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第三章 再会④

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「雪?」

 肌に触れた冷たさに驚きながらもそう口にしたサラは、空を見上げた。
 しかし、雪は積もることはなくすぐに止んでしまっていた。
 
「サラ、気温が下がってきたから今日は戻ろう」

「残念だが分かった」

 自分のことを心配してそう言ってくれたランドールの気持ちを分かっていたサラは素直に頷いたのだった。
 
 それからと言うもの、気が向いた時に結界の歪みを祓うことを行っているうちにいつしか季節は春になっていた。
 その頃にはサラの体調も戻っていたのだが、ランドールはソーン辺境伯と共に忙しく動いていたためどうしてソーン辺境伯領に身を寄せることになったのかや、どうやってサラが助かったのかを聞くことは出来ていなかった。
 
 それでも忙しい間を縫ってランドールはサラの様子を見に来てくれたのだ。
 お茶を飲む暇もないくらいの短い時間ではあったが、顔を見て声を聴くだけでもサラは安心を覚えた。
 
 そんなある日のことだ。
 ランドールは、サラを連れて花が綺麗に咲く場所に来ていた。
 その場所に来たサラは名前も知らない美しい花々に目を奪われた。
 白と桃色が混じったような色合いの花畑に敷物を敷いたランドールは、どこから取り出したのかふかふかのクッションを並べてそこにサラを座らせた。
 そして、これまたどこに持っていたのかと思うほど沢山のお菓子やサンドイッチ、温かい紅茶を用意したのだ。
 
「ごめんな。本当はサラを優先したかったんだけど、ゴルセールとライデンがうるさくて」

 そう言ってランドールはサラに謝っていた。
 
「いや。経緯は分からないがゴルセール様とライデン様には世話になっている。わたしのことよりも―――」

「辺境伯子息」

「へ?」

「ゴルセールのことはまぁいいよ。でも、ライデンのことは辺境伯子息って呼ぶように」

「??」

「くそっ。可愛い顔で首を傾げても更に可愛いだけだよ。はぁ……。サラにはストレートに言わないと通じないよな……。嫉妬だ。俺はやきもちを焼いている。だから、ライデンのことは辺境伯子息。俺のことはランドールと呼ぶこと」

「やきもち? どうして? それにラン兄ちゃんはラン兄ちゃんだ」

「ストレートでも無理だった……。いや、諦めるな俺! サラ。俺はサラのことが好きだから、俺以外の男に親しくするのは嫌なんだよ」

「わたしもラン兄ちゃんが好きだぞ?」

「ああ、うん……」

 ランドールは、心の中で長期戦は覚悟し大きなため息を吐くのだった。
 
「それでだ。改めて話すよ。少し……、長い話になるけど聞いてくれ」
 
 そう言ったランドールは、サラと離れ離れになった後のこと、そして自身のことをサラに語って聞かせたのだ。
 
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