【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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本編

俺が魔王の話をする話

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ロドリーを待つこと一月が経つ。
エル達は順調にレベルが上がっているらしい。
ゲームみたいにステータスなんて出ないから、前と比べたらであるから、『らしい』のだ。
間違っても『ステータスオープン』なんて言わんぞ!



「それにしてもロドリーさん遅くない?」

「まあ、遅いね。」

「遅いな。」

「ずっと宿にいるから魔王を倒す旅なのを忘れて、ずっと飯テロしている気がする。」

「「めしてろ?」」

「美味しい料理を見せつけて無差別に他人をさいなませること。」

「「ああ。」美味いもんね。」

「宿泊客や従業員に羨ましそうに見られるからな。」

「ユーリのお陰でこの宿、だいぶ有名になったみたいだよ。予約が取れないって。」

「料理を作るのは構わないけど、まだ魔王が起きないうちに倒したかったのになぁ。」

「は?」

「…ユーリ、初耳だが?」

「あれ、言ってなかった?」

「「聞いてない!」」

「確かロドリーの子どもが1歳になる頃に起きるんだよ。でも最近魔物の動きが活発になってきているって聞いているから、そう近くに目覚めるかも。」

「で、魔王はどこにいるかわかるのか?」

と、ジークが地図を広げてきた。

「?魔王って言ったら、魔王城じゃないの?」

「魔王城?」

「あれ?ちょっと待って。……魔王城、魔王城。…この北の国のお城を乗っ取ったんだ。更に厳寒の地にしたんだよ。誰も倒しに来れないだろうって。」

北の国を指差す。

「まだ、北の国を乗っ取られてはいないぞ。」

「ん~。眠っている場所、邪魔されないで、眠れる場所。ん~。」

「邪魔されない場所か。」

「なら、北の国に近い場所なら、大山脈かな?」

「ここは昔から人間が入れないからな。」

「雪山登山?無謀だよ?しかも確実じゃないし。」

「北の国を乗っ取られるのはいつ?」

「たしか…この街がドラゴンに襲撃される前だよ。ドラゴンがロドリーの魂を魔王城に持って行っているから。」

「なら、北の国にいれば、確実に魔王に会えるね。」

「ユーリの話だとあと3年、短くて2年か。」

「とりあえず、わかった事を王に伝えよう。エルは留守番な。お前だと伝え忘れがあるから。」

「ええ、そんなことないよ!」

「ある。」

「あるね。宿代の話忘れてたじゃん。」

「最初にユーリに旅の目的も伝え忘れていたな。」

「…あれぇ?」

「俺はこれから出るから。今日はユーリの手伝いしていろよ。」

ジークは地図を仕舞い、部屋から出て行った。
俺は丁度良いとばかりに、

「じゃあ、エルは泥麦、精米して。」

と、お願いした。

「はいはい。今日はユーリの手伝いしますよ。」

と、エルと厨房に向かった。





夕食の時間になってもジークは帰って来なかった。エルと先に食べて部屋に戻る。

「しかし、料理ってあんなに体力いるんだね。」

「そうだよ。ほぼほぼ力仕事だね。立ちっぱなしだしね。しかも調理中は五感をフルに使うから集中力もいる。簡単に作っているようで、日々の積み重ねが大事だし。」

「今日は本当に料理人を尊敬したわ。ユーリにも感謝を。」

「んふぅ、もっと褒めてもいいんだよ?」

「はいはい。疲れたから、今日はもう寝よ。」

「ジークは?」

「多分明日になる。話を詰めると長くなるから。」

「交渉ごとってエルの方が得意だと思っていた。」

「僕は無理。そういうのは昔からジークの担当。もしくはギートかな。」

「なるほど。」

「僕がやると向こうの面子を潰すからやるなって言われている。」

「ああ、逃げ場もなく追い込むのか。エルって割に好戦的だよね。」

「みたいだねぇ。」

「他人事のように言うね。」

「……。」

俺の返しに、エルは何も言わず、眉を下げ、泣きそうな辛そうな表情をした。



俺はまた知らないうちに今度はエルを傷つけていたらしい。






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