうけれども。
「その顔からするとこの私の予測、遠からず近からず、のようですね」
「……いや、それは……報告は何もされてない……お前の推論?」
「そもそも大陸座なんてものが現れるのが発端じゃぁないですか」
イズミヤは深くため息を漏らして、座り込んでいた姿勢を少し崩す。
「その通り、これは私個人の推論であって国の意見ではありません。魔導師の端くれとして、何が原因か考えてみての一つの意見です。突き止めていけば現状、単純に考えて見えない、触れ得ない大陸座なんてものが見えて、触れ得るって事態から狂い始めている」
……全くもってその通り。
「だから、なぜ突然大陸座が現れたのか。その理由と原因を突き止める事が重要ではないか、と私個人は思っています」
その通りだ。
ある日、彼らはトビラを開けた。
……それは俺達は、と置き換える事も出来る。
そのトビラが開いたばっかりに……この世界は狂い始めている。それは世界の内側から見ていると破壊されているように見えるんだ。
世界の理が崩れ、大きく姿を変える。それを防ぐために世界を狂わせる原因を断つ。
ゲーム路線の王道だ。だが最近のシナリオはそれに一つや二つの捻りはデフォルトで加えられていたりする。俺はそういう捻りは推奨派だ。レッドみたいに王道だけで終わって貰いたくない。
ゲームであるなら、な。
トビラはゲームだ。それは分かっている、分かっているけど……今の、トビラの中にいる限りの俺はその『ゲームだから』という思いは受け入れる事が出来ない。
これが、この現実がゲームであってたまるか。
サトウ-ハヤトという意識が青い旗となって俺の、戦士ヤト・ガザミの存在を守っている。存在を破綻させているバグ、赤い旗を抑えてくれているのは正直、助かっているさ。
だがそういう裏技が通用するのはようするに、ゲームだからという結論は……受け入れられない。
漠然と分かってはいる。
けどその理論はこの世界に向けて説明が出来ない。説明するべき言葉が無い。
ならば、世界に分からせる言葉も理論もないのなら。
頭の悪い戦士ヤト・ガザミが『それ』を、
つまり『この世界がゲームである』だなんて事、……理解できるはずがないんだ。
それこそ、俺がこの世界で守らなければいけない価値観ではないのか。
混じってはならない思い、俺と『俺』。
騙されている、俺も、『俺』も。
互いに真実と思う経験の重さに何が真実であるのかはき違え、何が本質であるのかと二つの価値観の間で揺れている。
その迷いの幅、揺れ、歪みこそが俺と『俺』をここに許している。
騙されているんだ。
騙されていて、その上で……騙されている事を受け入れる事が出来る。
「……もし、大陸座が全部の原因だったら……」
どうする?その最期の疑問の形を誤魔化して俺は、この世界にだけ生粋に存在するイズミヤに訊ねていた。
俺がイズミヤの立場なら多分許せないだろう。
在る意味全てバグと言われるフラグ・システムに支配されていなければ、俺はその後付けされたシステムを『悪』と判断して許せないと思うはずだ。
フラグをもたらした大陸座がこの世界を狂わせているなら、俺はきっと大陸座を倒す事を選ぶだろう。
ゲームプレイヤーとか、デバッカーとか、そんな余計な価値観さえなければ俺は……。
大切だと思った人と、俺の人生をとても波瀾万丈にしてくれた大陸座の影響力を、少なからず呪ったはずだ。
それで過去が変わる訳じゃない。でも、過去から未来を読てしまうのは人間の常だ。悪いかどうかは俺には分からないが、可能性が少しでもあるなら二度と、俺や俺達が被った被害を誰かに受けて貰いたくないと思うだろ?
そうやって俺は……大陸座を倒す側に行くだろう。
魔王八逆星に『大陸座倒すからお前、こっちに来いよ!』と言われたら『オッケー俺も力になりたいんだ今行くぜ!』と答えてしまっていたかもしれない。
それを否定し、魔王八逆星に逆らったのは俺かそれとも『俺』なのか。
それともその二つが統合し、歪みに迷う青い旗持つヤト・ガザミなのか。
「んー……原因……として仮定して、ですよね」
イズミヤは腕を組んで、目を逸らして暫く唸っていた。色々シミュレーションしてみているのかもしれない。
「……私、実は過去とか史実って好きじゃないんですよね。歴史とか大の苦手だったりして」
「……はぁ」
何を言いたいのだコイツは。魔導師ってどうしてこう、訳の分からん事から話を始めるのだろう。
「過去何があったかを理解する事で、未来を予測して動くという理屈は分かりますが、それでも起った事は起った事でそれを事前に無かった事にしようっていうのは……因果を操るという事である訳で。というか、反省して今は覆りますか」
元より真面目な顔の、大まじめな視線をこちらに投げ寄越してイズミヤは俺に言葉を連ねた。
過去を『反省』して今が覆るか。
……それは、感情で過去を決めた原因を排除しても現在は変わらないという事に通じる。
なので、俺はそのイズミヤの訴える所を把握出来ていた。
「魔王は世界を壊す、大陸座はそれを知って世界の破壊を防ごうとしている。どちらが先で、どちらが問題なのかという答えは出るのかも知れないけれど……問題なのはその一連で私達の世界、即ち生きるこの環境がどうなるかという事。それが大事です」
緑色のマント、兼位という魔導師の端くれのイズミヤ。こいつは魔導師の肩書きの通り頭が良い。魔導師の頭の良さとは詭弁を語る、物事を考える能力が常人より飛び抜けているという事だ。それは時に『変人』の域にもイっちまう。
レッドなんかその域に達してるだろ。あいつの心の中に仕舞い込まれている望みはとんでもなくイっている。フツーの人は考えない事をたくらんでいる。
めんどくさいお膳立てはいらないのに、その舞台が整わないと望みを口に出そうとしない、めんどくさい自分のルールでもってレッドは自分を縛りこんでいる。
そうやって……歪んだ自分の心を必死に抑え込み、一見平常そうに保ってやがる。
そんなレッドと比べたら……イズミヤは素直だよな。
真っ直ぐ俺を見つめてくる、夜闇の中では黒にしか見えない瞳には迷いが無くて……こいつは魔導師で言葉に刺や曲はあるけど……レッドのように心を嘘で固めて覆い隠したりはしない。
「世界は変化するものです。不変たるや不倶戴天の敵……とは、時の精霊バルトアンデルトの名言と言いますね。知っていますか。時間は過去には巻き戻らない、それは時間の精霊バルトアンデルトが過去を失ったからです。昔に空の精霊ファマメントと争って、ファマメントから過去を殺されてしまった……と、私の大嫌いな世界史では伝えられています。実際時間を巻き戻す魔法というのはフォーミュラを構築する事も、魔法でもって歪めても難しい事の一つです。こういう動作させる事の難しい魔法には『制約』が掛かっていると言いましてね」
魔導師だからうんちくは無駄にしゃべるな。性分なんだろうと諦めがついてきた俺だ。仕方がないのでその無駄話に適当に聞き流すように相づちを打っている。
「時間を操る事、特に、時間を巻き戻す魔法はコストが掛かる。制限が酷い、即ち禁忌という事ですよ、だから例の報告を受けているエルドロゥは魔導師として色を奪われ無色となった訳です。悪魔召還をする前の実績です、実際悪魔召還は彼を2例目の無色という特殊な位を与える事を嫌った一部がエルドロゥを邪術士に貶めるためにでっち上げたとも言われますし」
「ふぅん、そうなのか」
その説は初めて聞いたな、レッドは当然把握していただろうに。
「……禁忌とはいえ、難しい魔導を解明した事には変わり在りません。無色という位は……最高位『青』を始祖3魔導以外に与える事は出来ないという古い慣例の為に取られた措置なんだろうって私は思っています。エルドロゥの実力を認めている魔導師は存外多いですよ。古い慣例など打ち破る、新しい変化……それを認められない者はどこにだって存在するけれど逆に、その変化を受け入れられる人もいる。私は変化は致し方ないものと思っています」
「……世界を壊す魔王も、大陸座も。お前はどっちも『許せる』って話か」
「壊れてしまったものはしょうがないでしょう。恨んだ所で砕けた壺は元に戻りますか?こぼれた水は、元の盆に戻るのでしょうか。戻らないならあとは未来に向けて、変化を受け入れていくしかない」
にっこりと笑う。イズミヤはそれから苦笑気味になって頭を掻いた。
「私が大嫌いな歴史によるところ、この世界は過去何度か壊れていますしね。月の大地が降り注いで旧人類が滅んだ例、西方における長い戦国時代。4大国を翻弄した魔龍の説話、魔物との融和を唱え世界の根本を変えてしまった南国の王。それから、北方の大陸の大半が沈んだ天変地異……世界が『変わった』事例を上げたらきりがない。大陸座が存在する事も、魔王がいて世界の規格を破壊する事も……起きてしまった事なら受け入れるしかない」
俺は、少し呆れて姿勢を崩す。組んでいた足を立ててそこに腕を乗せて顎を乗せる。
「でもさ、魔王の連中の所為で困ってる奴がいるんだぜ。不幸になった奴もいるんだ……そこの、アービスだってそうなんだけど」
「彼、魔王八逆星なんだろう?」
「騙されてたんだよこの間抜けな人のいいお兄さん」
アービスは苦笑して項垂れ、深くため息を吐いた。イズミヤは少し考えてから再び、魔導師的な例え話を始めた。
「……昔、西方を一つにしようっていう思想の元に多くの血が流れたんだそうだ。それが西方戦国時代の常だったってね。当時犠牲は致し方ないって考え方があったって事だろう」
コイツの、魔導師の話がよくわからんところから始まるのは、今に始まった事が無いのでおとなしく聞くとしよう。
「それから天変地異の類は防ぎようもない。あっという間に数万という単位の生命が奪われた……けど、その変化によって新しく栄えた命もある。短絡的に今だけを考えるのもいいけど……ほら、私達はバルトアンデルトが与えた、同じ未来にただ突き進むだけの時間の中に生きている。バルトアンデルトは過去を失ってしまったけど未来としてはまだ生きている。だから私達は未来を見れるんだろう?その未来の為に、今を生きていたりする。過去なんて『失われた』ものの為に生きるのはどうかな?」
前置きは長いが、要するに言いたい事は……分かるな。
「お前、ものすごく前向きだなぁ……楽天的というか」
「大体、世界が壊れるって何だろう」
イズミヤは小さく首をかしげた。
「たとえ大陸座って神のごとき存在が実在したって、それらだって世界の上にあるものだ。世界の理の一つは担っているんだろうけれどたった一つだ。世界は、一つの理で出来ているものじゃなくて多数の理の組み合わせで出来ているものと考えられている。端的に言ってしまえば……私は、何が起きたって世界が壊れる事なんて無いだろうって考えているよ」
あっけらかんと言い切るので俺は、ひたすらに苦笑が漏れた。
呆れているんじゃない。これは酷く関心しているんだ。
そうだ、イズミヤの言っている事は正しいと俺も思う。
世界が壊れる、その破壊から世界を救う?
何をばかげた事を。
人間一人の存在は小さい。どんなに力を持っていても、どんなに多くの人に存在を知られていても。どんなに多くの屍を足下に築いていても……そんなもの、世界の上では大したことじゃねぇ。
そうだ。その通り。
世界が壊れてしまうなんて事は無い。
壊れるのは今、ここにある現実だ。大きく改変する事、それも壊れるって言うじゃねぇか。
たとえ『ゲーム』という観念があって、その上でリセットボタンを押すという行為を理解していても……それは、その世界を理屈的に壊す事になったとしても本質までもは壊せない。
リセットボタンを押して失われるのは世界ではないという事だ。それでもって失われ、二度と元に戻せないのは……。
ようするに、その世界に通じるトビラだという考え方。
騙されるな『俺』の脳。
トビラを失う事を恐れたのは誰だ。
この世界の中にいる、青い旗を持ち、トビラによってこの世界に存在を許された者達だって事を忘れるな。
「じゃぁいずれ魔王八逆星の連中や、その下にいる黒い怪物どもとも世界は仲良くなれると思うか?」
「うん?」
「死なない、喰わない、寝ない、生きてない。そういう存在と上手い事世界は折り合い付けられるかって聞いてんだ」
「……出来ないなら討伐するだろうな。天使教と死霊の関係みたいな仕組みが出来上がるんじゃないかな。怪物を倒す、例えば君達みたいな魔王討伐という職業が出来て、世界におけるバランスを取る。そういう事全てひっくるめて世界と言うのだと思うけど」
かなわねぇ。
俺は苦笑して頭を掻いた。
まさしく今世界は、そうやって大きく壊れた……変化した世界のバランスを取っているのかもしれない。
魔王を受け入れてあげく、それを倒す勇者をも受け入れたんだ。
「世界はほっといても大丈夫、ってトコか」
確かに、俺達が大事にしているのは世界じゃねぇ。
世界の上に生きていて、その中で悲劇に巻き込まれた人との繋がり、つまり絆というものをないがしろにしたくないだけなんだ。
世界を救おうとしているんじゃない。
変わり果てた世界の中で置き去りにされている、その不慣れなものになってしまった世界の中で不便な思いをしている人の気持ちや感情を守る為に……。
世界を守るだなんて大義名分振りかざしているだけなんだよな。
「しょうがないだろう、大体、世界守るって言ってそんな事出来るはず無いんだから。途方も無い話じゃないか」
俺はゲームをやりすぎなんだ。
唐突に、そう思い知った。
ゲームみたいに、プレイヤーのために世界があるんじゃない。ここでは全ては世界の上だ。だから限りなくリアルだと脳が騙されている。
そんな風に考える、俺は……サトウ-ハヤトだよな。
イズミヤの言葉に苦笑が出るのはきっと……俺の中に『俺』の観念が混じってるから。
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