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本編
二度目の恋
アレクと不本意ながらセフレになって1ヶ月、最近は飯を作らされたり、部屋の掃除をさせられたり、セックス以外の用事で部屋に呼びつけられることも多い。
当初目指した友達の形ではないが、今アレクと一番時を過ごしているのはおそらく俺だろう。アレクの交友関係は広く浅い、どれも表面的で皆に優しく、そして冷たい。
「………………」
「なんだよ」
なぜ俺にはこんなに無遠慮で優しさがないのか。ある意味特別であることには間違いないが、大切にされている感じは全くしない。
「何でもない」
「何だお前、めんどくせぇな」
今日も今日とて、アレクの部屋で2人。飯を食ってあとは自室に帰るかどうかってところ。
「アレクって友達とかいないの?」
「ンなもんいるか。必要ねぇんだよ」
「ほら、王様になるなら頼りになる側近とか部下とかいないと」
「……おめでたい頭してんな。人間ってのは自分が得をするために他人を利用する生き物なんだよ。そのためなら簡単に裏切る。そんなやつらと仲良くしても意味ねぇだろ」
「そんな人間ばっかりじゃないと思うけど」
「だからめでたい頭って言ってんだ」
アレクの根底にあるのは異常なまでの人間嫌い。自分以外の人間はだれも信用できないと思っている。だから他人は駒でしかなくて、個人として大切に出来ない。
アレクをいい王にするためには、この人間嫌いを何とかするしかない。でも、どうやって?
「……そうやって全部拒絶して、お前は1人で生きていくのか?」
そんなの、悲しいだろ。無意識のつぶやきが口から溢れる落ちる。
その時、アレクは立ち上がり突然俺の胸ぐらを掴んだ。感情が揺れる黄金の瞳に射抜かれる。
「数回やったくらいで、知ったような口聞くんじゃねぇよ。お前は何様だ、帰れ」
冷たい言葉、踏み込むなと突き放される。ここから先に入ってくるなと明確に線を引かれたようだ。
俺は説教がしたかったわけじゃない。ただ嫌だっただけだ、こいつがこのまま孤独に生きていくのが、そして大切だと思えない国を惰性で治めていくのが。
それなのに、なんだその態度は?こっちがムカついてきた。胸ぐらを掴み返して、吠える。
「お前のセフレのルカ様だよ!数回やったくらいだと?!こっちがどんだけ体力すり減らして付き合ってると思ってんだ!」
「…は?せ、ふれ?」
「お前のメシも何回作ったと思ってんだ!世話してやってんだから話くらいさせろよ!……心配くらいさせろよ」
「……心配……?」
「王様なんて大仕事1人でやるなんて大変だなって、そこにお前が信用できる人間が1人でもいたらいいのにって、そう思っただけだよ」
「だから、いねぇって」
「最初から諦めて拒絶するなよ!長い人生1人くらいはお前が信じてもいいと思える人間がいるかもしれないだろ」
「………出会えなかったら?」
「そしたら運がなかったってことだ」
「…………はっ、はははは!それもそうか!」
アレクが腹を抱えて笑いだした。ムカついてキレ返したのに、こいつは何でこんなご機嫌になってるんだ?
突然アレクに頭を掴まれ引き寄せられる。唇が触れ合いそうな至近距離で、囁く。
「その特別な人間が僕ですってことか?」
「ッハァアア!?!?馬鹿!!!今はそういうこと言ってんじゃないだろ!!」
「これは非常にわかりにくく遠回しな愛の告白だったわけか」
「だ、だから!違うって言ってる!」
至近距離でくすくすと笑うアレク、もうなんか頭ん中がパンクしそうだ。実際真っ赤になって湯気が出てる、たぶん、そうなってる。
「も、もう!帰る!!」
「おぅ、きぃつけてな」
足音荒くアレクの部屋を出る。出た扉の外側で羞恥を堪えて蹲った。
揶揄われただけだ、無視すればいい。でも、もしかして。俺は無意識下に思っていたのかもしれない。俺を信じて欲しい、特別に大切な人間にして欲しいと、そう気づいてしまった。
「~~~~~~!!」
顔に両手を当ててしゃがんだ膝に顔を伏せる。
初恋は散ったとか、脅されて付き合ってるとか言いながら、結局俺はアレクへの恋心を捨てられないままだったのか?いや、これは一目惚れの時に感じた漠然とした恋心とは違う。俺様だけどカリスマに溢れた孤独な男が、自分だけに素を見せて求めてくるのが嬉しくて、再び恋に落とされたんだ。
なんてことだ。
何も知らない時とは違う。最低なところを知って、それでも好きになってしまった。
「…………………………最悪だ」
苦しい恋が始まる予感に、絶望する。
恨むぜ、神様。
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