【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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本編

俺が2人に料理を作るワケの話2

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タタタッと軽快な包丁の音。俺は玉ねぎ、キャベツをみじん切りにしていた。
その後は、肉をこれでもかとミンチした肉と混ぜ合わせる。
塩、胡椒、醤油、おろし生姜を少々加え、鶏ガラスープの代わりにブイヨンを少量入れて、よく捏ねる。
そう、あれを作るのだ。


「ダメ、エル、そんなにいっぱい入らない。」

「大丈夫。優しくするから。」

「あっ、ダメ、溢れちゃう!」

「…お前ら、厨房で何やっている。」

「「料理!」」

と、俺はエルと餃子を作っていた。ジークは王太子殿下達と色々とお話し合いをしていたらしい。
餃子は中学生の時から作っていたし、高校生の時には、皮から作ったこともある。皮から作ると厚くてもちもちとしたものになるから、冬は鍋にも入れていた。

「言葉だけ聞いていると卑猥だな。」

「それはジークの頭の中が卑猥なだけだよ。」

「確かに。勝手に変換すんなよ…って、エル、本当に詰めすぎ。皮が破れるし、火の通りが均一にならないから、焦げるか生焼けになるって。」

「……なかなか難しいね。」

「……。(俺の頭の中が卑猥って決定なのか?)」

エルは頑張って適量を包んで、ひだを作る。
俺達の隣で料理長達も作っている。
白菜とネギと鶏ガラスープがあれば、多分前世の実家の味を再現できるが、代替え品もあるし、今はそこまで望んではいない。

「フライパンを熱して油を馴染ませて、火から下ろして並べていく。並べ終わったら、ちょっと皮を焼いてから、熱湯を入れ蓋をする。」

料理長達に教えながら作る。
フライパンより大きめの平皿を用意してもらい、水分がなくなってきた焼ける音がしてきたので、蓋を取る。水分がないことを確認したら、もう一度油を少量入れて、フライパンから剥がれやすくする。本当はごま油があれば良かったのだが。
火から下ろして平皿を被せ、ひっくり返す。皿に重みを感じたら、フライパンを離す。うん、綺麗に焼け目がついている。

「これで完成!」

と、試食をする。タレは醤油と酢のみ。
ラー油がないので、粗挽き胡椒で代用したが、餃子は酢と粗挽き胡椒だけでも美味い。呑んだ後の〆のラーメンと餃子を頼むと、餃子はいつも酢と胡椒だけだったし。
しかし餃子にフォークって、違和感半端ない。

「美味しい。」

「美味いな。」

「これは肉汁が溢れて美味い。」

「皮をもう少し厚くして、口をきちんと閉じれば、スープにも使えるね。」

口がきちんと閉じてない餃子は、大皿にタネが飛び出ていて、無残な姿になっていた。

「なるほど、色々な調理法があるんだな。」

「タレも色々と試せばいいと思うよ。ってジーク食べ過ぎ!」

「肉だから。」

「試食なの!みんなが食べて覚えないとなの!夕食分はきちんとあるから!」

「……わかった。」

ジークは、本当に肉しか頭にないのか?



夕食を作り終えて部屋に戻って食べる。
久しぶりの餃子を堪能する。
ご飯に餃子ってやっぱり美味いな。

「ユーリって、具合が悪くても僕達に料理を作ってくれようとするよね。なんで?」

もぐもぐと食べながら、エルが聞いてきた。
俺は口の中のものを飲み込んでから答える。

「最初はね、これしか出来ないから、足手纏いになりたくなくて。…でも、今はね、違う理由だな。」

「違う理由って?」

「…食べるってさ、身体を造る栄養を摂るための行為でしょ。まぁ、本能っていうか。食べるだけなら、別に味に拘らなくてもいいじゃない。でもさ、いろんな美味しい食材を使って更に美味しいものに変わるのが料理じゃない。どうせ食べるんだったら、美味しい方がいいじゃない。エル達が笑顔で食べてくれる姿を観たくて、俺は作りたいんだ。」

「俺達の笑顔を観たくて、か。」

「うん。エルもジークも好きだから、笑顔にしたいんだ。」






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