【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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番外編

俺の家族の話2

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夕食の準備が出来上がる頃、みんながお風呂から上がり、食堂に集まる。

「いいお湯だったわ。ユーリ、ありがとう。」

「楽しかったの!」

リリーはいつもお風呂は一人かジークママと一緒かだから、他の女性と入れて嬉しかったのだろう。

「ママ、僕ね、泳いだよ!教えてもらった!」

「僕も!」

「あらあら。」

と姉さんが義兄さんを睨む。『何教えてんの?!』って眼が言っている。
義兄さんはそっと目を逸らす。と一緒にジークも目を逸らした。

「どうせジークあたりが教えたんじゃない?騎士には必要な訓練だからとか言って。お前達、うちの風呂はいいけど、他の大浴場でしたら他のお客さんに迷惑になるからしちゃダメだよ?」

「「はーい!」」

「よし、いい子だ。」

と、俺は甥っ子の頭を撫でた。
ジークは、ほっとした顔になっていた。やっぱり犯人はおまえか!

「さ、夕食にしよう。」

と、席に着くように促した。





子供達にはお子様ランチを、大人にはオムライス、スープ、ローストビーフサラダ、食べれたらコロッケとからあげを用意した。

「「おいし~!」」

甥っ子達は喜んで食べだす。姉と義兄は、驚いて言葉も出ないと言う様子だ。

「はぁぁ、なんて美味しいのかしら。」

「本当、こんなに美味しいのは初めてだ。」

「このトロトロ玉子がクセになるわ。」

「ケチャップを使っているね。でもそれだけじゃないよな?」

「義兄さん、ケチャップはわかったの?流石商人!あとは僕の特製ソースだよ。」

エルにお願いして攪拌器付き鍋を作ってもらった。おかげでいつでも中濃ソースが作れるようになった。
ジークもエルもソース作りの時は逃げ出すからね。

「これって売り出せない?こんなに美味しければ売れるよ!」

「う~ん。難しいかな?多分中位の瓶で銀貨8枚かな。利益考えると金貨1枚。平民相手の商売をしている義兄さんには難しいかも。平民料理だと目玉焼きにかけるくらいしかできないし。」

「そうか。」

義兄はしょぼんとしてしまった。
人件費がかかるソースだから、まだまだ平民の手には入りそうもないです。

「ところで、ユーリ、一つ席が余っているけど?」

気になったのか、姉から質問される。

「ああ、いいの。毎日押しかけて来るのがいるから。」

「ユーリがそうやって準備するから、調子に乗るんだよ。」

とエルが言い、ジークがうんうんと頷く。

「『食わせろ』って煩いんだもん。ただでさえ、顔が煩いのに。」

「「ぶっ!」」

「エル、ジーク汚い。」

「顔がうるさいって。」

ぶひゃひゃとエルが笑い出した。皇子の笑い方でないよ。
ジークも肩を震わせて笑っているし。
なんて言っていたら、食堂の扉がバァンと開いた。

「ユーリ、メシ!」

「…煩いのが来たよ。」

「まぁ、確かに顔が煩いわね。」

「「ぶっふっ!」」

姉の正直な感想で、エルとジークはまた吹き出す。

「?なんだ?何を笑っている?」

「いや噂をしていたら来たから。」

「どうせ碌でもない噂だろ。おや、客人か?」

「俺の姉家族だよ。」

姉と義兄は席を立ち、

「ユーリの姉のロザリーでございます。」

「ロザリーの夫、ハードックでございます。」

姉達は、緊張しながらもサラッと完璧に礼をするあたり流石です!

「私はエルンストの父、エルファスだ。エルパパでいいぞ。」

「えっ!名前エルファスだったの?!エルのパパだからエルパパって呼んでたよ。」

「なんだ、知らんかったのか?」

「ってかジークの父上を『ジークパパ』呼びしている時点で気がつくけどね。」

エルは相変わらずエルパパには刺々しい。愛妾にしてやる発言の根は深そうだ。

「さて、今夜は何かな?」

と、エルパパは気にせずに席に座る。こういう時のスルーの仕方は、親子だなと思う。
エルパパにスープとサラダを出す。

「なんだ、肉はないのか。」

「どうせお昼もまともに食べていないんでしょ?だったら軽いものから食べないと、身体に負担がかかるの。それ食べたらちゃんと出すから。」

「…わかった。」

胃に負担がかかるのと、血糖値がいきなり上昇するからと説明したけど、この皇帝は聞きゃあしない。
だからわざと出さない作戦なのだ。

「そう言えば、ラインハルトが来たぞ。」

「はぁぁ?なんで連れて来ないの!」

エルパパは俺の叫びに引く。

「いや、なんでって。」

「エルパパよりハルの方が大事でしょ?何してんの、本当に。」

俺のぷんすこにエルパパは小さくなる。でも食べるのは止めない。
姉がジークに聞いた。

「ラインハルトって?」

「義姉上の隣の国の王様です。ユーリと仲良くなって、結婚式の参列をお願いしていたんです。」

「「はぁ??」」

姉と義兄は驚いた。目の前にいる皇帝ですら弟に頭が上がらないのを見て驚き、更に別の国の王様と仲良くなっていたのにも驚いた。

「もう、何に驚いたらいいのかしら?」

姉がそう漏らすとエルが、

「もう全部だね。いい土産話になるね。」

「…誰も信じないわ。」

うんうんと頷く義兄。平民感覚なら誰も信じないよな。

「ユーリにいちゃん、おかわり!」

両親が驚いて手が止まっているのに、子供はそんなことは関係なく、食べ進めていた。

「おっ、アランまだ食べれるのか?でもごはんの後デセール、甘味があるぞ?それも食べれるかな?」

「えっ、う~ん、やめとく。」

「よし、ミランが食べ終わったら、出してやるからな。」

「やった!」

甘味で喜ぶアラン。甘味が出ると知って急いで食べようとするミラン。やっぱり子供は可愛い。

「そうそう、父さん達から連絡あったの?」

姉の一言で、俺はここでやっと父さん達の存在を思い出した。



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