ナイフとライフル

泳ぐ切り身

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1章

第三話魔物出現

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あの後私は、店を閉め黒猫に飯をやり空き部屋を彼女の私室にしてやった。



そして私はふと、あの手紙の事を思い出し蝋をペリペリと剥がし中身を取り出した。

手紙には《明日10時までに冒険省本部大会議室に集結》

とだけ書かれていた。



「大会議室.....いったいなにをするんだ...どうせアイツの持ってきた物に書かれたものだろくな事じゃない。」



手紙を机の上に放り投げ突っ伏した



すると扉がノックされた。



「マスター....入っていい?」



黒猫の少女だ



「入っていいわよ」



私は姿勢を正す



すると、扉が少し開き顔をひょこっと出し耳をピクピクさせてこちらの様子を伺っている。



『なんやこの可愛い生物は!!』



「...本当にいいの?部屋なんて貰って?」



「なんで、そんなこと聞くか聞いていいかな??」



質問に質問で返すのはマナー違反だから聞いてみる。



「《どれいしょう》って言うところの人間が言っていた『これからお前らは人並みの暮らしが出来ると思うなよ』って」



それを聞いて私はため息をつく



「私はあんたを1人の人間として引き取った、前に引き取ったアイツもその筈だ。そして、この地域は奴隷にも人権がある。まぁ、奴隷に人権があったとしても私はあんたを奴隷として引き取った覚えは無いけどね。」



「そうなの.....よかった」



「ささ、明日早いから早く寝て!ほらほら」



そして、黒猫が自分の部屋に戻ろうとした時重要なとこを思い出した。



「ちょっと待って!名前教えるの忘れてたわ」



「....名前?」



名前は聞いても無いと言っていたので考えていた



「君の名前はルーだ」



「ルー?」



「そう、ルー 確か光の神だったけど対色だったよ

でも明るい未来を見て欲しいなぁって

それじゃおやすみね。

あっ、あと明日朝から昼居ないからね」



ルーの耳が垂れるのが分かる。

明日ルーの服とか店を任せる上で必要な物買いに行かないとなぁ。





そして朝私は久々に仕事着を取り出して着る

仕事着は黒い丈夫な長ズボンに軽い皮鎧に医療セットとボウガンのボルトを入れるためのポーチそれに冒険省治安維持部隊である事を証明する白く真ん中に黒い紋様が描かれた外套。

まぁ、白い外套なんて制服のようなものだし実戦では別の物を羽織って行く、装備は左手首に小型のボウガン、右胸に下向きに抜くように固定されたナイフと腰と足首に予備のナイフ。最後に髪を1本に纏めて支度は完了。

「ルー....」



と小声で声をかけながら彼女の部屋に入る。

彼女はスースーと寝息を立てながら寝ていた。

私は、そんな光景にクスリと笑い部屋を出た

そして、彼女の為の簡単な朝食を作り店を出た。





ーーーーーーーー



「んーーーー....」



私は背伸びしながら久々の外界の様子を見る朝早いながらも屋台が既に出ており、街は活気に溢れている。

色々な物が中途半端に発達したせいで様々な物が変わっている。



魔力で湯を沸かす蒸気機関、雷属性の魔法で充電されるバッテリー等、どんなに魔力適正や魔力量が高くても基本魔法等で事足りてしまうため、それによる格差は少ない。

基本実力主義だ血筋や家柄も関係ない、実績を得れば

平民ですら上位貴族にもなれる国だ。



居住区、商業区、産業区、中枢区、と区切りをつけるために外壁で囲われて居るが、出入りも自由。

有事の際は国民を中枢区に集めても数ヶ月は籠城できるという。



街の構造を思い出しながら、のんびりと遅れない様に歩いて行く。

途中、屋台から鼻をくすぐるいい匂いがするが、「帰りにルーの分も買って行ってやろう」程度しか考えてないかった。

途中何事も無く、冒険省本部まで着いたがさすがに本部とだけあってギルドの裏側に入るみたいに、顔パスとは行かなかった。



「身分証を」



中々、に仕事熱心な警備兵だ事。



「ん?君新入りかな?見ない顔だけど?」



見た目16歳顔付きも少し幼い。



「は、はい!今月からここに配属になりました!」



定期的に来るが、いつもの人じゃないので気になった。



「まぁ、頑張りな新兵君」



と言い、私はその新兵君に50000グリー紙幣を渡していていった。



軽く自分の5日働いて手に入る金を置いてかれた新兵はポカーンとした顔で見送った。



建物内に入り大会議室に入る。



「しつれいしまーす....」



そーっと扉を開け中を伺うが既に自分以外の人は揃っていた。



『お、おーう』



少し気まずい雰囲気だ。



No.1のデーン



No.2の私



No.3のクベ



No.4のディープ



No.5のベンディ



私を含めた、この5人が呼び出されたようだ、その他にも冒険省の重役の人間が数名その中にクーガーの姿もある。



「いつも通り時間通りだな、丁度10時、全員揃った事だ早速会議を始めよう」



会議室は暗く奥の席は逆光で見えず1番奥に居る、冒険省の大臣は小さなシルエットでしか見えない。



「大臣、俺たちをここに集めた理由だが」



低くこの大きな会議に重く響く声の主は特殊維持部隊のNo.1鋼鉄の壁こと、特殊維持部隊屈指の防御力と攻撃を持つ壁、デーン ベルトだ。



その鎧と盾、大剣は数多の激戦を潜り抜けた証出ある大量の傷と凹みがあるが、その鎧らが壊れる事は無いだろう。

「最近、南側の動きが怪しい、それに対応する様にこちら側北側で略奪や襲撃が多発している、目撃者の証言では子供ほどの緑色の生物が群れを成して襲ってきたとの事だ」



「魔物か...」



ベンディが呟く



「今まで汚染地帯でしか出現が確認されて居なかったが、今では汚染地域から遠く離れた所ですら。出現が確認されている。現在分かってることを説明してくれ」



研究員らしき白衣を着た女の人が立ち上がった



「魔物の起源はまだ研究です。

わかっていると言えば今回の襲撃等の件で出た魔物はゴブリンタイプと思われます。知能も高く罠や弓を使いこなしています。

それに加えこいつら一種では子は作れないとされて居ます。したがって、他種族の雌を使い繁殖すると思われます....」



研究員の肩が震える



「その対象に人間の雌も含まれ、今までの襲撃で被害を受けた街や馬車に居た民間人の女性はヤツらの苗床にされました。酷いものですよ、腹の中で成熟したゴブリンは宿主の腹を食い破り体外に出るのですから....」



私を含め同じ女であるクベも身震いする。



そして、再び大臣が喋り出す。



「という訳だ、冒険省はゴブリン討伐の依頼を既に出して居るが、獣しか相手してこなかったここの冒険者では負傷率が高い、諸君らには彼らの指南に当たって欲しい、最終的には討伐も兼ねた実戦訓練も検討して欲しい。」



ゴブリンは人型だほぼ対人戦だ、そして人型というのもタチが悪い、獣ばかりを相手してきた連中だ、人型と言うのに慣れていない。と言うか先ずほとんどの冒険者は害獣駆除などの接近戦、集団戦はあって狼退治などの獣にしては賢いがゴブリンほどではない相手との接近戦だ。慣れてるはずがない。



「私からは以上だ、他に言いたい事がある者はいるか?」



そこで、黙っていたディープが手を挙げた。



「奴らは巣を作るのか?それとも軍隊アリの様に一定の巣を持たないのか?」



研究員が立ち上がる



「はい、奴らは巣を作ります

洞窟に作る群れから知能が高い個体がいる群れなら丸太や木の枝等で家を作る群れもありました。」



「他に言いたい事がある者」



そして、私からは



「この街の周囲ので被害は確認されてるの?」



すると大臣が言う



「現在までに3人の被害者が確認されているがいずれもこの街の者では無かった、衛兵が他に被害者が居ないか捜索と警備をしている。」



「了解したわ。」



少なくとも被害は出てるわけか.....いくら衛兵が警戒していても穴はあるこの街の住民の被害は時間の問題か....



「特維隊は解散他は今後の方針を決める」



大臣がそういうとデーンに続き部屋を出た。

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