探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルXIV:追跡調査

#14

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 目が覚めたのは、窓から光が少しばかり漏れている、薄暗い、コンクリート壁に覆われた、部屋だった。
 「…。」
 「お早う。結構多めに嗅がせたはずなんだがな…。」
 背後から男の低い声が聞こえた。だが、後ろを振り向くことはできなかった。手足を見ると、椅子にガムテープで縛られ、身動きが取れない…。
 気を失う直前、甘い芳香剤の様な匂いがした…。おそらくクロロホルムだろう。
 「しかし、警察にしては随分と無防備だな…。携帯も無線も持っていないとは…。」
 とうとう男が私の前に回り込み、姿を見せた。男の特徴は、低身長…。おそらく、165センチ程度だろう…。だが、妙な威圧感がある…。薄手の長袖シャツからは、見て取ることはできないが、歩き方や腕の動かし方から、相当な筋肉を持っていることが見てうかがえる…。下手したら、日下部班長よりも…。
 「唯一持っていたこのスマートウォッチも、只の健康計測機だとはな…。」
 私の腕に着けていた筈スマートウォッチを男が手にしていた。液晶には、猫の画像が表示されていた…。
 それを見て安心した。もしもの為に、スマホを置いてきておいて良かった…。
 「貴方達は一体、何を企んでいるの?あんな子ども騙しの様な時限装置を付けて、火力的な爆発ではなく、電子機器のみを狙って攻撃をしようとしたんですか?」
 「…さぁな…。若様の考える事は分からん…。だが、俺は任された指示を遂行するだけだからな…。」
 「任務?」
 「新たな指示が出るまで、アンタをここに監禁することだ…。」
 「そんな事私に話して良いの?作戦なんでしょ?」
 「作戦?フン。そんなもの、有ってないよなものだ…。」
 男はそう言うと、唯一ある扉の前に腰を下ろした。
 「安心しろ…。痛い目は合わせん…。ただ、少しばかり大人しくしててもらう…。」
 「分かった。だけど、どちらにしろ、時間の問題です。私の仲間は、言葉なんてなくても、何でも知ってくれるから…。」


 スマホを幾ら解析しても、何も分からない…。何せ、なにも痕跡が残っていないのだから…。
 リンさんが残したのだから、何かしら答えがあるのかと思ったが、何もない…。流石元、物理教師といった所か…。
 「アマキちゃん…。私もお手上げ…。このスマホには何も残っていない…。」
 私がそう言うと、天木は「そう…。」とだけ言い、モニターから目線を逸らさなかった。
 だが、傍にいた工藤刑事は、声を荒げた。
 「何も分からないって、どうするんですか…。この先のカメラにも、監視カメラにも映ってないですし…。一体どこに…。」
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