9 / 12
9 馬鹿皇子の戯言
しおりを挟む
「……んっ」
ぱちゃんと水音がした。
いつの間にか湯船で眠っていたらしい。
よりによって恋を自覚した、あの時を夢に見るとは。
ハンク兄様と別れた後、私は真っ先に浴室に駆け込んだ。
一刻も早くイヴァンに触れられた所を洗い流したかったのだ。
最後までされた訳ではないし、首や耳以外は素肌ではなくドレスやドロワーズ越しに触られた。
それでも一刻も早く体を洗い流して触られた感触を消してしまいたかった。
浴室の鏡を見て、なぜハンク兄様が顔色を変えたのか分かった。
首にはいくつも虫に食われたような薄紅の痣があった。
……お母様の首に何度も見た痕と同じだ。
あの記憶と同じで、それを見る度に胸が痛くなったものだ。
相手がお父様でないだけで、いつかキスマークを付けられる覚悟はしていたが……まさか初めてのキスマークがこれとは。
いつも以上に泡を多くつけた海綿で体を強く擦った。それでも触れられた感触は消えず、あの時の彼の目を思い出して、湯船の中でぐしぐし泣いてしまった。
抵抗できず、ただ震えて泣いていた自分が情けなかったのだ。
泣いているうちに眠ってしまったようだ。
《脳筋国家》の王女だろうと私は女で彼は男だ。
いざという時、力では敵わない。
分かっていても、それを見せつけられると、ただ怖かった。
お父様とお母様が愛し合う姿は、とても綺麗だった。
思い出す度に胸に痛みが走っても、美しく崇高な記憶だ。
けれど――。
イヴァンが私にした事は、お父様がお母様にしたのと同じ事のはずだのに。
「……あんなの、ちっとも綺麗じゃない」
一方的な行為だったからか?
ハンク兄様に言ったように、相手が彼でなくても結婚する以上しなくてはいけない事だ。
……私に耐えられる?
イヴァンならいいと思った。
お父様に外見特徴が似た、どこか懐かしさを覚える彼となら馬鹿皇子などよりも良い夫婦になれると思った。
けれど――。
私は湯船の中で体を抱きしめた。
彼は、おそらく――だ。
お父様の事を抜きにしても、今回の事を抜きにしても、私は彼を夫とは思えないだろう。
けれど、私がどう思おうと政略で決められた結婚だ。私に拒否権はない。
浴室を出てバスローブを纏った私は濡れた髪を侍女に拭ってもらっていた。
前世もそれなりに裕福な家だったが基本、自分の事は自分でやっていた。その影響で幼児期を脱すると自分一人で身支度を整え始めたのだが侍女達から「仕事がなくなります!」と泣きつかれてしまった。
王侯貴族の女性が侍女達にお世話されているのも生まれた時から傅かれて何もできないからというのもあるだろうが侍女達に仕事を与えるためでもあるのだろう。
入浴だけは断固として手伝いを拒否したが、それ以外はやってもらうようになった。侍女達に王女の世話という仕事を与えるのも王女として生まれた私の義務だと諦めたのだ。
「ぎゃあ――っ!」
後は寝間着に着替えて寝るだけという時に、聞き覚えがある男の悲鳴が聞こえた。
「……今の馬鹿皇子……皇子殿下の声よね?」
ほぼ廃嫡が決定されているとはいえ今は皇子だ。ここには祖国から王女付き従ってくれた侍女もいるが皇帝から派遣された帝国の侍女もいる。さすがに「馬鹿皇子」呼ばわりはまずいだろう。
「見て参りましょう」
「いいえ。私が行くわ」
侍女の一人が言ってくれるが、私は簡素なドレスに大急ぎで着替えマントを羽織ると部屋を出た。
「王女様! 私も行きます!」
祖国から私に付き従ってくれた侍女の一人、ケイトが慌てて私の後を追いかけてきた。
ケイトは今年十六歳。小柄で華奢な肢体。栗色の髪に淡い緑の瞳の可愛らしい少女だ。
しばらく行くと人だかりができていた。
大半は衛兵らしき男達だが、身形や雰囲気で貴人なのが明らかな二人の男性がいた。
「ハンク兄様……イヴァン、様」
彼らの足元には、明らかに手足が変な方向に曲がった馬鹿皇子が転がり呻いていた。
「来たのか。ベス」
来なくていいのにと言いたげなハンク兄様に私は眉をひそめた。
「もう部屋に戻られたと思っていましたわ」
「ベスと別れた後、こいつと遭遇したんだ」
ハンク兄様は形のいい顎で転がっている馬鹿皇子を示した。
「……もしかして、馬鹿皇子の腕や足の骨を折ったのは、ハンク兄様?」
手足が変な方向に曲がっているのは、誰かが、というか十中八九、ハンク兄様が折ったからだろう。
骨を折られれば大抵の人間は悲鳴を上げる。
「ああ。俺の機嫌がこの上なく悪い時に、よりによってベスに会いに行こうとしていたからな」
ハンク兄様の「機嫌がこの上なく悪い」のは、私がイヴァンにされた事や先程の私とのやり取りのせいだろう。
「……今更私に会って何を話そうというのかしら?」
「……べ、ベス」
骨を折られた痛みで呻いていた馬鹿皇子は、ようやく傍にいる私に気づいたようだ。
「見苦しいモノを見せて悪かったな。すぐに回収する」
イヴァンは衛兵に命じて手足を折られた馬鹿皇子を連れて行くように命じた。
「今度は、ここに来れないように地下牢に放り込んでおけ」
イヴァンの命令に衛兵達は反論一つせずに馬鹿皇子を抱えて連れて行った。
「触るな! ベス! 俺は君を愛しているんだ! 君の気を引きたくて叔父上の言う通りに婚約破棄宣言しただけだ! 本気じゃなかった!」
連れて行かれながら馬鹿皇子は必死な形相で私に向かって喚いている。
「愛している、ね」
馬鹿皇子の姿が見えなくてなってから私は鼻で笑った。
「唆されたにせよ、公衆の面前で婚約破棄宣言した男がよくも言う」
公衆の面前で婚約破棄されるのが王侯貴族の女性にとってどれだけ恥辱で瑕になるか、考えれば分かりそうなものだ。
馬鹿皇子は、それすら分からないのだろう。
ただ単に、素っ気ない婚約者の気を引きたかった。それだけなのだろう。
それに、馬鹿皇子が愛しているのは本当の私じゃない。私は一度として素の私として馬鹿皇子と向き合った事はなかったのだから。
まして、公衆の面前で鉄扇で十発ぶん殴られても「愛している」と言えるとは、マゾなのだろうか?
ぱちゃんと水音がした。
いつの間にか湯船で眠っていたらしい。
よりによって恋を自覚した、あの時を夢に見るとは。
ハンク兄様と別れた後、私は真っ先に浴室に駆け込んだ。
一刻も早くイヴァンに触れられた所を洗い流したかったのだ。
最後までされた訳ではないし、首や耳以外は素肌ではなくドレスやドロワーズ越しに触られた。
それでも一刻も早く体を洗い流して触られた感触を消してしまいたかった。
浴室の鏡を見て、なぜハンク兄様が顔色を変えたのか分かった。
首にはいくつも虫に食われたような薄紅の痣があった。
……お母様の首に何度も見た痕と同じだ。
あの記憶と同じで、それを見る度に胸が痛くなったものだ。
相手がお父様でないだけで、いつかキスマークを付けられる覚悟はしていたが……まさか初めてのキスマークがこれとは。
いつも以上に泡を多くつけた海綿で体を強く擦った。それでも触れられた感触は消えず、あの時の彼の目を思い出して、湯船の中でぐしぐし泣いてしまった。
抵抗できず、ただ震えて泣いていた自分が情けなかったのだ。
泣いているうちに眠ってしまったようだ。
《脳筋国家》の王女だろうと私は女で彼は男だ。
いざという時、力では敵わない。
分かっていても、それを見せつけられると、ただ怖かった。
お父様とお母様が愛し合う姿は、とても綺麗だった。
思い出す度に胸に痛みが走っても、美しく崇高な記憶だ。
けれど――。
イヴァンが私にした事は、お父様がお母様にしたのと同じ事のはずだのに。
「……あんなの、ちっとも綺麗じゃない」
一方的な行為だったからか?
ハンク兄様に言ったように、相手が彼でなくても結婚する以上しなくてはいけない事だ。
……私に耐えられる?
イヴァンならいいと思った。
お父様に外見特徴が似た、どこか懐かしさを覚える彼となら馬鹿皇子などよりも良い夫婦になれると思った。
けれど――。
私は湯船の中で体を抱きしめた。
彼は、おそらく――だ。
お父様の事を抜きにしても、今回の事を抜きにしても、私は彼を夫とは思えないだろう。
けれど、私がどう思おうと政略で決められた結婚だ。私に拒否権はない。
浴室を出てバスローブを纏った私は濡れた髪を侍女に拭ってもらっていた。
前世もそれなりに裕福な家だったが基本、自分の事は自分でやっていた。その影響で幼児期を脱すると自分一人で身支度を整え始めたのだが侍女達から「仕事がなくなります!」と泣きつかれてしまった。
王侯貴族の女性が侍女達にお世話されているのも生まれた時から傅かれて何もできないからというのもあるだろうが侍女達に仕事を与えるためでもあるのだろう。
入浴だけは断固として手伝いを拒否したが、それ以外はやってもらうようになった。侍女達に王女の世話という仕事を与えるのも王女として生まれた私の義務だと諦めたのだ。
「ぎゃあ――っ!」
後は寝間着に着替えて寝るだけという時に、聞き覚えがある男の悲鳴が聞こえた。
「……今の馬鹿皇子……皇子殿下の声よね?」
ほぼ廃嫡が決定されているとはいえ今は皇子だ。ここには祖国から王女付き従ってくれた侍女もいるが皇帝から派遣された帝国の侍女もいる。さすがに「馬鹿皇子」呼ばわりはまずいだろう。
「見て参りましょう」
「いいえ。私が行くわ」
侍女の一人が言ってくれるが、私は簡素なドレスに大急ぎで着替えマントを羽織ると部屋を出た。
「王女様! 私も行きます!」
祖国から私に付き従ってくれた侍女の一人、ケイトが慌てて私の後を追いかけてきた。
ケイトは今年十六歳。小柄で華奢な肢体。栗色の髪に淡い緑の瞳の可愛らしい少女だ。
しばらく行くと人だかりができていた。
大半は衛兵らしき男達だが、身形や雰囲気で貴人なのが明らかな二人の男性がいた。
「ハンク兄様……イヴァン、様」
彼らの足元には、明らかに手足が変な方向に曲がった馬鹿皇子が転がり呻いていた。
「来たのか。ベス」
来なくていいのにと言いたげなハンク兄様に私は眉をひそめた。
「もう部屋に戻られたと思っていましたわ」
「ベスと別れた後、こいつと遭遇したんだ」
ハンク兄様は形のいい顎で転がっている馬鹿皇子を示した。
「……もしかして、馬鹿皇子の腕や足の骨を折ったのは、ハンク兄様?」
手足が変な方向に曲がっているのは、誰かが、というか十中八九、ハンク兄様が折ったからだろう。
骨を折られれば大抵の人間は悲鳴を上げる。
「ああ。俺の機嫌がこの上なく悪い時に、よりによってベスに会いに行こうとしていたからな」
ハンク兄様の「機嫌がこの上なく悪い」のは、私がイヴァンにされた事や先程の私とのやり取りのせいだろう。
「……今更私に会って何を話そうというのかしら?」
「……べ、ベス」
骨を折られた痛みで呻いていた馬鹿皇子は、ようやく傍にいる私に気づいたようだ。
「見苦しいモノを見せて悪かったな。すぐに回収する」
イヴァンは衛兵に命じて手足を折られた馬鹿皇子を連れて行くように命じた。
「今度は、ここに来れないように地下牢に放り込んでおけ」
イヴァンの命令に衛兵達は反論一つせずに馬鹿皇子を抱えて連れて行った。
「触るな! ベス! 俺は君を愛しているんだ! 君の気を引きたくて叔父上の言う通りに婚約破棄宣言しただけだ! 本気じゃなかった!」
連れて行かれながら馬鹿皇子は必死な形相で私に向かって喚いている。
「愛している、ね」
馬鹿皇子の姿が見えなくてなってから私は鼻で笑った。
「唆されたにせよ、公衆の面前で婚約破棄宣言した男がよくも言う」
公衆の面前で婚約破棄されるのが王侯貴族の女性にとってどれだけ恥辱で瑕になるか、考えれば分かりそうなものだ。
馬鹿皇子は、それすら分からないのだろう。
ただ単に、素っ気ない婚約者の気を引きたかった。それだけなのだろう。
それに、馬鹿皇子が愛しているのは本当の私じゃない。私は一度として素の私として馬鹿皇子と向き合った事はなかったのだから。
まして、公衆の面前で鉄扇で十発ぶん殴られても「愛している」と言えるとは、マゾなのだろうか?
12
あなたにおすすめの小説
戦場から帰らぬ夫は、隣国の姫君に恋文を送っていました
Mag_Mel
恋愛
しばらく床に臥せていたエルマが久方ぶりに参加した祝宴で、隣国の姫君ルーシアは戦地にいるはずの夫ジェイミーの名を口にした。
「彼から恋文をもらっていますの」。
二年もの間、自分には便りひとつ届かなかったのに?
真実を確かめるため、エルマは姫君の茶会へと足を運ぶ。
そこで待っていたのは「身を引いて欲しい」と別れを迫る、ルーシアの取り巻きたちだった。
※小説家になろう様にも投稿しています
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あなたの言うことが、すべて正しかったです
Mag_Mel
恋愛
「私に愛されるなどと勘違いしないでもらいたい。なにせ君は……そうだな。在庫処分間近の見切り品、というやつなのだから」
名ばかりの政略結婚の初夜、リディアは夫ナーシェン・トラヴィスにそう言い放たれた。しかも彼が愛しているのは、まだ十一歳の少女。彼女が成人する五年後には離縁するつもりだと、当然のように言い放たれる。
絶望と屈辱の中、病に倒れたことをきっかけにリディアは目を覚ます。放漫経営で傾いたトラヴィス商会の惨状を知り、持ち前の商才で立て直しに挑んだのだ。執事長ベネディクトの力を借りた彼女はやがて商会を支える柱となる。
そして、運命の五年後。
リディアに離縁を突きつけられたナーシェンは――かつて自らが吐いた「見切り品」という言葉に相応しい、哀れな姿となっていた。
*小説家になろうでも投稿中です
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる