ナイフとライフル

泳ぐ切り身

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1章

死にかけ

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覆うように立てられた建物は洞窟の入口を覆っていた。

さっき、食べ物を運びこもうとしていたゴブリン達は矢倉の方を見ている。
その隙に、洞窟の中に入った。

『く、臭い...』

カビ臭さと何か...排泄物の臭いだろうか?充洞窟内に充満している。

《ルー外の様子は?》

《矢倉...に集まってた..ゴブリンは...解...散した》

洞窟内でも無線は問題無く動いている。
しかし、果物等を持ったゴブリンが入ってくる、グズグズしては居られない。

薄・明・る・い・洞窟の中に入っている。

いくらか進んで行くと、犬の鳴き声が聞こえる場所を見つけた。
まさかと思い覗くと、そこには狼....いや違う狼はあそこまで筋肉は浮きでない。

となると.....魔物に飼育されている?

「いや、見つかったら不味い...早く進もう」

その時、揺らりと後で影が動いた気がした。

その後、最深部に着いたが何もない大きな部屋がっただけだ。
ただし、受けつけない臭いがむんむんと充満している。

そして、踵を返し洞窟を出ようと来た道を辿ろうとした時....

大きな腕が薙ぎ払うように攻撃してきた

「!!!」

暗いが故、反応が遅れてしまった。
私はギリギリの場所で一撃を交わしたが二撃はもう既にそこまで迫っていた。

バキィィッ!!

「!??!!!?????」

理解が追いつかないまま、横っ腹を殴られ壁に叩きつけられる。

そのまま意識を失いかけたが、頭を地面に叩きつけ意識をはっきりさせる。

私を吹き飛ばしたそれは、身長約2m半筋肉を鎧のように纏い緑の皮膚を持っている。

「なんだ....お前は!!」

「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」

「人の言葉は使えないか!」

両腕を振り上げ私を叩き潰そうとする。

私は全力で躱し受身を取るが右側腕に異常なまでの痛みが走る。

腕があらぬ方向へ曲っていた。

「クソッ!!!」

悪態を付きそのまま、地獄のおにっごこが始まった。

私は、痛む右腕を庇いながら出口とは逆の方へ走った
牽制の為ボウガンを撃つが硬い筋肉に阻まれ、まるで効果が無い。

奴は、私を追いかける、まるで発情したイノシシの様に追いかけてくる。

「冗談じゃないッ!!あいつに捕まったら何されるかわかったもんじゃない!!!!!」

《マスター...緊急事態》


《えぇ!!》

《集落の...ゴブリン....洞窟に》

《わあってる!!》

十中八九あいつの鳴き声だ。

《ルー!全部仕留められる!?》

必死に走りながら隠れる場所を探す。

《無理...数...多すぎ....》

《どれくらい!!!》

《.......ざっと.....50....以上》

奴との距離はだいぶ離れたが、一本道何処か別れ道に隠れないといずれこっちの体力が尽きる。

《50....それなんて無理ゲーよ......》

そして、前方に別れ道3つほどに別れている

『別れ道!どっちに行くか.....』

そして、私は左に滑り込んだ。
しばらくすると、奴はそのまま真っ直ぐ突っ込んで行った。

私は息を切らせながらポーチから当て木と包帯、麻酔を取り出した。

私は当て木を折れた肘の近くに麻酔を打ち、当て木を咥えた。

「よし!よし!痛くない痛くない....3、2、1ッ」

ボキッ

「ンッッッッッ!!!!!」

当て木を噛み砕きそうな勢いで歯を食いしばった。

痛みが多少引いてきたところで、当て木をし、包帯を巻いた。

《ルー....これから脱出する....デカブツ連れてくから処理よろしく.....》

無線からの応答を聞く暇すらない

私は奴が直進して行った道の前に立ち息を吸った。

「スゥーー.....私は、ここにいるぞぉぉぉおおおお!!!!!!」

と大声で叫んだ。
そして、しばらくすると

ドドドドドドドドドド

やつの足音だ

「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」

さっきよりも大きな声で吠える。

「きたきたきたぁ!!!!」

そう言い、来た道を突っ走る。

そして出口までのおにっごこが始まった。
普通なら何かしら投げてくるはずだが何もしてこない。

そして私はやつに適当に狙いを付けたボウガンを走りながら発射する。
そのボルトは、偶然にも奴の目に刺さった。
私は振り向き、様子も見た
するといきなり奴の筋肉が膨れ上がりありえない速さで跳ねた。

私までの間合いは1周にして詰まり、モロに腹に奴の一撃を食らった。

「ゴッ!!......」

そのまま出口まで吹き飛ばされ建物を破壊し外に飛び出た。
奴がのっしのっしと歩いてくる。

私は、もう既に立ち上がることも出来ない。
最早首を動かすことすらやっとだ。

もう何もすることは出来ない。

その瞬間

「マスター!!!!!」

ルーの声が聞こえた無線からではない、奴もルーを見るが次の瞬間ルーはやつを踏み、ボウガンを構えていたその瞬間、ボウガンを撃ち奴の心臓を撃ち抜いたそれと同時に貫通した矢は私の頭上を掠めて着弾した。

「マスター!!!しっかり!!!」

『ああ、もう無理...持たないわ....』

私の記憶はそこまでだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「マスター!ねぇ!マスター!!」

いくらゆさぶっても反応はない。

「息はッ!」

彼女は耳を胸に当てる...

「息してない....そうだ!蘇生術!!」

昔、森で生活してる時老いた狩人に教えて貰った事がる。

彼女はニールの持っていたナイフで、皮鎧の固定具を切る。

片手の指をもう片方の手での指の間に入れ、掌底の部分で胸を何度も押す、時々空気を口から入れ何度も繰り返す。

そして、遂に

「ゲホッ!」

「マスター!!」

蘇生に成功した

「ルー...また死ぬ.....」

ルーが余りにも力強く抱きしめるものだから呼吸ができないのと、折れた骨に追い討ちをかけてきた。

「マスターが死んじゃったら.....」

その後は長かった

あの後ルーが洞窟の入口を崩落させ事実上この集落は壊滅した。


その後、集落から少し離れた所で、一夜を過ごした。

そして次の日の朝にはボロボロの状態でギルドに訪れ奴の死体を渡し再び意識を失った。
次に目を覚ましたのは医療棟のベットの上だった。

ベットの上では暇なことこの上ない。
利き手をやられ、絶対安静だが左手でも字を書く事は出来る。

以下報告書

今回感じたことだが,冒険者の対ゴブリンへの負傷率はやはり、人間と同じような姿をしてるからだと思った。

群れになれば厄介この上ないが3体までなら、単騎で勝てると思う。
しかし、今回見たいな特殊個体のような場合だと剣士系職が集まったとしても死者は覚悟すべきだ、強力なボウガン、もしくは魔法攻撃が有効とられる。
つまり、パーティは有事の際に備えバランスよく組めと言うことだ。
他にも特殊な個体がいると見た方が良い。

「はぁ...何が子供ほどの大きさの個体しか確認されてないだ.....」

バンッ!!

飛び跳ねるほどびっくりしたそして、飛び跳ねたせいで骨折した箇所に激痛が走る。

「おう、元気か?」

ニコニコとした顔の中年男性クーガー、後ろからはルーが私服姿で現れた。

「マスター...お見舞い....」

「クーガー....何が『元気か?』よ....」

左腕を抑えながら睨む。

「そう睨むなって」

いっつもこいつはこうだ

「報告書はそこ、用が済んだならすぐ帰って、今の私は機嫌が悪い」

「報告書を貰いに来たのもあるが、お前の持って帰ってきた奴の死骸だったが....南側が作った可能性がな....」

「どうゆう事かしら??」

「こうゆう事だ」

そう言いクーガーは2枚の白黒写真を渡してきた。

「何これ?」

「南側の言葉....おそらくだが...
【キングゴブリンタイプ2】らしい」

後頭部に押された焼印

「キングがいるということは【ロード帝】もいることになるわね....」
「気になる事にこのゴブリンには特殊な魔力を精製する器官があるんだ...おそらくこのゴブリンを次の世代にも作る為の物だろう」

「はぁ...私が死ぬ気で戦ったゴブリンにその上が居るなんてね....不意打ちを受けなければすぐ殺れたのだけど...」

「負け惜しみか?」

「事実よ!」

そして、2枚目の写真をとる。

「これは?」

「現在調査中だ、分かってると言えば筋肉が異常発達しているという事だ。」

そこに写っていたのは、洞窟内で見たあの狼だった。

「これに襲われれたらやばかったわね...」

牙がまるでナイフの様に鋭く、長い

あの状況で襲われれたら、原型を留めてないレベルで食い荒らされてただろう。

「今後....最悪の場合戦争突入なんて事もありえるかもな....」

ーーーーーーー
洞窟内でも動く無線
電波では無く魔力を電波の代わりとしてる為空間魔力さえあれば通信が出来る。
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