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1章 変態紳士二度目の異世界転移

プロローグ

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※この作品は横書きで書いており設定を『横書き』にしてお読みください。




 ノブレス・オブリージュ変態には責任が伴う。これは気高き変態紳士ケンタの異世界ドリームを叶える話である。

「ケンタさん、ただいま!!」

 立て付けがあまりいいとは言えない木のドアを、馬鹿力で勢いよく開けて少女が入ってくる。

 元気いっぱいに挨拶し入店してきた少女はD級冒険者のレオナだ。

 赤いツインテールをたなびかせニコリと笑う。

 店主のケンタは何度も静かに開けろと言っても聞かないレオナに辟易しながらも、彼女の笑顔を見るのが好きだった。

「ドアは静かに開けろって言ってるだろ。大体なんで、ただいまなんだよ」

 ケンタがそう言うと少女はヘヘヘと笑いモジモジとする。

 レオナはこの店に住んでいるわけではなく、いつのまにかこの店に入るときの合言葉のように叫ぶようになっていた。

「レオナは声が大きいのです、大きいのは胸だけでいいのですよ?」

 レオナの後ろからひょこっと顔を出したのは青髪の小人族ミニムの女の子、クニャラだ。

 130cmの身長は部族の中では長身な方で普通は110cmに満たないと言う。

「クニャラおはよう。今日もかわいいな」

 ケンタはそう言うと少女の魔法使いの帽子を取り頭を撫でる。

「子供扱いはやめて欲しいのです」

 そうは言うが少女はケンタの手を振り払わず、なすがままにされている。

 嫌よ嫌よも好きのうちと言うやつである。そして見るからにロリっ娘のクニャラだが実年齢は18歳のレディなのである。

 クニャラが撫でられていると当然レオナは不機嫌になる。

 自分だけ頭を撫でられないのは不公平だと言わんばかりにクニャラの頭に頭突きをして自分の頭と入れ替え悦に浸った。

「痛いのです、嫉妬は子供なのです!」

「私も撫でられたいの!」

 ケンタはレオナの気持ちも知らずに、15歳にもなって子供だなと思いながら頭を撫でる。実際ケンタからすると自分の娘ほど歳が離れているので子供なのだが。


 ここで、このケンタのことを話さなければなるまい。

 男の名前は葛城 健太郎、通称ケンタは40歳のおっさんで地球人で異世界転移者だ。

 エルダートレインと言うゲームで遊んでいた彼は女神に見初められエルダートレインと寸分たがわぬ異世界に転移させられてしまった。

 女神はその世界が魔物使いモンスターテイマー一色で塗られてるのが嫌だった。だからケンタを他職業の活性化の起爆剤としてその世界に呼んだのだ。

 当然チートとしてゲーム時代のスキルをそのまま受け継いでいたのだが。ケンタは根っからの生産職で戦闘スキルは微塵も持っていなかった。

 ケンタが生産職を選んだ理由は単純だ。

 『生産するだろ→女の子がこの武器直してくれって言うだろ→仲良くなるだろ→リアルで会おうか→(`・ω・´)はっぴーえんど』

 と言う出会い厨なのだが、変態紳士であるケンタは心の中は暴走欲情列車なのだが表面上は紳士で自分から手を出さない”妄想大魔神”なのだ。

『俺は心の中じゃ百戦錬磨の快刀乱麻だから!』が口癖なのである。意味は分からないが。

 元々、このエルダートレインは魔物使いモンスターテイマーが優位なゲームでテイマーにあらずば人にあらずと言われるほど人気職で最強職なのだ。

 そうなると当然、生産系は不人気になる。

 装備は魔物を倒したドロップアイテムの方が良いし、稼ぎも良い。生産などやる意味がないのだ。

 つまり『(´・ω・`)ばっどえんど』なのだ。

 リアルで女性にあったことすらないのだ。

 だが、気質なのか人のために何かがすることな好きなケンタは生産を続けた。いつか運命の人に出会えることを夢見て。

 だが、その夢はかなうことがなかった。

 普通なら、そこで心が折れてやめるだろうが、生産職には救済措置があった。限界突破である。

 通常スキル熟練度は100が最高値でそれ以上は上がらない。

 だが生産職は限界値を熟練度1000とし、上限に達した者には特殊スキルを与えると言うやり込み要素入れたおかげでケンタは飽きることなく生産職を極めていった。

 そして、そんなゲームと同じ魔物使いモンスターテイマー至上主義の異世界に来てしまったケンタは酒場併設の宿屋に引きこもった。

 もちろん情報を集めるまではへたに世界と関わらない方が良いと言う判断からだ。

 しかし、脳筋女神はケンタを働かざる者ニートとして、もう一度異世界転移させた。

 地球に帰せば良いものをわざわざまた違う異世界に転移させたのだ。働かざる者ニートはいらないとばかりに。

 新たに転移させられたケンタの目の前には信じられない文字が浮かぶ。

 レベル1 生産者:ケンタ

 スキル制の世界からレベル制への世界へのありえない転移だった。

 『女神様あなたゲームしたことないでしょぉぉぉぉ!』
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