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ファイルⅥ:詐欺捜査
#5
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本来なら、あの防犯カメラの映像を借りられれば、手っ取り早いのだが、民間の捜査機関には、そんな権限は無いため、門前払いされるのがオチだ…。
「リューさん、どうしますか?」
「聞き込み。」
「ラジャー…。」
彼女は、少々人見知りがあるらしく、初対面の他人と話すのは、苦手らしい。
「ミカはここの警備室行って、電話があった日の、病院の出入り口の防犯カメラ、確認できないか、行ってきて。」
「わ、解った…。」
そう言うと、一人、トボトボと病院の廊下を歩いて行った。
最初に、詐欺が『嘘』と見抜いていたのは、天木だった。
本人曰く、詐欺に遭った、本人でもないのに、少し話が具体的過ぎるらしい。
当事者のおばあさんですら、被害に遭った事も解らなかったのに、あの娘が、まるで事件に直接巻き込まれた様な話し方だったという…。
天木の感覚を疑う訳ではなかったが、半信半疑だった。
だが、今日彼女らの家に行って、それが確信に変わった。家に上がる直前、失礼だと思ったが、靴棚を拝見させてもらった。そこには、20センチサイズの男児用のスニーカーが数足、仕舞われていた。それも、結構高い位置に…。あのおばあさんではまず届かないだろう…。
「おぉ…日下部君ではないか…。」
ATM近くにある売店で、聞き込みをしていたところ、俺の怪我の主治医の石井先生が現れた。
「どうもです…。」
「どうしたんだい?今日は予約は入っていないだろ?」
「今日は仕事でたまたま来ただけです…。」
ざっと訳を話した。すると思わぬ情報を手に入れた。
「ここに来たって事は、ウチの患者の可能性があるなぁ…。よし、ちょっとそれらしい、カルテ無いか、調べて来てあげる。」
調査の仕事とはいえ、簡単にカルテの内容を個人的に調べてもらうのは、いかがなものか…。
「流石にそれは…。」
「大丈夫。それに、俺もこういう捜査って言うの?に憧れていた時期があってなぁ…。
まぁ、それとなく調べてみるから、あまり、重く考えない様に…。」
そう言うと、先生は、病室のある棟のエレベーターに乗って行った。
美歌から連絡が入ったのは、それから、10分程経った頃だった。
どうやら、防犯カメラのデータを入手できたらしい…。
それを車に戻って、確認作業をしているところだった。
「どうやって鍵開けたんだ?」
「キーレスエントリー。そのカギと全く同じな電波を流して開けました。」
やっていることは犯罪なのだが、出来てしまうことに、何も違和感が湧かなかった。
天木並みに小柄な彼女だが、その気になれば、ATMのカメラやこの病院のカルテ程度、盗み見ることくらい、容易い…。
「で、何か分かったのか?」
「ここに来ていたのは、やっぱり真田ちゃん本人ですね…。」
そう言うとパソコンで、映像のある一コマを表示させた。時刻は、おばあさんの自宅の電話に掛かってきた時刻の数分程前だった。
「リューさん、どうしますか?」
「聞き込み。」
「ラジャー…。」
彼女は、少々人見知りがあるらしく、初対面の他人と話すのは、苦手らしい。
「ミカはここの警備室行って、電話があった日の、病院の出入り口の防犯カメラ、確認できないか、行ってきて。」
「わ、解った…。」
そう言うと、一人、トボトボと病院の廊下を歩いて行った。
最初に、詐欺が『嘘』と見抜いていたのは、天木だった。
本人曰く、詐欺に遭った、本人でもないのに、少し話が具体的過ぎるらしい。
当事者のおばあさんですら、被害に遭った事も解らなかったのに、あの娘が、まるで事件に直接巻き込まれた様な話し方だったという…。
天木の感覚を疑う訳ではなかったが、半信半疑だった。
だが、今日彼女らの家に行って、それが確信に変わった。家に上がる直前、失礼だと思ったが、靴棚を拝見させてもらった。そこには、20センチサイズの男児用のスニーカーが数足、仕舞われていた。それも、結構高い位置に…。あのおばあさんではまず届かないだろう…。
「おぉ…日下部君ではないか…。」
ATM近くにある売店で、聞き込みをしていたところ、俺の怪我の主治医の石井先生が現れた。
「どうもです…。」
「どうしたんだい?今日は予約は入っていないだろ?」
「今日は仕事でたまたま来ただけです…。」
ざっと訳を話した。すると思わぬ情報を手に入れた。
「ここに来たって事は、ウチの患者の可能性があるなぁ…。よし、ちょっとそれらしい、カルテ無いか、調べて来てあげる。」
調査の仕事とはいえ、簡単にカルテの内容を個人的に調べてもらうのは、いかがなものか…。
「流石にそれは…。」
「大丈夫。それに、俺もこういう捜査って言うの?に憧れていた時期があってなぁ…。
まぁ、それとなく調べてみるから、あまり、重く考えない様に…。」
そう言うと、先生は、病室のある棟のエレベーターに乗って行った。
美歌から連絡が入ったのは、それから、10分程経った頃だった。
どうやら、防犯カメラのデータを入手できたらしい…。
それを車に戻って、確認作業をしているところだった。
「どうやって鍵開けたんだ?」
「キーレスエントリー。そのカギと全く同じな電波を流して開けました。」
やっていることは犯罪なのだが、出来てしまうことに、何も違和感が湧かなかった。
天木並みに小柄な彼女だが、その気になれば、ATMのカメラやこの病院のカルテ程度、盗み見ることくらい、容易い…。
「で、何か分かったのか?」
「ここに来ていたのは、やっぱり真田ちゃん本人ですね…。」
そう言うとパソコンで、映像のある一コマを表示させた。時刻は、おばあさんの自宅の電話に掛かってきた時刻の数分程前だった。
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