君の隣は

ゆい

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本編

13

もう一度温泉に浸かって身支度を整えたところで、閉館の時間となった。
駐車場に行けば、母さんの車があった。

「母さんありがとう。父さんは?」

「もう呑んで寝たわよ。」

「父さんが来るって思っていたよ。」

呑兵衛のんべえが来るはずないでしょ。温泉楽しかった?」

母さんは、後ろの座席の2人に聞いた。

「はい、「ありがとうございます!」」

「ここはカラオケ店もないから、若い子が遊ぶ場所がないのよ。」

「温泉久しぶりだったから、楽しかったです。」

「露天風呂の景色最高でした。」

「そう、良かったわ。」

父さんと母さんが気を遣ってくれたんだろうか。
ここは本当に遊ぶ場所がないからな。
若者離れで、山の方の町は過疎化が進んでいるって言っていたのを聞いたことがあるくらいだから。

「おばさんの料理は美味いし、温泉は気持ち良かったし、今日は最高!」

「あら、ありがとう。」

母さんは、料理を褒められて満更でない顔をする。
息子の前で頬を赤らめんな。
運転に集中して。



家に着き、そのまま離れに行った。
部屋にもう布団が敷かれていた。

「やっべぇ!温泉宿並みじゃん!」

と、渡辺がはしゃぐ。
母さん仕事が早いな。
スマホがブルったから見てみると、グループに鬼通知がきていた。
上村からだった。

「上村からめっちゃ通知きている。」

「あはは!怒ってる!」

「通話しようぜ。」

と、瀬下がスピーカーで通話を押す。
3コール目には上村が出る。

『お前らずるい!』

第一声がそれかい!

「温泉気持ち良かったよ。」

と、渡辺。

「料理美味かった。」

と、瀬下。

「田植えが悲惨だった。」

と、僕。

『人が働いている時に、休みを満喫しやがって!』

と、怒る上村。
渡辺と瀬下があれこれと今日のことを話しているうちに、僕はトロンと瞼が下がり、そのまま寝てしまった。

「あっ、日下部が寝た。」

「あっ!日下部、あっくんの膝枕!」

『何それ!なべちゃん、写メ!』

「りょ!」

カシャッ!

「俺ももうねみぃ。切るぞ?」

「俺も!」

『なべちゃん、興奮しているけど、寝れんの?お前ら、明日も泊まるんだっけ?』

「そう、明日も田植え!」

『頑張れよ!おやすみ!』

「「おやすみ」!」

と、通話が終了したことも、瀬下が僕を布団に寝かしつけてくれたことも、翌朝、渡辺が教えてくれるまで知らなかった。

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