1 / 5
プロローグ 戦乱の嚆矢
しおりを挟む
このイレディア大陸を統一する。そう決意した者がいた。ロンバルド帝国第三皇子ルドルフである。彼はまず父に訴え、内務大臣として民政に力を入れ、10年かけて帝国の生産力を大きく向上させた。
さらに増やした生産力を軍備につぎ込み、次いで軍の支持を得るとクーデターを起こして父である皇帝を幽閉、二人の兄を謀殺して権力を手中にすると、大陸統一の大戦を始めたのである。
3つの王国、バリスト、ロンディニウム、ウィーリアが相次いで滅ぼされ、王国に従っていた衛星都市なども帝国の版図に加えられる。最後に残されたラフェル連邦は、滅ぼされた国の残党を糾合し、総力を挙げてローラッド平原で帝国と最後の決戦に及んだ。ラフェル連邦は4万5千、対する帝国は10万の大軍であり、数では対抗しようがない。ローラッド平原は起伏に富んだ地形で、大軍の運用は極めて困難とされた。ルドルフは信頼する将領に敢えて兵力を分割して任せ、それらの連携を持って対抗した。
決戦はラフェル側が築いた砦を利用して帝国の大軍たることの弱点、すなわち補給を脅かすことで撤退に追い込もうとしていた。野戦と見せかけた籠城戦であり、根負けを待つ戦略である。しかしながら戦況は圧倒的兵力を持つ帝国の優位に進み、複数の城塞を落とされたことで連携が断たれたラフェル軍が瓦解する。ルドルフ帝は最後の仕上げとばかりに全兵力を投入し、追撃戦に移行しようとした。
好事魔多しというが、皇帝の油断でもあっただろう。彼の身辺には少数の近衛のみであった。そこに傭兵部隊を中心としたわずか千余りの騎兵が帝国本陣に奇襲をかけ、ついには皇帝を討ち取ったのである。侵略者たるルドルフを討ち取った傭兵部隊は戦闘の混乱のさなかに姿を消した。
ここでラフェルの逆転勝利として決着がついていればよかったのであるが、歴史はさらに混迷を望んだ。追撃部隊がラフェル連邦の本隊を補足し、撃破に成功していたのである。
決戦に及んだ両軍の首脳が共に戦死するという椿事によってローラッド会戦は幕を閉じた。統一の夢は戦場の飛沫となりおおせ、更なる混迷の時代が幕を開けたのである。
それから2年。大陸は大いなる混乱の極みに陥っていた。ロンバルド帝国は帝室が事実上全滅していた。ルドルフの父たる先帝はルドルフ戦死のごたごたで謀殺された。帝室につながる公爵の位を持つ大貴族がそれぞれに継承権を主張し、帝国は10あまりの地方に分裂した。さらに滅んだ3つの王国もそれぞれ再興を目指して王家の落胤とやらを担ぎ出して各地で挙兵した。しかし、どこも後継者の一本化ができずさらにそのご落胤とやらも出自が怪しいと互いにいあう始末で、これらも複数の軍閥に分裂して小競り合いを繰り返す始末である。
大陸で最大勢力となったはずのラフェル連邦は会戦で失った戦力が大きすぎたことで、後を継いだ首脳部も自国の掌握と防衛に手いっぱいという状態でもあった。
そんな大陸の片隅で、ラフェル連邦の衛星都市ロウム公国で反乱が起きた。先だっての戦では帝国に包囲された末に降伏し、帝国軍の先鋒に加わっていた。皇帝戦死の混乱のさなか公王は戦死し、人質となっていた公女ルシアが帰国してその位を継いでいた。
その継承に不満を示したのが彼女の叔父であるグレイブ伯爵で、クーデターを敢行してルシアの追放に成功した。ルシアは少数の兵と共に公都をロウムを脱出したが、グレイブの放った追手が迫っていた。
千々に乱れた戦乱の大陸では全く珍しくもない事件。しかし歴史はここから動いて行くのである。
さらに増やした生産力を軍備につぎ込み、次いで軍の支持を得るとクーデターを起こして父である皇帝を幽閉、二人の兄を謀殺して権力を手中にすると、大陸統一の大戦を始めたのである。
3つの王国、バリスト、ロンディニウム、ウィーリアが相次いで滅ぼされ、王国に従っていた衛星都市なども帝国の版図に加えられる。最後に残されたラフェル連邦は、滅ぼされた国の残党を糾合し、総力を挙げてローラッド平原で帝国と最後の決戦に及んだ。ラフェル連邦は4万5千、対する帝国は10万の大軍であり、数では対抗しようがない。ローラッド平原は起伏に富んだ地形で、大軍の運用は極めて困難とされた。ルドルフは信頼する将領に敢えて兵力を分割して任せ、それらの連携を持って対抗した。
決戦はラフェル側が築いた砦を利用して帝国の大軍たることの弱点、すなわち補給を脅かすことで撤退に追い込もうとしていた。野戦と見せかけた籠城戦であり、根負けを待つ戦略である。しかしながら戦況は圧倒的兵力を持つ帝国の優位に進み、複数の城塞を落とされたことで連携が断たれたラフェル軍が瓦解する。ルドルフ帝は最後の仕上げとばかりに全兵力を投入し、追撃戦に移行しようとした。
好事魔多しというが、皇帝の油断でもあっただろう。彼の身辺には少数の近衛のみであった。そこに傭兵部隊を中心としたわずか千余りの騎兵が帝国本陣に奇襲をかけ、ついには皇帝を討ち取ったのである。侵略者たるルドルフを討ち取った傭兵部隊は戦闘の混乱のさなかに姿を消した。
ここでラフェルの逆転勝利として決着がついていればよかったのであるが、歴史はさらに混迷を望んだ。追撃部隊がラフェル連邦の本隊を補足し、撃破に成功していたのである。
決戦に及んだ両軍の首脳が共に戦死するという椿事によってローラッド会戦は幕を閉じた。統一の夢は戦場の飛沫となりおおせ、更なる混迷の時代が幕を開けたのである。
それから2年。大陸は大いなる混乱の極みに陥っていた。ロンバルド帝国は帝室が事実上全滅していた。ルドルフの父たる先帝はルドルフ戦死のごたごたで謀殺された。帝室につながる公爵の位を持つ大貴族がそれぞれに継承権を主張し、帝国は10あまりの地方に分裂した。さらに滅んだ3つの王国もそれぞれ再興を目指して王家の落胤とやらを担ぎ出して各地で挙兵した。しかし、どこも後継者の一本化ができずさらにそのご落胤とやらも出自が怪しいと互いにいあう始末で、これらも複数の軍閥に分裂して小競り合いを繰り返す始末である。
大陸で最大勢力となったはずのラフェル連邦は会戦で失った戦力が大きすぎたことで、後を継いだ首脳部も自国の掌握と防衛に手いっぱいという状態でもあった。
そんな大陸の片隅で、ラフェル連邦の衛星都市ロウム公国で反乱が起きた。先だっての戦では帝国に包囲された末に降伏し、帝国軍の先鋒に加わっていた。皇帝戦死の混乱のさなか公王は戦死し、人質となっていた公女ルシアが帰国してその位を継いでいた。
その継承に不満を示したのが彼女の叔父であるグレイブ伯爵で、クーデターを敢行してルシアの追放に成功した。ルシアは少数の兵と共に公都をロウムを脱出したが、グレイブの放った追手が迫っていた。
千々に乱れた戦乱の大陸では全く珍しくもない事件。しかし歴史はここから動いて行くのである。
0
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
嘘つきな君の世界一優しい断罪計画
空色蜻蛉
ファンタジー
誰も傷つけないよう付いた嘘が暴かれる時、誰よりも優しい青年の真実が明らかになる。
悪逆非道な侯爵家に生まれたリトスは、王太子妃を狙っている妹の野望を阻止し、実家を良い感じに没落させて、自分は国外追放されたいな~と考えていた。
軟派で無能な侯爵令息を装い、妹の対抗馬である庶民出身のテレサ嬢を支援したり、裏でいろいろ画策していた。
しかし、リトスの完璧な計画は、国外から招聘された有名な魔術師レイヴンによって徐々に暴かれていく。
リトスとレイヴン、二人の【星瞳の魔術師】が織りなす、オリジナル世界観の異世界ファンタジー物語。
※女性向けハイファンタジー&ブロマンス作品です
恋愛がメインではないので既存の女性向けカテゴリに分類できず・・主役二人の関係性はBLに近いです。
主人公最強、かつ相方も最強で、対等に戦うライバル&相棒です。
主役二人が水戸黄門よろしく事件を恰好よく解決していくお話になります。いっそ文芸の方がいいのかも?
※カクヨム、エブリスタ、Talesで連載中。掲載サイトによって進行がちがいます。
また、番外編の掲載の仕方も各サイトの仕様に合わせて変えています。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。
あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる