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本編後推奨あとがきとオマケの章
番外編短編4『そして解散へ』
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おまけ04□ 08 中の総合エンディング □ページです
番外編短編4『そして解散へ』
イシュタル国首都、レイダーカを凱旋するは……魔王討伐隊。
凱旋とはいってもあまり派手ではない。先方がそれを望まなかったこともあるし、多く魔王を討伐した実績はあれども……。
魔王を完全に滅する事は出来ていない。
中央広場に展開する軍の参列に迎え入れられた5人と1匹は、敬礼の間を縫い……登城していく。
その後を一番の実績を誇る彼ら以外の者達が続いた。
「めんどくせーな、俺もばっくれりゃよかった」
代表として、闘技の町エズでの実績を知られるテリーが祝辞を貰うに、帰って来た時こっそり呟いたのを担当官となったイズミヤは聞いた。
さほど長くはないが、彼らの事は理解している。
思わず笑いたくなるのを必死に我慢し、形式だけの祝典は進んでいく。
イシュタル国で結成された魔王討伐隊はこれにて全て、解散されるのだ。
魔王はまだ残っているのになぜ、と思う者も少なくない。
事実が明かされていないのだからその疑問は当然だろう。
しかし、最大の実績を誇る5人と1匹がこれにて解散を願い出た。その理由を聞くに、イシュタル国もまた魔王討伐を維持する意味を失ったというわけである。
世界を乱した魔王八逆星の多くは討伐された。
数えるにまだいくつかは存在するのは事実だが、その多くを封じたと紫魔導は『詭弁』を翻す。
詭弁、すなわち嘘だ。真実ではない事をイズミヤは知っている。
しかし、真実を正しく国に報告するつもりはなかった。魔王討伐隊を一任された以上、彼らと一緒に魔王討伐の真実を背負い……この世界を導いていかなければいけない。
残党討伐には西方国で大きな組織が動く事が約束されている。
イズミヤは全てを取りまとめ、これ以上イシュタル国で魔王討伐隊を結成する必要はないという報告を出した。
懐事情を言えば外部戦士を雇うのだってタダではない。いならない事業はさっさと畳むが鉄則である。
ただでさえ魔王討伐なんて慈善事業に良い顔をしない大臣もいるのだ。賛成の者がいれば足を引っ張るに反対する人は現れるものである。
代表としてはテリーになっているが、実質彼らを率いたのは紫魔導のレッドで、彼は魔導都市ランとの連携の内に封じた魔王の管理も明言している。魔導都市ランを要するペランストラメールとイシュタル国はいたって中立の立場にあった。しっかりとレッドが、魔導都市における『残った魔王八逆星の管理』も根回しが終わっている。彼がイシュタル国で翻した詭弁が詭弁だと、バレてしまう事はないだろう。
式典はつつがなく終わりそうだ。
イズミヤは深くため息を漏らす。
問題はむしろここから。
自分は真実を知るイシュタル国代表として……働かなければならない。
国に正しい事を報告し、丸投げするという手段もあったがそうはしなかった。
短い間とはいえこの偉業を成し遂げた魔王討伐隊と触れ、仲間になり、ともにこれから来る世界の……ささやかな平和を維持したいと思ったからだ。
「時に、」
ふいと、玉座に座る白髪を湛えた国王は最後に問いかけてきた。
「ヤト・ガザミはどうしたのだ」
ああ、ここで聞くんですが王様。空気読んでくださいよ、いや、ちゃんと報告書は上げたのにとイズミヤが上の方の大臣の一人を窺うに……どうやら意地悪をされているようだ。
ああいうのと今後戦わないとなんだなぁと思って正直、胃が痛くなってくる。
「……陛下におかれましては一時瞬いたにすぎない戦士の名。それでも記憶にとどめていただけた事、きっと彼は誇りと思い喜んだ事でしょう」
いや、ヤトなら間違いなくウザがって嫌な顔をするだろう。
さわやかな笑顔で嘘を述べた魔導師含め、5人と1匹それからイズミヤは心の中で突っ込みを入れる。
「すでにご報告差し上げたはずですが」
さぁ、それをこの場で言うつもりか?恐らく魔王討伐隊として高い実績を上げた彼らをよく思っていない大臣の意地悪を、きっとレッドは察しているだろう。イズミヤの落ち度ではない事は、彼は勿論把握して一切取り乱す事なく進言する。
「彼は戦いの末に」
「……まさか、命を落としたというのか」
「……いいえ」
恭しく垂れていた頭をあげて、レッドはつっとメガネのブリッジを押し上げる。
「彼は、……戦い疲れ、悪しき道へと踏み外し……魔王となりました」
そして、彼の名は語り継がれる事になる。
世界を乱した魔王八逆星の一人として……末長く、歴史に残るんですよそりゃーもう、ばっちりと。
END
ここまでお付き合いいただき、ほんとうにありがとうごさいました!!!
番外編短編4『そして解散へ』
イシュタル国首都、レイダーカを凱旋するは……魔王討伐隊。
凱旋とはいってもあまり派手ではない。先方がそれを望まなかったこともあるし、多く魔王を討伐した実績はあれども……。
魔王を完全に滅する事は出来ていない。
中央広場に展開する軍の参列に迎え入れられた5人と1匹は、敬礼の間を縫い……登城していく。
その後を一番の実績を誇る彼ら以外の者達が続いた。
「めんどくせーな、俺もばっくれりゃよかった」
代表として、闘技の町エズでの実績を知られるテリーが祝辞を貰うに、帰って来た時こっそり呟いたのを担当官となったイズミヤは聞いた。
さほど長くはないが、彼らの事は理解している。
思わず笑いたくなるのを必死に我慢し、形式だけの祝典は進んでいく。
イシュタル国で結成された魔王討伐隊はこれにて全て、解散されるのだ。
魔王はまだ残っているのになぜ、と思う者も少なくない。
事実が明かされていないのだからその疑問は当然だろう。
しかし、最大の実績を誇る5人と1匹がこれにて解散を願い出た。その理由を聞くに、イシュタル国もまた魔王討伐を維持する意味を失ったというわけである。
世界を乱した魔王八逆星の多くは討伐された。
数えるにまだいくつかは存在するのは事実だが、その多くを封じたと紫魔導は『詭弁』を翻す。
詭弁、すなわち嘘だ。真実ではない事をイズミヤは知っている。
しかし、真実を正しく国に報告するつもりはなかった。魔王討伐隊を一任された以上、彼らと一緒に魔王討伐の真実を背負い……この世界を導いていかなければいけない。
残党討伐には西方国で大きな組織が動く事が約束されている。
イズミヤは全てを取りまとめ、これ以上イシュタル国で魔王討伐隊を結成する必要はないという報告を出した。
懐事情を言えば外部戦士を雇うのだってタダではない。いならない事業はさっさと畳むが鉄則である。
ただでさえ魔王討伐なんて慈善事業に良い顔をしない大臣もいるのだ。賛成の者がいれば足を引っ張るに反対する人は現れるものである。
代表としてはテリーになっているが、実質彼らを率いたのは紫魔導のレッドで、彼は魔導都市ランとの連携の内に封じた魔王の管理も明言している。魔導都市ランを要するペランストラメールとイシュタル国はいたって中立の立場にあった。しっかりとレッドが、魔導都市における『残った魔王八逆星の管理』も根回しが終わっている。彼がイシュタル国で翻した詭弁が詭弁だと、バレてしまう事はないだろう。
式典はつつがなく終わりそうだ。
イズミヤは深くため息を漏らす。
問題はむしろここから。
自分は真実を知るイシュタル国代表として……働かなければならない。
国に正しい事を報告し、丸投げするという手段もあったがそうはしなかった。
短い間とはいえこの偉業を成し遂げた魔王討伐隊と触れ、仲間になり、ともにこれから来る世界の……ささやかな平和を維持したいと思ったからだ。
「時に、」
ふいと、玉座に座る白髪を湛えた国王は最後に問いかけてきた。
「ヤト・ガザミはどうしたのだ」
ああ、ここで聞くんですが王様。空気読んでくださいよ、いや、ちゃんと報告書は上げたのにとイズミヤが上の方の大臣の一人を窺うに……どうやら意地悪をされているようだ。
ああいうのと今後戦わないとなんだなぁと思って正直、胃が痛くなってくる。
「……陛下におかれましては一時瞬いたにすぎない戦士の名。それでも記憶にとどめていただけた事、きっと彼は誇りと思い喜んだ事でしょう」
いや、ヤトなら間違いなくウザがって嫌な顔をするだろう。
さわやかな笑顔で嘘を述べた魔導師含め、5人と1匹それからイズミヤは心の中で突っ込みを入れる。
「すでにご報告差し上げたはずですが」
さぁ、それをこの場で言うつもりか?恐らく魔王討伐隊として高い実績を上げた彼らをよく思っていない大臣の意地悪を、きっとレッドは察しているだろう。イズミヤの落ち度ではない事は、彼は勿論把握して一切取り乱す事なく進言する。
「彼は戦いの末に」
「……まさか、命を落としたというのか」
「……いいえ」
恭しく垂れていた頭をあげて、レッドはつっとメガネのブリッジを押し上げる。
「彼は、……戦い疲れ、悪しき道へと踏み外し……魔王となりました」
そして、彼の名は語り継がれる事になる。
世界を乱した魔王八逆星の一人として……末長く、歴史に残るんですよそりゃーもう、ばっちりと。
END
ここまでお付き合いいただき、ほんとうにありがとうごさいました!!!
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