異世界労働戦記☆スキル×レベル☆生産者ケンタ

のきび

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1章 変態紳士二度目の異世界転移

朝チュンだからといって何かあるとは限らない、ハニートラップですねその手には乗りませんよ。

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 結局あの四人はS級冒険者チーム”新緑の風エルフィーネ”と言って、王国から派遣され新しい魔窟探索に来ている者たちでこの街のギルド所属ではないのだそうだ。

 リーダーはシャーロン、純血のエルフ族で貴族の出自らしい。年齢は不詳。

 300歳くらいですかねとゴメスさんに聞いたらお茶を吹かれた。詳しい年齢は教えてくれなかったがシャーロンさんはかなり若いらしい。

 エルフって長寿じゃないんですか? とゴメスさんに聞いたら普通に100歳くらいが寿命なのだとか。ただ見た目は死ぬまで変わらず死ぬ寸前まで若々しいそうだ。

 うらやましい。

 そしてサブリーダーはゼクスじゃなく、あの鎧男で名前はガンガナル、人族と巨人族の混血だそうだ。ちなみに年齢は25歳。

 ゼクスは人族で元鍛冶師の拳闘士、あのチームの武器の整備を担当している。年齢は22歳。

 ホットパンツ娘の名前はクルルカ獣人で耳は切り落としてしまったらしい。獣人のあの耳がいやだと言う理由で。年齢は18歳。

 職業は盗賊で、義賊だったそうだが捕まって死罪になるところをシャーロンさんに救われ、現在は犯罪奴隷としてパーティーにいると言う。

 基本的にギルドに加入している盗賊はみな犯罪奴隷で捕まったものが売りに出されて冒険者チームが買うのが普通だ。盗賊は索敵や罠探知などを受け持つため、死ぬ確率が高い。

 そのためどこの冒険者チームでも盗賊は消耗品扱いなのだが、シャーロンさんは差別することなく仲間として扱っているそうだ。

 クルルカは例外で貴族から恨まれており、そのせいで売りに出されず死罪という判決を受けたのだがシャーロンさんが救ったのだという。

 

 ギルドの隅で冒険者を待っていると日が沈みだし辺りが暗くなる。

 続々と冒険者達がギルドへと帰ってきた。

 冒険者達は疲れきっており俺に絡むようなものは一人もいなかった。

 皆生きることで精一杯という感じがした。

 装備が貧弱でボロボロの状態だったのも、そう思わせた一因かもしれないが。

 俺がぎ師だとわかると財布と相談してタメ息をつくものや、やろうかやるまいか迷う人が続出した。それだけ銀貨3枚は彼らにとって大金なのだ。

「今回はお試しサービスです無料で研ぎますよ」

 別にお金がなくてかわいそうだから無料にした訳じゃない。

 これは先行投資だ。装備が整えば多少の無理もできるようになるし稼ぎも上がる。

 そうなると装備を整える余裕もできる。そして俺は研ぎ代銀貨3枚がコンスタントに手に入るのようになるという寸法だ。

 武器はすべて切れ味+1で研いだ。本当は補修をしたかったのだが、皆の持つ武器がボロボロ過ぎてすぐにばれてしまうレベルなのでやめておいた。

 本当は防具も修理してあげたかったのだが、まだ裁縫ギルドに所属していないので、身内以外の修理は金をもらってなくても裁縫師の仕事を奪うということで厳禁なのだ。

 だからこそ、あの二人は俺の大事な家族と言うことにしてある。

 夜もかなり更けたころ老人が入ってきてゴメスさんと受付を変わった。

「ケンタもそろそろ上がりなよ、今日はお疲れ様だね」

 そう言って俺の背中をバシバシと叩く。

「い、痛いですよゴメスさん」

「ごめん、ごめん、あんたが良い人でさ嬉しいんだよ」

 なんでも鍛冶師ギルドから派遣されてくるのは揃いも揃って金にがめつく、冒険者のことなんか考えない連中ばかりなのだと言う。

 そんな中で俺が初回無料サービスなんてしたからビックリしたのだと言う。

「そんなに良いものじゃないですよ。ただお客さん確保のためにしただけですから」

「でも、それは冒険者達を殺させないためのものだろ?」

「……そうですけど」

「そういう気持ちすらないんだよ、生産の連中は」

 俺も生産者として申し訳ない気持ちになりゴメスに謝った。

「すみません」

「馬鹿あんたのことじゃないよ」

 ゴメスさんは本気で怒って「勘違いさせたんなら謝るよ」と俺に謝罪をする。

 感情が豊かな人だな、俺の嘘の記憶喪失でもあんなに泣いたんだきっといい人なのだろう。

「ケンタ。もし、もしだよ。……いいや、なんでもないおやすみ」

 俺に今の言葉の意味を詮索されるのを嫌うように、ゴメスさんはギルドから出ようと急ぐ。

「おやすみなさい、ゴメスさんまた明日」

 俺が手を振ってそう言うと「うん、また明日」と消え去りそうな声で彼女は俺に手を振り闇に消えた。

 俺も帰り支度をしてギルドの外に出たが暗い。なんにも見えないんだけど。

 現代日本の感覚でこんな遅くまで仕事してたけど、これじゃ帰れないよ。

「お疲れなのです」
「お疲れさまです」

 闇の中から聞いたことがある声が聞こえる。クニャラとレオナだ。

「待っててくれたの?」

「当然です、夜道は危険です」
「月も出てない夜はまったく見えないですからね」

 俺は二人がいとおしくなり頭を撫でた。子供が駅に迎えにくる父親の心境とはこんなにも暖かくなるんだね。

 お父ちゃん涙でそう。いやおじいちゃんか。

 そう言うとなぜか二人からエルボをちょうだいした。

 ひいおじいちゃん位じゃなきゃダメなのかな?

 俺達はクニャラの持つ明かりに道を照らされながら帰路についた。この世界の星もきれいだが見知った星座はひとつもない。

 とは言え、分かるのはオリオン座くらいなんだけど。

「ねえ星座とか分かる?」

 この世界に星座があるのか知らないが、言葉として変換できたのだ、たぶんあるのだろう。

「もちろんですよ、あれがやく座、あれがぎょう座、そしてギザギ座。そしてこれが土下座です」

 そう言うと俺の前で急にクニャラは土下座をする。俺はビックリしてクニャラを起き上がらせる。

「いや、なんで土下座なんかするのさ」

「いいえ、小人族ミニムの定番のギャグなのですよ?」

 まじか、誰だよ流行らせたの。小さい女の子に土下座とか笑えないんだけど。かわいそうなのは抜けないのよ僕。

「でも。俺の前と言うかできればクニャラにそういうことはしないで欲しいと思う」

「いやです?」

「そうだね、嫌だね」

「分かったです、もうやらないです」

 そういうクニャラがかわいくて俺は頭を撫でる。

 なぜか子供扱いしないでください、とは言わずただ満面の笑みを浮かべてクニャラは笑う。

 ”ズキューン!”

 あれ、僕ロリ属性無いよ? ないよね? なにこの胸の高鳴りは。

 これが恋? これがロマンス? 僕のハートがズッキュン、トゥクン、萌え萌えキュン状態なんだけど?

 クニャラは18歳だ、ただの合法ロリだ。ならば倫理的にも行ける?

 天使:『勘違いはやめるのです、年の差を考えなさい。あなたとクニャラでは親子ほどに年が離れてるのですよ』

 悪魔:『なに言ってやがんだ。この笑顔見てみろよ。まるで女神じゃないか。あ~~俺の体が浄化されてしまう女神の笑顔に浄化されてしまう~』

 かくして悪魔は消え去った。

 この胸の高鳴りは疲れからくる動悸か、なんだつまらん。

 クニャラを撫でているとレオナも土下座をしようとしたので当然やめさせた。

「私も撫でてほしいです」

 レオナはそう言うと俺に頭を向けてくる。

 この世界の女の子は頭をなでられるの好きすぎだろ。

 だが断る理由は一切ない。

 俺はレオナの頭をやさしく撫でた。

 ま、眩しい!? 夜なのになんて笑顔をするんだい、君の笑顔で闇が消えて世界に朝がくるよ。

 やめてくれ。俺はまだ寝てないんだ朝にはまだ早い。

 これ以上頭をなでてると俺のほとばしりがフライアウェイなので、二人を担ぎ上げると。今朝のゴメスさんよろしく肩に乗せてみた。ライドオンさせてみた。

 軽っ!?

 やっぱりこの力はエルダートレインのステータスだ。

 そして柔らかっ!?

 まずい、これは桃源郷のゲットウェーイ。俺の理性がランナウェーイ、

 太もも、尻、太もも、尻。どこにも逃げ場の無いこの手はどこへ行くのだ。

 それはどこから生まれてどこへいくのかと言う哲学かな? 

 いいやこれは真理である。ここに神はいる。太ももと尻の間に神はいるのだぁ~ぁ~ぁ~。

 ”絶対神域パルテノン!”

「急にどうしたんですか?」

 レオナが上から俺を覗きこむ。ふむ、かわいい俺の娘。

「すごいのです」

 クニャラが上から俺を覗きこむ。ふむ、かわいい俺の孫。

 よし、お父さんおじいちゃんは君らのために頑張るからね?

 俺は闇を駆け抜け、家路へと急いだ。

「しり、ふともも、しり、ふともも」いつしかそれは声に出ており頭をポカポカ殴られることになるのだが、それは3分後のお話である。

「変態さんです」
「さわりたいなら言ってください」

「はい? すみません」

 え? レオナさんなに言ってるの? 僕そんなトラップにはのりませんよ、ここはスルーですね。そんな単純なハニートラップには引っ掛からないんだからね。

「まあ、それはさておき、もう外は暗いし泊まっていきなよ危ないから」

 そう言う俺の言葉に二人は顔を見合わせ、うんとうなずく。「よろしくお願いしますです」「ふつつかものですがよろしくお願いします」と、なぜか二人が礼儀正しくお辞儀をする。

 俺もつられて「こちらこそよろしくお願いします」と言うと俺を横にさせ左右の腕を各自枕にして寝る。

 なるほど、よろしくってそう言う意味か。ぼくちゃん枕代わりなのね。俺は横になった瞬間疲れから一瞬で眠りに落ちた。深い深い眠りに。

 ”チュンチュン”

 鳥のさえずりが朝を知らせる、家の隙間から朝日がこぼれ落ちる。目が覚めた俺はいきなり二人からつねられた。

「な? なに?」

「叩いてもつねっても起きないんですね」
「馬鹿者なのです」

 なぜか二人はご立腹である。お腹がすいたのかな?

 俺は手早くお湯を沸かすとアイテムボックスから料理を取りだし二人に振る舞った。

 食事をしたら二人の機嫌は治りキャッキャウフフである。

 俺の料理は幸福感もアップするからね。おじいちゃんも家族がいる食事に満足である。

 もうこの娘たちここに住めば良いのに、とは思っても口には出さない。断られたらハートブレイクで死んでしまう。俺はしがない愛の狩人さ。

 ふっ、お嬢ちゃんたち俺の娘と孫になったんだ。たーんとお食べ、たーんとね。

 そう言えば昨日ゴメスさんが飲んでいる男達の料理も作っていたんだけど、あれは料理職のスキルではなく地球と同じように普通に作っていたな。

 料理職じゃなくても色々作れるのか。今度素材買ってきて試すそう。とはいえ現実の俺はパスタくらいしか作れないんだけど。

「「ごちそうさまです」」

 二人が食事を食べ終えると俺は昨日と同じ紅茶を出した。そういえばこの紅茶も普通に作ってるもんな。

 たぶん情報が現れないからこの世界には紅茶がないのかもしれない。

 紅茶と言うのは元々お茶を船で運んでいて発酵してしまったのが紅茶の始まりだと言うし。偶然がこの世界では起きてないのだろう。

「こんなに充実した朝ははじめてです」
「いつも木の実かじってたもんね」

 そう言うとレオナはハハハと乾いた笑いをする。どんな食生活を送っていたのか心配になるが、こんなもので喜んでくれるなら俺も嬉しい。

「毎朝、食べに来れば良いよ用意してあげるから」

 よし、これは相手のためを思って言った風を装い。実は俺が一人の食事が嫌だからと言うことを隠した頭脳プレイである。

「だめです」
「そうよね、もう返しきれないほど色々してもらってるのに」

 あ、ダメだこれ断られる、なるほど人のためじゃなにか下心があると思って警戒してしまうのか。ならば本音で言おう。

「ごめん、本当は俺が一人の食事嫌だから来て欲しいんだ。だめかな?」

「き、来て欲しいのです?」
「わ、私でよければ」

 二人は顔を真っ赤にしてうつ向く。ふむ、かわいいのう。俺の娘と孫は世界一じゃわい。

 俺は二人が紅茶をすすりながら、笑顔でしゃべる顔を見て心からそう思った。
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