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第一部 第四章
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レイラは、ごそごそとズボンを脱いで、上着と下着だけの姿になっていた。
上着の裾が長いため、少しまくった状態で、ギルベルトに声をかける。
「準備できた。ほら、ギル、抱っこ」
そう言って、座った状態でギルベルトに両手を出しだして、抱っこを要求するのだ。
それを見たギルベルトは、細い足と上着の裾で見えそうで見えない下着にドキリとしながらも、それを表には出さないようにするも、微かに眉がピクリと動いてしまうのだ。
ギルベルト自身も、ブーツを脱いでズボンの裾を捲って準備を済ませていたため、レイラを抱き上げて泉の縁に移動する。
縁に座ったギルベルトは、慎重にレイラの足を泉に浸していく。
「姉さん、冷たかったら言って」
「ありがとう。でも、今のところ大丈夫。ふふ、シュワシュワ~って、気持ちいいね」
ニコニコと微笑むレイラは、ギルベルトの足の間に座って、泉を楽しむのだ。
レイラは、楽しい気持ちを歌にのせていた。
優しい旋律と、耳に心地いい歌声にギルベルトは、懐かしさを感じていた。
しかし、それはおかしなことだと遅れて気が付くのだ。
ギルベルトの記憶の中のレイラはド音痴だったからだ。
今まで考えないようにしていたことだったが、レイラの音痴は生まれ変わったとしても直るような生易しいものではなかったのだ。
赤髪のレイラの歌声は、それだけで人を害せるほどの武器でもあったのだ。
そのことを言うと、赤髪のレイラは、拳を向けてきたが。
だが、そのことを腕の中のライラに言うつもりはないギルベルトだ。
それでも、自分が心を寄せつつある今のレイラに思ってしまうのだ。本当の君はいったい誰なのかと。
そんなことを考えていたギルベルトは、ふと視界に入ったレイラの白く滑らかな肌と、鎖骨がちらりと覗く胸元にドキリとしてしまっていた。
レイラのことを少女と未だに思い込んでいるギルベルトは、薄い胸元が見えそうで見えない状況に股間に熱が集まりそうになって気が気ではなかったのだ。
十代の少年でもないのに、たったこれだけのことで興奮してしまっている自分に驚くやら呆れるやら。
腕の中のレイラに、少しだけ勃ち上がりつつある股間に気づかれないように、そっと腰を引く。
ギルベルトの変化に気が付いていないレイラは、楽しそうに歌を口ずさむのだ。
そして、ギルベルトの胸にもたれ掛かってから、見上げて言うのだ。
「ギル、ありがとう。すごく、気持ちいぃ」
そう言って、微かに頬を赤らめながら、目を細めるのだ。
「そう……か。姉さんが気持ちいいなら、よかった……」
そう言いつつ、薄く形のいい唇に無意識に視線が吸い寄せられていたギルベルトは、ごくりと唾をのんでしまっていた。
姉と似た姿の少女。可愛くて、目が離せない、自分が守るべき少女。
それが、ギルベルトが現在レイラに抱いている気持ちだった。
その気持ちに変わりはないが、少しだけ想いが深くなっていたことは否定しない。
ただし、その想いが、庇護欲だけではなく、微かな独占欲と、欲情も含むものだということにギルベルトは、抵抗でもするように気づかない振りを続けるのだ。
それでも、ギルベルトは今いるレイラに聞いて欲しいことがあったのだ。
姉ではない、しかし、姉の記憶を有する少女に、姉の代わりに聞いて欲しいと思ったことがあったのだ。
身勝手なことだと知りつつも、ギルベルトはレイラにそのことを語っていたのだ。
「姉さん……。聞いて欲しいことがあるんだ……」
「ん? なぁに?」
穢れのない澄んだ紫水晶の瞳を見て、一瞬口ごもるギルベルトだったが、結局自分の中の後悔を口にしていたのだ。
「姉さんに託されたことを果たせないでいる俺を許してくれ……」
そう言ったギルベルトは、自身の身に起こった過去の出来事をとつとつと語っていたのだ。
それは、今から十年前。レイラが死んでから間もないある日の出来事だった。
レイラに引き取られたギルベルトは、レイラが死んだ後、スレイブ辺境伯を継ぐためだけに様々なことを教育されていたのだ。
別に、血縁者がいない訳ではなかったのだ。
それでも、とある理由からレイラは魔術師としての才能があったギルベルトを見出したのだ。
レイラが生きている間は、誰もそのことに口を出す者はいなかった。
しかし、レイラが当主の務めである、とある儀式後に死亡確認がされた後から、レイラの血のつながった実の兄である、レイズ・スレイブが異を唱え始めたのだ。
「何故、血縁関係もない孤児を、我が家門に加えなければならない。あまつさえ、当主だと? ふざけるのも大概にしろ。レイラは、卑怯な手でも使って、兄である私から当主の座を奪ったのだ。レイラが死んだあと、当主の座は、本来の持ち主に帰されるべきだろう?」
そう言って、レイズはギルベルトから当主の座を奪って言ったのだ。
当然、それに抗ったギルベルトだったが、レイラ以外に後ろ盾のない、十六歳の少年だったギルベルトには、どうすることも出来なかったのだ。
当主の証たる、指輪をレイラから託されたいたギルベルトだったが、正式な当主になる前に、レイズたちに行動を起こされてしまい、どうすることも出来ないまま、証たる指輪を奪われてしまったのだ。
上着の裾が長いため、少しまくった状態で、ギルベルトに声をかける。
「準備できた。ほら、ギル、抱っこ」
そう言って、座った状態でギルベルトに両手を出しだして、抱っこを要求するのだ。
それを見たギルベルトは、細い足と上着の裾で見えそうで見えない下着にドキリとしながらも、それを表には出さないようにするも、微かに眉がピクリと動いてしまうのだ。
ギルベルト自身も、ブーツを脱いでズボンの裾を捲って準備を済ませていたため、レイラを抱き上げて泉の縁に移動する。
縁に座ったギルベルトは、慎重にレイラの足を泉に浸していく。
「姉さん、冷たかったら言って」
「ありがとう。でも、今のところ大丈夫。ふふ、シュワシュワ~って、気持ちいいね」
ニコニコと微笑むレイラは、ギルベルトの足の間に座って、泉を楽しむのだ。
レイラは、楽しい気持ちを歌にのせていた。
優しい旋律と、耳に心地いい歌声にギルベルトは、懐かしさを感じていた。
しかし、それはおかしなことだと遅れて気が付くのだ。
ギルベルトの記憶の中のレイラはド音痴だったからだ。
今まで考えないようにしていたことだったが、レイラの音痴は生まれ変わったとしても直るような生易しいものではなかったのだ。
赤髪のレイラの歌声は、それだけで人を害せるほどの武器でもあったのだ。
そのことを言うと、赤髪のレイラは、拳を向けてきたが。
だが、そのことを腕の中のライラに言うつもりはないギルベルトだ。
それでも、自分が心を寄せつつある今のレイラに思ってしまうのだ。本当の君はいったい誰なのかと。
そんなことを考えていたギルベルトは、ふと視界に入ったレイラの白く滑らかな肌と、鎖骨がちらりと覗く胸元にドキリとしてしまっていた。
レイラのことを少女と未だに思い込んでいるギルベルトは、薄い胸元が見えそうで見えない状況に股間に熱が集まりそうになって気が気ではなかったのだ。
十代の少年でもないのに、たったこれだけのことで興奮してしまっている自分に驚くやら呆れるやら。
腕の中のレイラに、少しだけ勃ち上がりつつある股間に気づかれないように、そっと腰を引く。
ギルベルトの変化に気が付いていないレイラは、楽しそうに歌を口ずさむのだ。
そして、ギルベルトの胸にもたれ掛かってから、見上げて言うのだ。
「ギル、ありがとう。すごく、気持ちいぃ」
そう言って、微かに頬を赤らめながら、目を細めるのだ。
「そう……か。姉さんが気持ちいいなら、よかった……」
そう言いつつ、薄く形のいい唇に無意識に視線が吸い寄せられていたギルベルトは、ごくりと唾をのんでしまっていた。
姉と似た姿の少女。可愛くて、目が離せない、自分が守るべき少女。
それが、ギルベルトが現在レイラに抱いている気持ちだった。
その気持ちに変わりはないが、少しだけ想いが深くなっていたことは否定しない。
ただし、その想いが、庇護欲だけではなく、微かな独占欲と、欲情も含むものだということにギルベルトは、抵抗でもするように気づかない振りを続けるのだ。
それでも、ギルベルトは今いるレイラに聞いて欲しいことがあったのだ。
姉ではない、しかし、姉の記憶を有する少女に、姉の代わりに聞いて欲しいと思ったことがあったのだ。
身勝手なことだと知りつつも、ギルベルトはレイラにそのことを語っていたのだ。
「姉さん……。聞いて欲しいことがあるんだ……」
「ん? なぁに?」
穢れのない澄んだ紫水晶の瞳を見て、一瞬口ごもるギルベルトだったが、結局自分の中の後悔を口にしていたのだ。
「姉さんに託されたことを果たせないでいる俺を許してくれ……」
そう言ったギルベルトは、自身の身に起こった過去の出来事をとつとつと語っていたのだ。
それは、今から十年前。レイラが死んでから間もないある日の出来事だった。
レイラに引き取られたギルベルトは、レイラが死んだ後、スレイブ辺境伯を継ぐためだけに様々なことを教育されていたのだ。
別に、血縁者がいない訳ではなかったのだ。
それでも、とある理由からレイラは魔術師としての才能があったギルベルトを見出したのだ。
レイラが生きている間は、誰もそのことに口を出す者はいなかった。
しかし、レイラが当主の務めである、とある儀式後に死亡確認がされた後から、レイラの血のつながった実の兄である、レイズ・スレイブが異を唱え始めたのだ。
「何故、血縁関係もない孤児を、我が家門に加えなければならない。あまつさえ、当主だと? ふざけるのも大概にしろ。レイラは、卑怯な手でも使って、兄である私から当主の座を奪ったのだ。レイラが死んだあと、当主の座は、本来の持ち主に帰されるべきだろう?」
そう言って、レイズはギルベルトから当主の座を奪って言ったのだ。
当然、それに抗ったギルベルトだったが、レイラ以外に後ろ盾のない、十六歳の少年だったギルベルトには、どうすることも出来なかったのだ。
当主の証たる、指輪をレイラから託されたいたギルベルトだったが、正式な当主になる前に、レイズたちに行動を起こされてしまい、どうすることも出来ないまま、証たる指輪を奪われてしまったのだ。
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