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第10章
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「いやあ、今日の魔砲は理論的に見ても完璧だったわ……! 特にあの【ゼロレンジ・ボンバー】! 怒りの感情エネルギーを直接的に、あそこまで純粋な破壊力に物質化するなんて、まるで夢のようじゃない!」
ベルグラードの宿屋「翠鳥亭」の一室。
俺とフィーネは、質素ながらも温かい夕食のテーブルを囲んでいた。
フィーネは、山羊肉のシチューを頬張りながらも、その手は休むことなく羊皮紙の巻物に今日の戦闘データを整理している。
その顔は、先ほどの戦闘の興奮がまだ冷めやらぬといった様子で、恍惚とした表情を浮かべていた。
おい、シチュー冷めるぞ。
「リク君の魔砲は、私の人生において最も美しい、最高の理論破綻よ!」
うっとりとした声でフィーネが言う。
その視線は、俺の右腕に釘付けだ。
飯食う時くらい、俺の腕じゃなくてシチュー見ろよ。
「お前、それ、俺じゃなくて俺の魔砲の方を見て言ってんだろ、絶対」
「あら、当たり前じゃない! リク君の魔砲は、千年続く魔法学の歴史を塗り替える、学術的奇跡なんだから! その奇跡を生み出す君自身にも、もちろん興味はあるけどね!」
フィーネは悪びれもなく言い放つ。
まあ、こいつが俺自身にベタ惚れとかだったら、それはそれで面倒くさいからいいんだけどさ。
「でもね、リク君」
不意に、フィーネが真面目な顔つきになった。
シチューを食べる手を止め、真っ直ぐに俺の目を見る。
「今日のあの戦いで、私は確信したわ。君の魔砲は、既存の魔法学の常識を、根底から、完全に覆す革命的なシステムよ。詠唱も魔法陣も属性も血統も、何もかも必要としない。ただ、君の意志と感情だけで発動する、純粋なエネルギーの塊。これがもし世に広まれば……」
フィーネは一度言葉を切り、窓の外の喧騒に耳を澄ませるような仕草をした。
「この魔法至上主義の社会が、その根っこから変わるかもしれない」
その言葉には、いつものような狂気じみた興奮ではなく、静かな、しかし確固たる意志のようなものが感じられた。
俺は、自分の右腕を見下ろす。
マルドゥークを吹っ飛ばした、この腕。
「……俺さ、最初は、普通の魔法使いになりたかったんだけどな」
異世界に来て、ファイアボールとか撃って、チヤホヤされたかった。
ただ、それだけだったはずなのに。
「あら、魔砲の方が断然面白そうじゃない? 既存の常識なんて関係ない、世界でたった一つ、君だけの力よ。誰にも真似できない、君だけのオリジナル。最高じゃない!」
フィーネは、心底楽しそうに笑う。
こいつにとって、常識とか権威とか、そういうものは本当にどうでもいいんだろうな。
ただ、自分の知らないこと、面白いこと、美しい理論(破綻も含めて)だけが重要なんだ。
ある意味、俺よりずっと純粋なのかもしれない。
その時、開け放した窓の外から、騒がしい話し声が聞こえてきた。
「おい、聞いたか? なんでも、魔砲使いとかいう奴が、あの悪徳魔法使いのマルドゥークをぶっ飛ばしたらしいぜ!」
「まじかよ!? 魔法よりも強い力があるってのか?」
「なんでも、魔法学者のお歴々も、その魔砲とやらで大騒ぎしてるって噂だぜ。新しい時代の到来か、なんてな!」
……マジかよ。
噂広まるの早すぎだろ。
まだ半日も経ってないぞ。
フィーネが、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「ほら、もうこんなに噂が広まってる。魔法の常識が、少しずつだけど、確実に揺らぎ始めてるのよ、リク君」
その笑顔は、まるでこれから始まる騒乱を楽しんでいるかのようだ。
「次は、もっと大きな敵が現れるかもしれないわね。マルドゥークなんかよりも、ずっと厄介で、もっと頭の固い権威たちが、君のその力を潰しにかかってくるかもしれない」
「……おいおい、脅かすなよ」
「でも、大丈夫よ」
フィーネは、俺の右腕をポンと軽く叩いた。
「君の魔砲なら、どんな敵だって、どんな理不尽だって、木っ端微塵に粉砕できるわ。私が保証する」
その言葉には、絶対的な信頼が込められていた。
俺の魔砲に対する、狂信的とすら言える信頼が。
「魔法使いになりたかった俺が、魔法の常識をぶっ壊す、か……」
なんだか、皮肉なもんだな。
「皮肉なんかじゃないわよ。それは必然よ、リク君」
フィーネは、きっぱりと言い切った。
「君が、新しい時代を作るの。そのための力が、君の右腕には宿ってるんだから」
新しい時代、ねえ……。
俺にそんな大それたことができるのかどうかは分からないけど、少なくとも、目の前で困ってる奴がいたら助ける、ムカつく奴がいたらぶっ飛ばす。
それくらいのことは、この魔砲があればできるかもしれないな。
そんなことを考えていると、ふと、窓の外に揺らめく人影のようなものが見えた気がした。
……気のせいか?
いや、確かに今、何者かがこちらを監視しているような、そんな嫌な気配を感じた。
俺が窓に駆け寄って外を見下ろしたが、そこにはもう誰の姿もなかった。
ただ、騒がしい夜の街並みが広がっているだけだ。
「どうしたの、リク君? そんな窓の外なんか見て」
「……いや、なんでもない」
気のせいだったのかもしれない。
だが、胸騒ぎがする。
マルドゥークを倒したことで、何かが動き出した。
そんな予感が、俺の心をざわつかせていた。
これから先、どんな面倒くさい奴らが現れて、どんな厄介事に巻き込まれるのか、想像もつかない。
けど、まあ、なんとかなるだろ。
なんたって、俺の右腕には、最強無敵の「魔砲」があるんだからな!
ベルグラードの宿屋「翠鳥亭」の一室。
俺とフィーネは、質素ながらも温かい夕食のテーブルを囲んでいた。
フィーネは、山羊肉のシチューを頬張りながらも、その手は休むことなく羊皮紙の巻物に今日の戦闘データを整理している。
その顔は、先ほどの戦闘の興奮がまだ冷めやらぬといった様子で、恍惚とした表情を浮かべていた。
おい、シチュー冷めるぞ。
「リク君の魔砲は、私の人生において最も美しい、最高の理論破綻よ!」
うっとりとした声でフィーネが言う。
その視線は、俺の右腕に釘付けだ。
飯食う時くらい、俺の腕じゃなくてシチュー見ろよ。
「お前、それ、俺じゃなくて俺の魔砲の方を見て言ってんだろ、絶対」
「あら、当たり前じゃない! リク君の魔砲は、千年続く魔法学の歴史を塗り替える、学術的奇跡なんだから! その奇跡を生み出す君自身にも、もちろん興味はあるけどね!」
フィーネは悪びれもなく言い放つ。
まあ、こいつが俺自身にベタ惚れとかだったら、それはそれで面倒くさいからいいんだけどさ。
「でもね、リク君」
不意に、フィーネが真面目な顔つきになった。
シチューを食べる手を止め、真っ直ぐに俺の目を見る。
「今日のあの戦いで、私は確信したわ。君の魔砲は、既存の魔法学の常識を、根底から、完全に覆す革命的なシステムよ。詠唱も魔法陣も属性も血統も、何もかも必要としない。ただ、君の意志と感情だけで発動する、純粋なエネルギーの塊。これがもし世に広まれば……」
フィーネは一度言葉を切り、窓の外の喧騒に耳を澄ませるような仕草をした。
「この魔法至上主義の社会が、その根っこから変わるかもしれない」
その言葉には、いつものような狂気じみた興奮ではなく、静かな、しかし確固たる意志のようなものが感じられた。
俺は、自分の右腕を見下ろす。
マルドゥークを吹っ飛ばした、この腕。
「……俺さ、最初は、普通の魔法使いになりたかったんだけどな」
異世界に来て、ファイアボールとか撃って、チヤホヤされたかった。
ただ、それだけだったはずなのに。
「あら、魔砲の方が断然面白そうじゃない? 既存の常識なんて関係ない、世界でたった一つ、君だけの力よ。誰にも真似できない、君だけのオリジナル。最高じゃない!」
フィーネは、心底楽しそうに笑う。
こいつにとって、常識とか権威とか、そういうものは本当にどうでもいいんだろうな。
ただ、自分の知らないこと、面白いこと、美しい理論(破綻も含めて)だけが重要なんだ。
ある意味、俺よりずっと純粋なのかもしれない。
その時、開け放した窓の外から、騒がしい話し声が聞こえてきた。
「おい、聞いたか? なんでも、魔砲使いとかいう奴が、あの悪徳魔法使いのマルドゥークをぶっ飛ばしたらしいぜ!」
「まじかよ!? 魔法よりも強い力があるってのか?」
「なんでも、魔法学者のお歴々も、その魔砲とやらで大騒ぎしてるって噂だぜ。新しい時代の到来か、なんてな!」
……マジかよ。
噂広まるの早すぎだろ。
まだ半日も経ってないぞ。
フィーネが、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「ほら、もうこんなに噂が広まってる。魔法の常識が、少しずつだけど、確実に揺らぎ始めてるのよ、リク君」
その笑顔は、まるでこれから始まる騒乱を楽しんでいるかのようだ。
「次は、もっと大きな敵が現れるかもしれないわね。マルドゥークなんかよりも、ずっと厄介で、もっと頭の固い権威たちが、君のその力を潰しにかかってくるかもしれない」
「……おいおい、脅かすなよ」
「でも、大丈夫よ」
フィーネは、俺の右腕をポンと軽く叩いた。
「君の魔砲なら、どんな敵だって、どんな理不尽だって、木っ端微塵に粉砕できるわ。私が保証する」
その言葉には、絶対的な信頼が込められていた。
俺の魔砲に対する、狂信的とすら言える信頼が。
「魔法使いになりたかった俺が、魔法の常識をぶっ壊す、か……」
なんだか、皮肉なもんだな。
「皮肉なんかじゃないわよ。それは必然よ、リク君」
フィーネは、きっぱりと言い切った。
「君が、新しい時代を作るの。そのための力が、君の右腕には宿ってるんだから」
新しい時代、ねえ……。
俺にそんな大それたことができるのかどうかは分からないけど、少なくとも、目の前で困ってる奴がいたら助ける、ムカつく奴がいたらぶっ飛ばす。
それくらいのことは、この魔砲があればできるかもしれないな。
そんなことを考えていると、ふと、窓の外に揺らめく人影のようなものが見えた気がした。
……気のせいか?
いや、確かに今、何者かがこちらを監視しているような、そんな嫌な気配を感じた。
俺が窓に駆け寄って外を見下ろしたが、そこにはもう誰の姿もなかった。
ただ、騒がしい夜の街並みが広がっているだけだ。
「どうしたの、リク君? そんな窓の外なんか見て」
「……いや、なんでもない」
気のせいだったのかもしれない。
だが、胸騒ぎがする。
マルドゥークを倒したことで、何かが動き出した。
そんな予感が、俺の心をざわつかせていた。
これから先、どんな面倒くさい奴らが現れて、どんな厄介事に巻き込まれるのか、想像もつかない。
けど、まあ、なんとかなるだろ。
なんたって、俺の右腕には、最強無敵の「魔砲」があるんだからな!
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