君の隣は

ゆい

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「うわ、これも美味しい!」

と、上村が言いながら、ご飯を食べる。
瀬下は上村に取られまいと、黙々と食べている。

「こんなに美味しそうに食べてくれると、本当に作りがいがあるわね。」

と、母さんが言う。

「悪かったね。少食で。」

と、僕。

「瑞樹も愛莉もあまり食べないし、お父さん達も晩酌するとあまり食べないでしょ。朝は夕飯の残り物ばかりになっちゃうから。」

「ええ、勿体無い。」

と、上村。

「俺、母ちゃんのご飯、美味くて好きだよ。」

と、瀬下。
母さん顔を赤らめんな。なんなら父さんの前だぞ。
父さんも、爺さんと一緒にプロ野球見て盛り上がっているなよ。

玄関のチャイムがなり、母さんが出た。

「瑞樹、渡辺君来てくれたわよ。」

と、言われたので、食事中だが席を立つ。

「「なべちゃんの母ちゃん、ありがとう!」」

と、瀬下と上村は車から荷物を下ろしに行った。

「遅くなってすみません。あ、これ、皆様で。」

と、渡辺母は母さんに菓子折らしきものを渡していた。

「まぁまぁ、ご丁寧に。ありがとうございます。渡辺さんもご飯まだでしたら、いかがですか?」

「あら、よろしいんですか?」

と、渡辺母も一緒に食べることになった。

座卓が狭くなったので、父さんと爺さんは折り畳みのテーブルに移動した。
酒と枝豆があれば十分だからと、母さんに追いやられた。
父さん達は気にせず、呑みながらプロ野球を見ている。
母さんと渡辺母は楽しそうに食べながら話をしている。
渡辺と愛莉は音楽の話をしている。
瀬下と上村は競うように食べている。
そんな光景を見ながら、僕は夕飯をいつもより楽しく食べた。

9時過ぎには渡辺母は帰って行った。
まだ話し足りないのか、母も残念がった。

今回は人数が増えたので、風呂には2人ずつで入る。
渡辺と上村、瀬下と僕だ。
先に母さんと愛莉を先に入ってもらった。
爺さんは、夕方に一番風呂に入っているし、父さんは、呑んだ日は翌朝入る。

母さんが風呂に入っている間に、僕達と愛莉で食器を片付けていく。
デカいのが2人いるだけで、狭さが違う。

「上村さん。洗うの早いし、綺麗!」

「バイトで慣れているからね。」

上村が、9人分の皿をあっという間に洗い上げていく。
愛莉が食器の洗剤を流して、瀬下と渡辺が拭いて、僕が食器棚にしまう。

その後、父さん達もいなくなった居間で4人でお菓子をつまみながら、テレビを観たり、しゃべる。
夕飯あれだけ食べたのに、まだお菓子を食べれるなんてすごいな!

愛莉が風呂上がったと教えてくれたから、渡辺と上村が行った。
僕と瀬下は、離れに行き、布団を準備する。

敷き終わったら、瀬下が、

「瑞樹、こっち。」

と呼ぶから行ったら、窓には満月が出ていた。

「ふわ、すごい。いつもより大きく見える。」

「スーパームーンかな?」

と、2人で満月を眺める。
眺めていたら、

「『月が綺麗ですね』」

と、瀬下が笑顔で言う。

「『あなたと見るから綺麗なんです』」

と、僕は少し考えてから、答えた。
返し言葉は色々ある。有名なのは、『死んでもいいわ』だ。
でも、その言葉を使えるほど、僕はまだ瀬下を深く愛していないと思えた。
だから、今の僕の気持ちに近い、返し言葉で答えた。

「瑞樹らしい。」

と、フッと笑った瀬下の顔が近く。
優しく唇を重ねてくる。
瀬下は、ふんわりと甘いキスをしてくれた。


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